外交・安保カレンダー(11月14-20日)

正直に言おう。先週の米大統領選ばかりは結果を読み切れなかった。直前まで、どちらが勝つかと問われても、「今年は予測したくない」とお茶を濁していた。トランプ勝利という一抹の不安が脳裏を過ったからだ。それにしても、トランプ氏は今後ちゃんと大統領の仕事ができるのか。

その答えはトランプ氏自身にも分からないのではないか。彼は政治経験がなかったことで当選したが、当選後は真の意味で「政治家」になる必要がある。政治家とは、選挙中は有権者に受けの良い公約を語るが、当選後は現実的な政治判断を下し、その政治責任を取る必要があるのだ。

政治家になる以上は、「選挙・キャンペーン」モードから、「統治・ガバナンス」モードに移行しなければならない。更に、統治、しかもアメリカ合衆国の統治を行う以上は、森羅万象について政治判断が求められる。何十人、何百人という専門家を信頼し、仕事を任せ、最後の政治責任を取るのだ。

トランプ政権の成否は、そもそもトランプ氏自身に、そのような選挙モードから統治モードへの変身が可能かどうかという一点にかかっている。もし、当選後も、トランプ氏がキャンペーンを続けようとすれば、その時点で政治家失格となる。逆にそれが可能なら、トランプ氏が「大化け」する可能性もある。

トランプ氏のリスクは、彼が政治を理解しない可能性だ。もしそうなら、日本だけでなく、世界の米国の同盟国が深刻な問題を抱える。オバマ政権ですら、米国の力を適切に使う能力は十分ではなかったが、トランプ氏が米国の同盟関係をないがしろにするなら、日本を含む多くの同盟国が弱体化し、ロシアと中国が高笑いし、結果的に米国はその偉大さを失っていくだろう。

〇欧州・ロシア
オバマ大統領の欧州歴訪がある。15-17日がギリシャ、17-18日がドイツだが、ベルリンではドイツ、オランダ、フランス、イタリアと英国の首脳とシリアやウクライナ問題などを議論するという。これらは不活性化したオバマ外交が残した負の遺産であるが、オバマ大統領がこれらを議論するとは、何と皮肉なことか。

〇東アジア・大洋州
14-18日に米中が災害支援のための共同軍事演習を行う。これも信頼醸成措置の一環だが、どの程度効果があるか気になるところだ。17日には安倍トランプ初顔合わせがNYで行われる。WSJに聞かれて、「二人はケミストリーが合うはずだ」などと楽観論を述べておいた。これが間違いでないことを祈ろう。

〇中東・アフリカ
14日から一週間、イスラエル大統領が訪印する。これまでも両国間の協力は進んでいるが、この訪問は象徴的な意味があるだろう。15日にドイツ外相がトルコを訪問する。トルコ外交はこれから欧州、中東、中央アジアのいずれを向いていくのだろうか。こうした動きは欧州と中東の関係を見る上では要注意だ。

〇南北アメリカ
15-17日にペルーでAPEC首脳会議が開かれる。中国の習近平主席はこの機会にエクアドル、ペルー、チリを訪問する。一方、APEC会合中に日露首脳会談も開かれる。オバマ大統領の任期もあと二ヵ月。日露が何らかの進展を望むなら、今やるしかないだろう。トランプの対ロシア観は大統領就任後に急変する可能性もあるからだ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

11月14日 中国10月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
14日 欧州議会委員会会議(ベルギー・ブリュッセル)
14日 ウクライナのポロシェンコ大統領がスウェーデンを訪問
14日 米国のケリー国務長官がオマーンを訪問
14-15日 EU外相理事会(ブリュッセル)
14-15日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
14-15日 米国のオバマ大統領がギリシャを訪問
14-16日 国際原子力機関理事会(オーストリア・ウィーン)
14-17日 第4回ホームランドセキュリティー&サイバーセキュリティー国際会議(Israel HLS&Cyber 2016)(イスラエル・テルアビブ)
14-18日 シンガポール・フィンテック・フェスティバル
14-18日 ガウク・ドイツ連邦共和国大統領の訪日
14-18日 WFP執行理事会(Second regular session)(イタリア・ローマ)
14-18日 国際原子力機関の海洋モニタリング専門家の訪日
14-19日 河井内閣総理大臣補佐官の米国訪問
14-27日 インド国際貿易フェア2016(インド・ニューデリー)
15日 米国10月小売売上高統計発表
15-16日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
15-19日 JENESYS2.0 第二十一回中国教育関係者代表団の訪日(テーマ:日本の教育)
16日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(ドイツ・フランクフルト)
16日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
16日 インド9月鉱工業生産指数発表
16日 在京アフリカ大使館を対象に、日本の「質の高いインフラ」を紹介する「平成28年度第3回シティ・ツアー」の開催(東京)
16日か17日 ロシア1~10月鉱工業生産指数発表
16-18日 コスモプロフ・アジア(Cosmoprof Asia)2016(香港)
17日 WTO物品貿易理事会(スイス・ジュネーブ)
17日 米国10月CPI発表
17日 ユーロスタット、10月CPI発表
17日 ISS第50次/第51次長期滞在ミッションのためソユーズMS-03を打ち上げ(カザフスタン・バイコヌール)
17日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
17日 安倍首相・トランプ次期米大統領、会談
17-18日 APEC閣僚会合(ペルー・リマ)
17-18日 国際原子力機関理事会(ウィーン)
17-19日 APEC・CEOサミット/APECビジネス諮問委員会(ABAC)首脳との対話(リマ)
17-19日 第2回国際カシューナッツ加工設備・技術見本市(コートジボワール)
18日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
19-20日 APEC首脳会議(リマ)
19-20日 日ロ首脳会談(ペルー・リマで開催のAPEC首脳会議時に)
20日 ハイチ大統領選挙
20日 栃木県知事選挙

【来週の予定】
11月21-22日 EU教育・若年・文化・スポーツ相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
21-24日 欧州議会本会議(フランス・ストラスブール)
22日か23日 ロシア1~9月貿易統計発表
22-25日 IDEAS(国際防衛展示会・セミナー)(パキスタン・カラチ)
23日 メキシコ第3四半期GDP発表
23日 南ア10月CPI発表
23日か24日 ロシア10月雇用統計発表
24日 メキシコ9月小売・卸売販売指数発表
24日 EUウクライナ首脳会議(ブリュッセル)
25日 ロシア第2四半期外国直接投資統計発表
25日 メキシコ10月貿易統計発表
25-27日 第12回タンザニア国際見本市
26日 クウェート国民議会選挙
27日 スイス国民投票


(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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