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2019.02.08

ノーベル賞を獲得したノードハウスのDICEモデル:地球温暖化の被害はCO2削減の費用を正当化するか?

NPO法人 国際環境経済研究所HPに掲載(2019年1月25日)

  • 杉山 大志
  • 研究主幹
    杉山 大志
  • [研究分野]
    資源・エネルギー、環境

 2018年のノーベル経済学賞は、ウィリアム・ノードハウス氏に贈られた。氏の最も重要な業績は、「地球温暖化の統合評価モデル(Integrated Assessment Model、IAM)」であるDICEモデル(Dynamic Integrated Climate-Economy:気候と経済の動学的統合モデル)を初めて作ったことである。IAMはやがて今日に至る一大分野となって、地球温暖化問題の理解をおおいに促進した。(なお同モデルの簡単な解説や入手・利用方法については、東大の杉山昌広准教授が解説しているので併せて参照されたい。)

 筆者もノードハウス氏には恩がある。地球温暖化問題を理解するにあたっては、このモデルがおおいに役に立った。それは、物理学の基礎方程式のようにあらゆる検証に耐えるといった性質のものではない。むしろ、一定の考え方の枠組みを示すに過ぎない。だが、対象が地球温暖化という極めて複雑な問題であるからこそ、簡潔な数式でいったんまとめておくことは、後々思考を重ねていくにあたって大変に有益なステップとなる。

 そこで本稿であるが、ノードハウス氏が作成したDICEモデルの解説をする。これは13本の式からなる。

 今日では多くのIAMモデルが作成され、それがIPCCのシナリオの作成に使われて、パリ協定での2℃目標の合意にも大きな影響を与えた。近年になると、計算機の能力が上がったおかげで、モデルは大いに巨大化・複雑化している。しかしその基本構造は、ノードハウス氏のDICEモデルから殆ど変わっていない。従って、DICEモデルを理解すれば、IAMではどのような議論をしているのか、IPCCのシナリオとはどのような計算に基づいて作成されているのか、よく分かるようになる。

 本稿の最後では、DICEモデルの試算結果の含意について述べる。DICEモデルが出来てから30年近くになるが、今日的な意義を全く失っていないのは驚きである。・・・


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