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2019.07.16

米中貿易摩擦、ファーウェイ問題等をめぐる米国および欧州の最新動向<2019年5月27日~6月15日 欧州米国出張報告>

  • 瀬口 清之
  • 研究主幹
    瀬口 清之
  • [研究分野]
    中国経済・日米中関係

◇ 4月末頃まで順調に進んでいるように見えた米中協議が5月入り後、突然決裂した背景に関する米国有識者の見方は以下の通り。米中両国政府の代表は4月末までに合意文書を作成した。それに対して中国共産党幹部層が米国の要求に対して譲歩し過ぎであると強く批判。合意文書を修正し、修正案を米国側に提示。突然の大幅修正要求にトランプ大統領が激怒し、米中協議が断絶したというのが一致した見方。

◇ 6月29日の米中首脳会談では協議再開が決まり、ファーウェイとの米国企業の取引も認めるなど、予想に反し、米中摩擦は一時休戦となった。6月初時点の米国では、協議再開の合意すら難しいと予想する向きが多かった。そうした事前予想との対比では、今回の米中首脳会談は全く予想外の好転だったと評価できる。

◇ 昨年から一段と対中強硬姿勢、対中警戒感を強めている上下両院において、従来の輸出管理規制を強化する法案ECRAが審議され、18年8月に成立した。今後米国経済のスローダウンや株価の低下が見られるようになれば、トランプ大統領自身が対中強硬策を緩和させる方向で介入する可能性も指摘されている。一方、トランプ大統領が来年の大統領選挙で再選されれば、2020年以降、こうした対中強硬路線に沿った政策がさらに強まっていく可能性が懸念されている。

◇ 有識者の間ではトランプ政権の対中政策を批判する声は根強い。著名な中国専門家は、米国の対ファーウェイ政策は安全保障政策の名を借りた対中経済封鎖政策であると指摘。各国の有識者は一丸となってトランプ政権の過ちを正すべきであると語った。

◇ ファーウェイ問題に関して、英国は5アイズに属していることから、米国との関係を重視せざるを得ない。しかし、5Gに関する経済的利害が大きいことから、ファーウェイを完全に排除するというのも実質的にはとりえない選択肢であると見られている。ドイツは5アイズには属しておらず、中国との関係強化を通じて大きな経済的利益を享受してきた実績があるため、5Gネットワークにおけるファーウェイの活用については英国以上に積極的であると見られている。

◇ 英国のEU離脱期限は元々3月29日だったが、10月末まで延期された。5月下旬の欧州議会選挙で英国与党保守党は惨敗し、メイ首相は辞任を表明した。ブレグジットをめぐる英国政府内の混乱は英国内外において英国に対する信用を失墜させた。今後少なくとも3年間は英国の信頼回復は難しいと見られている。


米中貿易摩擦、ファーウェイ問題等をめぐる米国および欧州の最新動向<2019年5月27日~6月15日 欧州米国出張報告>PDF:478.7 KB

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