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2018.12.10

社会福祉法人すべての財務諸表を集計-利益は3000億円を超えている

CLINIC BAMBOO 2018年12月号掲載

  • 松山 幸弘
  • 研究主幹
    松山 幸弘
  • [研究分野]
    財政・社会保障

 11月1日付日本経済新聞「経済教室」に社会福祉法人(以下、社福)の2016年度財務諸表集計結果を発表した。これは、1951年に社福制度が創設されてから初めての全数集計であり、のとおり、収入規模10兆円、経常利益3484億円、総資産も22兆円超であることが確認された。

 私が社福に興味を持ったのは、10年当時、自分の父親と重度障害者である甥が社福にお世話になっていたからである。まず、市場規模を知りたいと思った。しかし、どこにも社福の財務データが見当たらない。そこで、厚労労働省社会・援護局総務課に電話したところ「社会福祉行政は施設種類ごとに行っており、法人単位の財務諸表を集めて集計したことは一度もない」と言われて、飛び上がって喜んだ。毎年巨額の税金が投入されている業界の財務構造を誰も調査したことがなく、大きな研究テーマになると確信したからである。

 しかし、個別社福の財務諸表を集めるには、法人名を特定したうえで所轄庁に情報開示請求を行い、コピー1枚当たり10円の費用を支払う必要があった。しかも、所轄庁ごとの社福リストが公表されていなかったため、法人名を特定することすら困難であった。そのため、ある地方厚生局にお願いして、所轄している社福の財務諸表すべての閲覧をさせてもらった。そこで発見したのは、施設種類ごと、法人ごとに財務諸表様式がバラバラである、法人全体の財務諸表を提出していないところがある、借方と貸方が一致しないアンバランスな貸借対照表がある――という非常識な世界であるということだ。

 このような困難に直面したものの、約1000の社福の財務諸表を使って「社福全体の財務内容がトヨタに優る」という推計を、11年7月7日の経済教室で発表した。これが契機となって社会福祉法が16年3月に改正され、全社福の財務諸表データベース構築が制度化されたのだが、厚労省は初回である16年度の全数集計結果を公表していない。そこで、このたび全数集計にチャレンジした次第である。


表 社会福祉法人の2016年度財務データ
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