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2019.06.24

【医療に費用対効果の視点】診療報酬本体に拡充せよ

日本経済新聞 「経済教室」2019年6月18日掲載

■■■ ポイント ■■■

  • ○ 医療費削減は日本だけでなく世界の課題
  • ○ 費用対効果導入は医療技術評価の第一歩
  • ○ 専門組織設置と人材育成こそ国家の急務

  •  厚生労働省は2019年度から費用対効果を考慮した新薬価ルールを制度化した。医療技術評価(HTA)の本格的導入である。財政的影響の大きい医薬品・医療機器を対象に、かかる費用と生み出される効果を検証する制度だ。同省中央社会保険医療協議会(中医協)により16年4月から試行的に導入されていたが、奇(く)しくも令和元年が本格導入元年となった。

     医療保険財政の悪化への懸念は財務省にも共有されている。去る5月21日、麻生太郎財務相は高額の白血病治療薬「キムリア」が翌日から保険適用となることを受け、「高額医薬品の保険適用には、費用対効果を見極めるべきだ」との認識を表明した。財務相が医療の費用対効果にコメントするのは異例だ。

     この新薬は一部の白血病患者などを対象とし、遺伝子技術を応用した画期的な「CAR-T細胞療法」に使われる。3月に承認されていたが、米国での価格が約5000万円であるため、日本ではいくらになるのか注目されていた。結局、1回当たりの価格が3349万円と決まった。厚労省によれば、白己負担額は60万円ほど。国内で公的医療保険が適用されている薬では最も高くなる。

     この新薬に限らず、バイオ医薬品の研究開発の進展により、高額な医薬品が続々と登場し、財政的な懸念に拍車がかかっている。「キムリア」は今後、新制度の対象として値下げが検討されることになる。


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    日本経済新聞 「経済教室」2019年6月18日掲載

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