外交・安保カレンダー(12月12-18日)

今週のハイライトは何といっても15日の日露首脳会談だろう。山口県で開催するのは「国賓」でないことの証であり、その後、東京に来ても公式色は出さないのだろう。いずれにせよ、焦点は形式ではなく、サブスタンスだ。国際的に関心が高いのは、日露交渉とクリミア併合による対露経済制裁との関連があるからだろう。

それにしても、昨今日本のマスコミを中心に「期待値」が必要以上に高まっているのは何故なのか。筆者には良く分からない。領土問題や平和条約など戦略レベルの話をする時に、経済協力の多寡が決定的意味を持つとは限らない。されば、なぜ期待値が上がったり下がったりするのか、筆者には不思議ですらある。

いずれにせよ、オバマ大統領の任期は来年1月19日まで。ボクシングに例えれば、翌20日からは新たなラウンドが始まる。今回のラウンドで日本側がKOは無理にしてもダウンを奪えば、次回のラウンドの行方を左右する可能性が高い。逆に、ダウンがなければ、このラウンドは今後の長いバトルの末の判定の一要素でしかなかろう。

日露が戦略的重要問題について、ここまで首脳レベルで話し合ったこと自体、決して悪い話ではない。むしろ、よくここまで来たものだとすら思う。12月15日の結果がどのようなものとなるにせよ、日露、日中、中露、米中、米露関係などからなる東アジアの地域国際情勢は直ぐには解の出ない連立複次方程式だ。冷静に見るしかない。

〇欧州・ロシア
11日にトルコ大統領がカザフスタンを訪問、13日にはイスラエル首相がアゼリバイジャンを、ロシア外相がセルビアをそれぞれ訪れる。個人的には、こうした細かな動きが如何なる意味を持つかに大いに関心がある。どうも、欧州方面はロシアの思惑通りに動いているようで、実に不気味だが・・・。

〇東アジア・大洋州
15-16日に英外相が日本と韓国を訪問する。12-13日にはインドネシア大統領がインドを訪問する。

〇中東・アフリカ
12日に米国防長官がイスラエルを訪問する。13日にはロシアのエネルギー大臣がテヘランを訪れる。現在の中東を象徴するような主要プレーヤーの動きだが、ロシアはこの地域でトランプ政権と如何なるゲームをしようとするのか。いずれにせよ、トランプ政権の最大関心事が中東でのテロとの闘いであることだけは疑いなさそうだ。

〇南北アメリカ
トランプ政権の外交チームが揃いつつある。個々の人事についてコメントは差し控えるとしても、全体としてはあまり機能しなさそうに見えるが、どうだろうか。米国の外交安保政策は基本的に、NSC大統領補佐官と国防長官と国務長官が作る三角形がチームとして動くか否かにかかっている。しっかりしてほしいものだ。

〇インド亜大陸
17日からバングラデシュ首相が安全保障協力の新たな合意について話し合うためインドを訪問する。バングラとの安保協力とは何を意味するのか。やはり、イスラム過激主義テロ対策なのだろうか。今週はこのくらいにしておこう。

12月12日 メキシコ10月鉱工業生産指数発表
12日 EU外相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
12日 中東・北アフリカ地域における女性の経済・社会・政治的役割の推進に関する国際シンポジウム(東京)
12日 ピエール・モスコヴィッシ欧州委員がオランド大統領と会合のためパリを訪問
12日 コロンビアのサントス大統領がスウェーデンを訪問
12日 リトアニアのグリボウスカイテ大統領がウクライナを訪問
12-13日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
12-13日 インドネシアのジョコ・ウィドド大統領がインドを訪問
12-15日 欧州議会本会議(フランス・ストラスブール)
12-15日 欧州議会委員会会議(ストラスブール)
12-16日 日本からフィリピンへの薬物対策支援調査団の派遣
13日 ブラジル10月月間小売り調査発表
13日 中国11月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
13日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
13日 黒海経済協力機構外相会合(セルビア・ベオグラード)
13日 ロシア・イラン政府間委員会会合(イラン・テヘラン)
13日 ロシアのノワクエネルギー相がイラン訪問
13日 南ア第2四半期雇用統計発表
13日 日米韓六者会合首席代表者会合の開催(韓国・ソウル)
13-14日 米国FOMC
13-14日 国際女性会議WAW!(WAW!2016)の開催(東京)
13-20日 JENESYS2016 招へいプログラム(対象国:インドネシア、シンガポール、マレーシア、インド、第8陣)
13-21日 JENESYS2.0 香港・マカオ高校生訪日団の訪日(テーマ:文化、交流)
14日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(ドイツ・フランクフルト)
14日 南ア11月CPI、自動車生産・販売統計発表
14日 米国11月小売売上高統計発表
14-18日 タジキスタンのラフモン大統領がインドを訪問
15日 米国11月CPI発表
15日 ECB一般理事会(フランクフルト)
15日 日ロ首脳会談(山口県長門市)
15日か16日 ロシア1~11月鉱工業生産指数発表
15-16日 欧州理事会(ブリュッセル)
15-16日 ロシアのプーチン大統領の訪日
15-18日 第11回カンボジア輸出入一州一品展示会(プノンペン)
15-22日 MIRAIプログラム(冬・招へいグループ)
16日 インド10月鉱工業生産指数発表
16日 ロシア中銀理事会
16日 ユーロスタット、11月CPI発表
16日 南ア市場休場(和解の日)
16-18日 インテックス南アジア(縫製関連展示会)(スリランカ・コロンボ)
18日 コートジボワール国民議会選挙

【来週の予定】
12月19日 米国大統領選挙選挙人投票
19日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
19、21日 WTO、米国に関する貿易政策レビュー(スイス・ジュネーブ)
20日 メキシコ10月小売・卸売販売指数発表
21日か22日 ロシア1~10月貿易統計発表
22日 米国第3四半期GDP(確定値)発表
22日か23日 ロシア11月雇用統計発表
23日 メキシコ11月貿易統計・雇用統計発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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