外交・安保カレンダー(9月23-29日)

 先週は老体に鞭打って、ソウル30時間、続いて米国スタンフォード大学48時間などという強行軍日程を入れてしまった。東京でじっとしてはいられない。そんな大きな動きが世界にあると感じたからだ。「いい歳をして!」とは思ったが、それなりの成果もあった。日本を取り巻く外交・安全保障の潮流の変化を自分なりに実感できたからだ。

 しかし、今週の筆者の最大関心事はキヤノングローバル戦略研究所が主催する筆者の個人講演会の内容だ。年に一回の大きなイベントだが、古い話は使えない。毎回新作をやらなければいけない新米落語家のような気分。とても古典落語などやれるような雰囲気ではないからだ。

 今年はキヤノングローバル戦略研究所の創立十周年、筆者自身も10年目となる。これまでは世界の様々な事象を時々の切り口で評価・分析してきたが、今年はちょっとスタイルを変え、具体的な政策提言をしてみるつもりだ。世の中の重点は一昔前の「自由民主・国際主義」から急速に「国家主権主義、排外主義」へと移りつつある。

 では日本は何をすべきなのか?今年はこれに切り込むことにした。といっても、革命的なことを言うつもりはない。結論は簡単だ。これまで我々が慣れ親しんできた外交・安保政策の常識がもはや常識ではなくなるばかりか、むしろ日本の生存にとって障害となる可能性があるということである。

 具体的な提言内容は来週書こう。実は今も講演用のスライドを鋭意作成中。ほとんどが新作なので、未だ出来上がっていないのだ。今週は国連総会で各国首脳がニューヨークに集まる。以下は、そこでの注目点をまとめてみた。米中、米露、米韓、日米などなど、重要会談が目白押しだが、あまり成果は期待できないかもしれぬ。

〇アジア
NYでの米中首脳会談はあまり進展しないだろう。筆者が中国国家主席なら、来年の大統領選挙まで様子見で、大胆な譲歩など考えないからだ。米韓首脳会談は雰囲気が冷たかったと報じられているが、これも当然といえば当然。文在寅氏は国内での最側近のスキャンダルで忙しく、米韓首脳会談どころではないかもしれない。

〇欧州・ロシア
 最近英仏独が連携する機会は減ったが、今週ニューヨークで三国首脳は珍しく、サウジ石油施設攻撃につき、「イランが責任を負うのは明白だ。他に説得力のある説明はない」とする共同声明を発表したそうだ。当然だろう。では日本はどうするのだろうか。そろそろ腹を決める時期に来ているかもしれない。

〇中東
 先週は、サウジ軍関係者が石油施設攻撃で使われたドローンと巡航ミサイルがイラン製であることを公表したものの、対イラン非難は差し控える、という奇妙な状況が続いた。ボルトン国家安全保障担当補佐官解任ということは、トランプ政権が直ちに対イラン報復攻撃を行うことはないということだろう。

 報復をやるならサウジだろうが、サウジ軍単独では対イラン攻撃の効果は微妙だ。イスラエル新政権も当然関連してくる。サウジも直ぐには軍事行動を行わないだろう。だが、その内に攻撃のタイミングは失われる。それは典型的な「宥和政策」であり、イランの国内強硬派は祝勝会を開いて高笑いしているのではないか。

 しかし、世界史のすべての教訓は、宥和政策が最終的にいつか必ず失敗することを教えている。今のままイランに対し正しいメッセージを送らない場合、湾岸での軍事行動の可能性は短期的には遠のくだろう。だが、最終的な問題解決にはより大規模な軍事行動、もしくはより悲惨な人的、物的被害を覚悟しなければならなくなる筈だ。

〇南北アメリカ
先週は米情報機関の内部告発者の指摘が注目された。トランプ氏がウクライナ大統領と電話会談した際、民主党有力候補バイデン元副大統領とその息子の不正疑惑を捜査するようウクライナ側に働きかけたというのだ。それにしても、トランプ氏関連の話題は尽きない。下院民主党では大統領弾劾の動きが燻っている。要注意だ。

