外交・安保カレンダー(2月10-17日)

春節後の中国が再始動するはずなのだが、米中貿易協議で中国側が譲歩する姿勢は今のところ見せていない。11日からは次官級の協議が始まり、14日からは閣僚級の協議となるはずだが、果たしてうまくいくのだろうか。先週米国で関係者の話を聞いたが、まだ米中間には合意文書の案文すらないそうだ。本当に大丈夫か心配になる。

心配といえば、今週最も大きなニュースと筆者が考えたのはトルコのウイグルを巡る対中批判が厳しさを増していることだ。トルコ外務省報道官は9日、声明を発表し、ウイグル人に対する中国当局の組織的な同化政策は「人類にとって大きな恥だ」と強く非難したと報じられた。トルコがこれを言い出したら、結構ややこしくなるぞ!

これに対し、中国は「トルコ側の指摘は偏見か別の動機があるとしか言えず、完全に事実に反していて、到底、受け入れられない」と強く反論したという。おいおい、中国はイスラムを誤解していないかい?特にトルコの中央アジアに対する思い入れを過小評価してはいないか。ウイグルはトルコにとって「東トルキスタン」なのだから。

先週はコロラド州デンバーで講演を行ってきた。旧知の元国務省高官と二人での「漫才」講演だが、昨年のインディアナポリス、シアトルに続き今回が三回目となる。内容は東アジアの安全保障問題と日米同盟だったが、米国各地の「日米協会」は基本的に経済関係が中心らしく、日米安保に関する講演は少ないのだそうだ。

もう一つ気になるのは英国のEU離脱だが、何がどうなっているのか良く判らない。EU側はメイ首相とちゃんと話したのに、同首相が「deliver」しないと怒っているだろうし、英国内の諸勢力はそれぞれ言いたいことばかり言うだけで、大胆な妥協を行うだけの政治力に欠けている。このままでは、英国が本当におかしくなりそうだ。

今週イランは革命40周年を迎える。筆者が外務省に入ったのは1978年で中東関係ではキャンプデービッド合意ができた年だが、その翌年にイラン革命が始まったことを今でもよく覚えている。当時の関係者の多くはイランのイスラム革命が40年も続くなんて想像もしなかったのではなかろうか。イラン革命を救ったのはサダムフセインだ。

先週はトランプ氏の一般教書演説に注目したが、終わってみれば、大したことはなかった。要するに、あれ以上でも、以下でもないということか。より興味深いのは、同演説直後から米国の内政が新しいラウンドに入ったように思える。下院情報委員会委員長はトランプ氏の悪行を徹底的に調査すべく手薬煉引いて待っているようだ。

民主党内でも来年のアイオワやニューハンプシャーなどに向け、自薦他薦の大統領候補が10人以上も名乗りを上げ始めた。今名前が出ている人々の名はいつまで残るのだろうか。名乗りを上げるのは簡単だが、その後一年以上にわたって、全ての公私の活動が暴かれ、批判されることになる。どう考えてもペイしないと思うのだが。

今週はこのくらいにしておこう。

5-13日 対日理解促進交流・インドネシア高校生らが訪日(北海道)
7-17日 ベルリン国際映画祭
9-11日 河野外務大臣がフィリピン・在ダバオ総領事館開館に出席
11日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ブリュッセル)
11日 メキシコ2018年12月鉱工業生産指数発表
11日 イラン・イスラム革命から40年
11-14日 欧州議会本会議(ストラスブール)
11-16日 ASEAN作業委員会(Working committee)(タイ・バンコク)
11-16日 ASEAN金融統合高級レベル委員会(Senior Level Committee on ASEAN Financial Integration)(バンコク)
11-16日 ASEAN財務・中央銀行次長作業グループ会議(Finance and Central Bank Deputies'Working Group Meeting)(バンコク)
11-3月8日 平和維持活動特別委員会及び作業部会 実質会期(ニューヨーク) 
12日EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
12日 ニュージーランド2019年議会開会
12日 マレーシアのナジブ前首相の初公判(クアラルンプール)
12-13日 UN ウィメン執行理事会 第一定期会合(ニューヨーク)
12-15日 日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉 第13回会合の開催(東京)
12-19日 対日理解促進交流・ベトナムの枯葉剤被害障がい者支援関係者らが訪日
12-19日 対日理解促進交流・カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの若手公務員らが訪日
13日 米・コロンビア首脳会談(ワシントン)
13日 米国1月消費者物価指数(CPI)発表
13日 ブラジル2018年12月月間小売り調査発表
13日 金正男殺害から2年
13-14日 中東の平和・安定に関する閣僚級国際会議(ワルシャワ)
13-14日 北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会(ブリュッセル)
14日 UN軍縮委員会 組織会合(ニューヨーク)
14日 ロシア、トルコ、イラン3カ国首脳会談(ロシア・ソチ)
14日 米国1月小売売上高統計発表
14日 中国1月貿易統計発表(税関総署)
14日 18年10-12月期のユーロ圏域内GDP改定値(EU統計局)
14-15日 ロシア投資フォーラム(ロシア・ソチ)
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会 第42回会合(ローマ)
14-18日 サウジ・ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がパキスタンを訪問
15日 EU教育・青少年・文化・スポーツ理事会(ブリュッセル)
15日 中国1月CPI、PPI発表
15日 米政府機関閉鎖を解除する暫定予算措置の期限
15日か18日 ロシア1月鉱工業生産指数発表
15-17日 ミュンヘン安全保障会議(独ミュンヘン)
15-17日 オーストリア・クルツ首相の訪日
16日 ナイジェリア大統領及び総選挙
16日 故金正日総書記の誕生日

【来週の予定】
18日 EU外相理事会(ブリュッセル)
18日 米国・大統領の日(ワシントン誕生日)(ニューヨーク市場は全て休場)
18-19日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
18-22日 UN人権理事会諮問委員会 第22回会合(ジュネーブ)
18-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
18-3月8日 経済的、社会的、文化的権利委員会 第65回会合(ジュネーブ)
18-3月15日 国際民間航空機関(ICAO) Council phase 第216回会合(モントリオール)
19日 国連環境計画(UNEP)常任代表委員会 第145回meeting(ナイロビ)
19日 ASEAN-ロシア高級実務者会議(ASEAN-Russia Senior Officials'Meeting(ARSOM))(バリ)
19日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
19日 ファルコン9(インドネシア初のハイスループット通信衛星PSN 6等)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
20日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
20日 FOMC議事要旨(FRB)
20日 米・オーストリア会談(ワシントン)
20日 ソユーズST-B(OneWeb衛星10機)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
21-22日 EU外相理事会(貿易)(ブリュッセル)
22日 ユーロスタット、1月CPI発表
22日 ソユーズ2.1b(EgyptSat-A)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
22日 ソユーズST-B(OneWeb衛星10機)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
22日か25日 ロシア1月雇用統計発表
24日 タイ総選挙投票日
24日 キューバ・改憲案を問う国民投票
24日 モルドバ議会選挙
24日 第91回米アカデミー賞授賞式(ロサンゼルス)
24-25日 EU・アラブ連盟首脳会議(エジプト)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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