外交・安保カレンダー(4月18-24日)

今週の原稿は18日深夜ワシントンのホテルで書いている。時差で掲載が半日遅れたことをお詫びする。米国出張は今年既に三度目だが、今回はキヤノングローバル戦略研究所と米有力シンクタンク・スティムソンセンターが共催するシンポジウムに参加するので、従来の出張とはちょっと趣が異なる。

今回久し振りにワシントン特別区のSE(サウスウエスト、南東)のレストランで米議会の補佐官連中と夕食を食べた。当地には港が少なくとも二つある。一つは有名なジョージタウン・ハーバー、もう一つがSEのウォーターフロント地区なのだが、一昔前ならSEで夕食をとるなんて考えられなかった。

外務省研修時代の35年前は勿論のこと、ワシントン在勤時代の25年前だって、SEはアフリカ系貧困層が住む恐ろしい所。水辺のごく一部を除いては、ほとんど立ち寄ることのない場所だった。そこが今や小奇麗なレストラン街に変身し、周辺には多くの高層住宅まで建っている。昔ならおよそ考えられない光景だ。

今回痛感したのは、過去30年間ワシントンで最も拡大したのがIT産業でも、金融業でもなく、「政治」産業だったということ。昔はアフリカ系貧困層しか住まなかったSE地区は今や白人が移り住み繁栄する。逆に言えば、昔の貧困層住人は更に遠隔地にしか住めない。ここでも貧富の格差は拡大しているのだ。

以前トランプの支持者の中心に白人・男性・ブルーカラー・低学歴層がいると書いた。だが、彼らだけでなく、アフリカ系の脱落組も同様に「怒っている」に違いないと直感した。その怒りの矛先は米国の「光」である首都ワシントンだが、このワシントンの内部にも「影」は存在するのだ。

トランプを支持する米国の「ダークサイド」には、以前ここに住んでいたアフリカ系も含まれるのだろう。そうだとしたら、米国社会の闇は想像以上に深いと言わざるを得ない。但し、今回会った米国の友人たちにそうした危機感は殆ど感じられなかった。彼らも「光」の一部なのだろう。

〇欧州・ロシア 
今週の欧州は忙しい。18日にはリビアに関する首脳会議と仏大統領のエジプト訪問がある。20日にはNATO・ロシア対話、21日には欧州中央銀行の理事会、22日はユーロ圏のギリシャ問題会合、23日にはEU首脳のトルコ訪問、22日からはオバマ大統領が訪英・訪欧、24日にハノーバーでEU首脳と経済問題について話し合う。

〇東アジア・大洋州
17日から米国務副長官が日本、韓国、ベトナム、インドネシアを歴訪し、19日には北朝鮮問題で日米韓協議も行う。しかし、何といっても今週のハイライトは24日の北海道と京都の衆議院補欠選挙だろう。結果次第ではダブル選挙が不可能になるとも報じられるが、どうなるだろうか。

〇中東・アフリカ
18日にイエメンの和平会議をクウェイトが主催する。21日、イスラエル首相が訪露するが、同日オバマ大統領はサウジを訪問しGCCと首脳会議を行う。何とも象徴的な日程ではないか。

〇アメリカ両大陸
今週は19日の大統領選ニューヨーク予備選でトランプが過半数を制するかがポイントになる。もし勝者総取りでトランプが同州の代議員95人全員を獲得すれば、また先が読めなくなるかもしれない。ワシントンに着いてからの短時間でも友人たちの読みは猫の目のように変わる。彼らにとっては「生きるか死ぬか」の瀬戸際なのだろう。

〇インド亜大陸
18日からインドの国防相が、20日にはインドのNSC補佐官がそれぞれ訪中する。中国とインドはかなり頻繁に意見交換を行っているようだ。更に、18-19日には、印中露の外交当局高官が三極会合を行う。今週はこのくらいにしておこう。

4月18-19日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
18-20日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(アムステルダム)
18-20日 パキスタンンの総理大臣のアドバイザーがイギリス訪問
18-21日 ライフスタイルベトナム2016(ホーチミン)
18-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19日 米国大統領予備選挙(ニューヨーク州)
19日 カナダ・マニトバ州選挙
19日 日米韓次官協議(ソウル)
20日 南ア3月CPI発表
20日か21日 ロシア1~2月貿易統計発表
20日 英国労働市場統計(2015年12月-2月)発表
20-23日 石油・ガス見本市「エルビル石油・ガス国際見本市」(イラク・エルビル)
21日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(フランクフルト)
21日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
21-22日 インドネシアのジョコ大統領がオランダ訪問
22日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(アムステルダム)
22日か25日 ロシア3月雇用統計発表
22-23日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(アムステルダム)
22-24日 アメリカのオバマ大統領がイギリス訪問
23-24日 G7農業相会合(新潟県新潟市)
23日-10月30日 アンタルヤ国際園芸博覧会(トルコ・アンタルヤ)
24日 オーストリア大統領選挙
24日 セルビア議会選挙(暫定)
24日 赤道ギニア大統領選挙
24日 衆議院北海道第5区及び京都府第3区選出議員の補欠選挙(日本国内の投票日)

【来週の予定】
25日 メキシコ2月小売・卸売販売指数発表
25-26日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
25-28日 旅行関連見本市「アラビアン・トラベル・マーケット」(UAE・ドバイ)
26日 米国大統領予備選挙(コネティカット、デラウェア、メリーランド、ペンシルベニア、ロードアイランド州)
26日 メキシコ3月貿易統計発表
26日 イランのHossein Dehqan防衛大臣がロシア訪問
26-27日 米国FOMC
26-27日 ブラジル中銀、Copom
27日 英国第1四半期実質GDP成長率(速報値)発表
27日 メキシコ3月雇用統計発表
27-28日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
27-30日 マラケシュ航空ショー(モロッコ・マラケシュ)
28日 ドイツ3月労働市場統計発表
28日 米国第1四半期GDP(速報値)発表
28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29日 ユーロスタット、3月失業率発表
29日 ロシア中銀理事会
29日 フランス第1四半期実質GDP成長率(速報値)発表
29-30日 G7情報通信相会合(香川県高松市)
上旬 ラトビアのベーヨニス大統領がジョージア訪問
下旬 ブラジル3月月間雇用調査発表
4月中 米国民主党大統領候補者討論会(場所未定)
4月中 IMF世界経済見通し発表
4月中 ラオス第8期第1回国民議会
4月中 オーストリアのフィッシャー大統領がロシア訪問
4月中 CIS外相会議(ロシア・モスクワ)
4~5月 インドのタミル・ナドゥ、西ベンガル、ケララ各州議会選挙(予定)
5月1-2日 G7エネルギー相会合(福岡県北九州市)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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