本文へスキップ

2019.01.07

2019年を迎えて

  • 福井 俊彦
  • 理事長
    福井 俊彦

 東京オリンピック直前の2019年、慌ただしい年明けを迎えた。確り準備を進めることに、勿論異議はない。しかしそれだけでは不十分で、今年こそ、オリンピック後の日本のあるべき姿について真剣に考える方向へ人々が頭を切り替える年でなければならない。

 反動不況を如何に和らげるか、が中心命題ではない。どういう大きな構図をベースに新しい日本を築いて行くか、これこそ国民一人一人に託された真の課題である。実は、もっと早い段階から取り組んでいて可笑しくないことながら、持ち前の事勿れ主義で延々と先送りされて来た難題である。今や多くの国でpopulismが浸透し目先の人気取りに走る政治が蔓延する中にあるだけに、遅ればせとは申せ、日本がここで目覚めて長期的な展望を切り拓くべく舵を切り替えることが出来れば、世界の潮流に大きな一石を投ずることとなろう。

 その糸口を何処に求めるか。

 秀でたリーダーの出現を待つ、というのでは、更に時間の空費になる心配が濃厚である。

 例えばこんなのはどうか。

 政党のマニフェスト作りに新しい工夫を盛り込む。今までの様に、選挙直前になって間に合わせで得票に結びつき易い項目を並べるのではない。今から一年後あるいはその先の選挙を目指して与野党とも今から時間をかけてマニフェストを練り上げていく。出発点は、これまでと同様に各議員が各々の選挙区から人々の要望をかき集めてくるのでも良い。ただ、その集めた材料の底に潜む老若男女の将来への夢を抽出しつつ、その夢の実現のために、政党ごとに経済の価値体系、安全保障の価値体系、文化の価値体系の組み立て方に工夫を凝らし、遂には特色のある政策体系の構築に到達する。そこで、人々から集めた個々の要望を再点検し、出来上がった政策体系の中にきちんと位置付け可能と判断されるものは順次採用して行く、そうでないものは選挙区に持ち帰ってそのままでは実行に移せない理由を丹念に説明し、要望の中身を洗い直すことに議員も協力する。

 この様なマニフェスト作りの過程で知恵を出し、リーダーシップを発揮して、全体の仕上げに大きく貢献した者が党首となり、そのマニフェストを背負って選挙を闘う。勝てば首相となって責任を負ってマニフェストの実行に全力を注ぐ。実行の途上で予期せぬ新しい事態が生じた場合にも、場当たり的には動かず、マニフェストの基本思想の延長線上に位置づけ可能か、あるいは将来マニフェストの修正に及ぶことあるべしと受け止めるか、そこまで踏まえた上で適切な対処策を機動的に講じて行く。

 マニフェストとその担い手に信認が置かれる場合は長期政権となるが、そうでなければ、より頑健なマニフェストを仕立て上げた新政権が夢を引き継ぐ。

 国民の一人一人もこのような民主主義政治の過程に意識を持って参画するようになれば、政治におねだりして権利ばかり主張するのではなく、相応の負担を覚悟する心境を抱くようになるのではないか。