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2019年11月7日(木)14:00~17:00開催 場所:日本工業倶楽部 2階 大会堂

CIGS 国際シンポジウム 「Society5.0の思想的基盤:イノベーションによる持続可能な開発と温暖化問題の解決」

 キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)は2019年11月7日に、Founder and Executive Director, The Breakthrough Instituteでキヤノングローバル戦略研究所 International Research Fellowのテッド・ノードハウス氏と日本経済団体連合会 環境安全委員会 国際環境戦略ワーキンググループ座長の手塚 宏之氏を招いて、国際シンポジウム「Society5.0の思想的基盤:イノベーションによる持続可能な開発と温暖化問題の解決」を開催しました。

開催趣旨

 いま日本では、地球温暖化対策に関する「長期戦略」が政府で検討されており、そこでは、イノベーションを通じて地球温暖化問題を解決するとしている。また政府と経団連が提唱しているSociety5.0でも、技術によって温暖化問題の解決および持続可能な開発(SDGs)の達成を図るとしている。何れも優れた取り組みである所、共通の思想的基盤を掘り下げて考えたい。
 本シンポジウムでは、米国ブレークスルー研究所Ted Nordhaus所長を迎え、同所が基本思想として2014年に纏めた「現代的環境主義宣言(エコモダニスト・マニフェスト)」に学ぶ。 (邦訳は「温暖化対策長期戦略とSociety5.0の思想~現代的環境主義宣言――技術こそが地球環境問題を解決する~」 を参照)。
これは、「技術こそが地球環境問題を解決する」というビジョンを明確に示している:
「農業、エネルギー供給、林業、居住等の、人間の多様な活動をより集中的にすることによって、より土地の利用を少なくし、自然界への介入を小さく留めることは、人間の発展を環境影響から分離するための鍵である。 そのような変化を社会経済的・技術的に起こすことが経済発展と環境保護の両立の核心であり、人々は気候変動を軽減し、自然を保護して、世界的な貧困を削減することができる。・・・我々は、自分自身を、現実的環境主義者であり、現代的環境主義者であると呼ぶ。我々は、人間が、その並みはずれた能力によって、良き人類世を創っていく、というビジョンを共有している」。
 このように日米で同時に発展している類似の活動について、日本での実践的取組みと、米国でのビジョナリーな思想運動の間での対話を図る。これにより日本の活動は確固とした思想基盤に基づくようになり、また対外的な説明もうまくできるようになると期待したい。米国発の思想についてはその実践の場を得ることで思想の深化を図ることが期待できる。


プログラムPDF: 433KB

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シンポジウム要旨

以下はシンポジウムの内容を、当研究所 研究主幹 杉山 大志の文責においてまとめたものである。

Ⅰ.手塚氏より「日本の取り組み:経団連「Society5.0 for SDGs」について」と題して概要について講演があった。
経団連は、SDGsの達成に向けて、革新技術を最大限活用することにより経済発展と社会的課題の解決の両立するコンセプト「Society 5.0」を提案した。

Ⅱ.続いてTed Nordhaus,氏より「エコモダニズムとは何か」と題して講演があった。
  ※詳細は、「シンポジウム要旨全文」参照

Ⅲ.ディスカッション
①まず杉山研究主幹から「地球温暖化問題のイノベ―ションによる解決」について講演があった。経済成長とイノベーションの好循環の成果を刈り取る形で、温暖化対策技術のイノベーションを進め、それによって生まれるアフォーダブルな温暖化対策技術を実装してゆくことで温暖化問題を解決する、という「二重の迂回戦略」についての説明があった。 

②引き続き、パネルおよび参加者のディスカッションがあった。
- 経団連の取り組みとエコモダニズムの概念には共通するものがあることが確認された。
- 日本はエコモダニズムを最もよく実践している国であり、自らをエコモダニズムのロールモデルとして位置づけ、世界に発信するのが良いという提案があった。
- これに関連して、観念が実践に先行しすぎるドイツや資源多消費の米国はエコモダニズムのロールモデルとはならないとの意見があった。
- 日米協力として、リスクテイカーやスタートアップといった米国の強みと、日本の成熟した製造業蓄積とのコラボレーションがあり、これは環境問題の解決にも有効だという意見があった。
- エコモダニズムは「技術による解決(テクノフィックス)」であるとの批判があるが、実はそのような批判をする団体が推進する再生可能エネルギーこそテクノフィックスであるという意見があった。
- CO2を急速に減らすためには原子力こそ有効であるという指摘があった。


シンポジウム要旨全文PDF: 3.12MB


開会の挨拶


  • 福井 俊彦
    キヤノングローバル戦略研究所 理事長
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講演

  • テッド・ノードハウス
    Founder and Executive Director, The Breakthrough Institute、キヤノングローバル戦略研究所 シニアリサーチフェロー
    「Ecomodernism Manifesto (エコモダニズムとは何か)」
    発表資料PDF: 3.4MB
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  • 手塚 宏之
    日本経済団体連合会 環境安全委員会 国際環境戦略ワーキンググループ座長
    「日本の取り組み:経団連「Society5.0 for SDGs」について」
    発表資料PDF: 2.42MB
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  • 杉山 大志
    キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹
    「地球温暖化問題のイノベーションによる解決」
    発表資料PDF: 1.48MB
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パネルディスカッション

  • 【司会】
    杉山 大志

    【ディスカッサント】
    テッド・ノードハウス
    手塚 宏之

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