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2019.12.05

100周年を迎えた東京大学経済学部とその役割

共同通信より配信(2019年12月)

 東京大学経済学部は、学部としての独立した1919年から起算して、今年で100周年を迎えた。それまで東京帝国大学法科大学の中の経済学科・商業学科となっていた組織を、法科大学、医科大学、工科大学等を各学部に再編した機会に、それら学部と並列の経済学部に改めたものである。同じ年に京都帝国大学でも経済学部が独立した。

 第一次世界大戦直後の1919年に東京、京都の両帝国大学で経済学部が独立したことの背景には、日本の経済社会の変化がある。第一次世界大戦期に日本経済は飛躍的に発展し、機械、金属、化学等の新しい産業が勃興するとともに、これら新興産業を含めて、産業や金融のさまざまな分野に大規模な企業が成長した。そうした企業を支える人材を供給するため、経済学の高等教育の拡充が求められたのである。

 以後、戦前の帝国大学時代、戦後の新制大学時代を通じて、国立大学の経済学部は発展する経済に人材を供給し続けてきた。そして今、経済学の高等教育は新しい局面を迎えている。

 技術、国際情勢、地球環境等の先行きが不透明さを増す中で、経済学的な分析と洞察の役割が大きくなり、これらの能力を持つ人材への社会の需要が高まっている。そしてこうした変化は、大学入試の結果にも反映されている。東京大学合格者の科類別最低点と平均点について、主に経済学部に進学する「文科2類」が、主に法学部に進学する「文科1類」に代わって、2019年度に文系の3科類の中でトップとなったのである。

 東大経済学部も進化を続けている。100年前に「輸入学問」として始まった日本の経済学は、現在では日々、世界における経済学研究の発展に貢献している。その中で東大経済学部の役割は大きい。今後の経済学と東大経済学部に期待していただければと思う。

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