デュポン・サークル便り(1月31日)

 ワシントンでは、相変わらず気温の上下が激しい日が続いています。この数日は、例年並みの寒さで、最低気温は零下より少し低いぐらい、最高気温は一けた台の気温でしたが、週明けの来週の月曜日は、最高気温が何と18℃台、小春日和になる予報です。

 今週のワシントンは弾劾裁判が2週目に入りました。日本が週末に入るころ、米上院では、弾劾裁判に証人を呼ぶことを認めるかどうかについての採決が行われます。もし、採択の結果、裁判に証人を呼ばないことになった場合、ミッチ・マコーネル共和党上院院内総務は、速やかにトランプ大統領弾劾の2つの条項について投票を行いたい考えです。その場合は、大統領弾劾理由の二つの事項で、どちらも、「不起訴」になることはほぼ確実です。反対に、もし裁判に証人を呼ぶことになった場合、大統領選挙の予備選挙と並行して再選を目指して選挙活動中の現職の大統領の弾劾裁判がズルズルと続くことになり、大統領選の行方も一気に不透明になります。

 以前のデュポン・サークル便りでもご紹介したとおり、弾劾裁判に証人を呼ぶかどうかの採決で、共和党から4名造反が出ると、弾劾裁判を今週で終わらせたいホワイトハウスとマコーネル共和党上院院内総務の目論見が崩れます。そのカギを握る4名の共和党議員は以下の方たちでした。


 スーザン・コリンズ上院議員(メイン州選出。クリントン政権で国防長官に指名された共和党のウイリアム・コーエン上院議員の議席を引きつぐ形で1997年に上院に初当選して以来、23年上院議員生活を続けているベテラン議員)

 リサ・マカウスキー上院議員(アラスカ州選出。父親は元アラスカ州知事)

 ミット・ロムニー上院議員(ユタ州選出。2016年大統領選挙の際、共和党側の大統領候補として予備選をトランプ大統領と争った。)

 ラマー・アレクサンダー上院議員(テネシー州選出。ブッシュ(父)政権時に教育長官を務めた。今年末の任期満了をもって引退することを2018年に表明している)

 この4名のうち、3名は証人を呼ぶことを支持する方針をすでに強く示唆していて、残る一人のアレクサンダー議員がいかなる決定をするかが注目されていました。今季で引退を表明していることから、一時は証人を認めることに賛成するのではないかという観測も流れていましたが、同議員は30日(木)の深夜に、証人を呼ぶ採決では反対票を投じる予定であることを明らかにしました。これで弾劾裁判は、早ければ31日中にも、トランプ大統領「不起訴」で幕を閉じることになります。

 トランプ大統領がこの「不起訴」を引っ提げて再選運動を活発化させることは確実です。一方、民主党側も、来週、アイオワ州での予備選挙から一気に本格化する大統領選予備選挙で誰が最終的にトランプ大統領と争うことになるのかに注目が当たることになります。一体、トランプと互角に渡り合える候補が民主党から出てくるでしょうか。

 その一方で、国際ニュースでは、なんといってもコロナウイルスが注目の的に。アメリカ政府も、国務省が中国への渡航禁止を発表するなど対応に追われています。すでに6名のコロナウイルスへの感染が確認されています。

 弾劾裁判が終わったと思ったら、すぐに大統領選挙、コロナウイルスの拡散。2020年のアメリカの政治・外交は忙しい一年になりそうな予感です。

(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員 辰巳由紀)

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