〇インド亜大陸

 特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。


9-27日 国連人権理事会 第42回会合(ジュネーブ)
9-27日 子どもの権利委員会 第82回会合(ジュネーブ)
17-25日 対日理解促進交流プログラム・カンボジアのカヌー・ナショナルチーム・ジュニア代表一行が訪日
19-27日 第28回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合開催(ダナン)
21-25日 英国労働党大会(ブライトン)
22-24日 EU農水相理事会 非公式会合(ヘルシンキ)
22-28日 茂木外務大臣が第74回国連総会のためニューヨーク訪問
23日 IAEA理事会(ウィーン)
23日 メキシコ7月小売・卸売販売指数発表
23日 スペイン連立協議の期限
23日 サウジアラビア建国記念日
23日 国連気候行動サミット(ニューヨーク)
23日 米大統領主宰の宗教の自由会合(ニューヨーク)
23日 ウクライナ・ゼレンスキー大統領が訪米
23日 Astra(NSLSAT1)打ち上げ(アラスカKodiak発射場)
23日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
23-26日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
23-28日 安倍首相が国連総会出席のためニューヨーク及びベルギー・ブリュッセルを訪問
23-10月2日 対日理解促進交流2019・韓国大学生訪日団が訪日
24日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(エネルギー)(ブリュッセル)
24-25日 国連SDGフォーラム(ニューヨーク)
24-25日 日韓経済人会議(ソウル)
24-27日 FHM Food & Hotel Malaysia 2019(クアラルンプール)
24-27日 ワールド・フード・モスクワ(ロシア・モスクワ)
24-30日 第74回国連総会一般討論(米国・ニューヨーク)
24-10月4日 ICAO(国際民間航空機関)総会 第40回会合(モントリオール)
25日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
25日 メキシコ8月雇用統計発表
25日 ソユーズFG(国際宇宙ステーション第61次及び第62次長期滞在ミッション用ソユーズMS-15)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
26日 国連総会・「核兵器廃絶の国際デー」記念式(ニューヨーク)
26日 ECB一般理事会(フランクフルト)
26日 米国第2四半期GDP発表(確定値)
26日か27日 ロシア8月雇用統計発表
26-27日 EU競争理事会(ブリュッセル)
27日 ブラジル8月全国家計サンプル調査発表
27日 メキシコ8月貿易統計発表
27日 米8月個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
27-10月6日 陸上・世界選手権(ドーハー)
28日 アフガニスタン大統領選
28-10月8日 国民体育大会(茨城県)
29日 オーストリア議会総選挙
29日 大阪府東大阪市長選
29日 ベルリンマラソン
29日 F1ロシアGP決勝(ソチ)
29日-10月2日 英国保守党大会(マンチェスター)


【来週の予定】
30日 EU8月失業率発表
30日 プロトンM(Eutelsat 5 West B, MEV 1)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
30-10月3日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
30-10月5日 APEC女性担当相会合および女性と経済フォーラム(チリ・ラセレナ)
1日 ブラジル8月鉱工業生産指数発表
1日 ニカラグア・韓国FTA発効
1-7日 中国国慶節(新中国建国70周年)
2日 ドイツ主要経済研究所秋季経済予測発表
2日か3日 ロシア2019年第2四半期需要項目別GDP統計(速報値)発表
3-4日 バングラデシュ・ハシナ首相がインドを訪問
3-6日 VIETNAMPLAS 2019 - 19th Vietnam International Plastics & Rubber Industry Exhibition(ホーチミン)
4日 EU環境理事会会合(ルクセンブルク)
4日 米国8月貿易統計、9月雇用統計発表
4日か7日 ロシア9月CPI発表
5日 アラブ首長国連邦 第4回連邦諮問評議会(FNC)選挙
6日 チュニジア国民議会選挙
6日 ポルトガル議会総選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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