外交・安保カレンダー(4月4日-10日)

先週末、パナマで大爆発が起きた。爆発といっても自爆テロではない。恐らく犠牲者の大半は世界の大金持ちや犯罪人となるだろう。タックスヘイブンで有名なパナマのMossack Fonsecaなる法律事務所から膨大な顧客リストや資料が流出したのだ。

流出資料は1150万件以上、数十万人分の詳細な顧客資料は過去39年分に上るという。パナマで節税すること自体は合法なのだろうが、もしこれにマネーロンダリングや汚職・脱税などを含む犯罪行為が絡めば、各国の司法当局も黙ってはいまい。

現時点でも、関係者の中にはプーチン大統領の側近、キャメロン首相の父親に始まり、ブラジルの政治家、パキスタン首相の親族、FIFAの倫理委員会関係者などが含まれると報じられている。このパナマペーパー、逃げ遅れるのは一体誰だろうか。日米中の関係者はいるのだろうか。実に興味深い。


〇欧州・ロシア 
欧州ではイースター明けで漸く仕事が再開される。4日にはギリシャの債務問題が議論され、EU・トルコ間の難民送還合意が実施される。だが、理由はどうであれ、一度EU内に入った難民が再びトルコに戻されるのだ。彼らの絶望を思うと胸が痛くなる。

〇東アジア・大洋州
4日から15日まで、豪比米が合同軍事訓練を行い、日本の海上自衛隊やベトナム海軍もオブザーバー参加する。指揮管理系統、通信、後方支援だけでなく、占領された海上石油・ガス掘削施設の奪還や海岸への上陸作戦の訓練も実施されるそうだ。これだけ役者が揃えば、同演習に対し中国が神経質になるのも当然だ。
5日からウクライナ首相が訪日するが、日本のできることは限られているだろう。他方、10-11日にはG7外相会談が広島で開かれる。漸くこのような舞台回しが可能になったのかと思うと、感慨深い。これも時代の流れということか。

〇中東・アフリカ
3日、アゼルバイジャン国内の飛び地ナゴルノ・カラバフ自治州で、アゼルバイジャン軍と同自治州に駐留するアルメニア軍が衝突した。最近までナゴルノ・カラバフは静かだったのだが・・・。4日にはアゼルバイジャンが停戦を宣言したものの、問題の根本的解決は難しいだろう。
一方、3日、イランが原油を増産し輸出量は200万b/dを超えたことが明らかになったそうだ。これでは原油市場のグラット(供給過剰)は当分続くに違いない。サウジアラビアはそれが分かっていたからこそ、減産しなかったのだろう。

〇アメリカ両大陸
トランプの日韓「核武装」発言には驚いたが、彼はNATOやサウジアラビアに対しても費用負担を求めており、その意味では(間違ってはいるが)発言内容には一貫性がある。
自らの発言がどれほど米国の国益を害しているか理解すらしていない大統領候補についてコメントするのは気が進まない。最近トランプの勢いに翳りが見えてきたような気もするが、それはまだ希望的観測かもしれない。トランプ旋風を過小評価するのはまだ早い。

〇インド亜大陸
7-8日に米国防省の取得担当次官が、続いて10-12日にカーター国防長官がそれぞれ訪印する。今週はこのくらいにしておこう。

4月4日 カナダ・サスカチュワン州選挙
4日 中国清明節休暇
4日 ユーロスタット、2月失業率発表
4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
4日 チャド議会選挙(予定)
4日 サウジアラビア・サルマン国王がエジプト訪問
4-8日 ケニア大統領がフランス、ドイツ歴訪
4-11日 インド・アッサム州議会選挙(予定)
4-22日 国連軍縮委員会(ニューヨーク)
4-5月5日 インド・西ベンガル州議会選挙(予定)
5日 米国2月貿易統計発表
5日 米大統領予備選挙(ウィスコンシン州)
5日か6日 ロシア3月CPI発表
5-7日 ウクライナ大統領夫妻が訪日
6日 EU・ウクライナ連合協定に関する国民投票(オランダ)
6日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
6-7日 インド石油・天然ガス大臣がイラン訪問
6-8日 ベトナムマニュファクチャリングエキスポ2016(VME2016)(ハノイ)
7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
7日 メキシコ3月CPI発表
7-8日 ロシア首相がアルメニア訪問
7-10日 タイランドオートパーツアンドアクセサリー2016(バンコク)
7-10日 米州開発銀行年次総会(バハマ・ナッソー)
7-10日 マニラ・インターナショナル・オートショウ
8日 ブラジル3月IPCA発表
8日 ジブチ大統領選挙
8日 CIS外相会議(モスクワ)
8-10日 インターナショナル・フランチャイズ・エキスポ(南ア・ヨハネスブルク)
9日 米国民主党党員集会(ワイオミング州)
9-10日 フランス首相がアルジェリア訪問
10日 ペルー大統領、国会議員選挙
10日 コモロ大統領選挙
10日 チャド大統領・国民議会選挙
10-11日 G7外務相会合(広島県広島市)
10-15日 イスラム協力機構(OIC)第13回サミット(トルコ・イスタンブール)

【来週の予定】
4月11日 中国3月CPI発表
11日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(アムステルダム)
11日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
11-12日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
11-14日 欧州議会本会議、委員会会議(ストラスブール)
12日 EU一般問題理事会(アムステルダム)
12日 英国3月CPI発表
12日 ブラジル2月月間小売り調査発表
12日 ドイツ3月CPI発表
12-15日 フード・アンド・ホテル・アジア2016(シンガポール)
12-19日 デビッド・ケイ意見及び表現の自由に対する権利の促進と保護に関する国連特別報告者(「表現の自由」国連特別報告者)訪日
13日 韓国第20代国会議員総選挙および補欠選挙
13日 中国第1四半期貿易統計発表
13日 米国3月小売売上高統計発表
13日 シリア議会選挙
13日 フランス3月CPI発表
14日 ユーロスタット、3月CPI発表
14日 米国CPI発表
14-15日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(アムステルダム)
14-15日 EU環境相理事会(アムステルダム)
14-15日 G20財務相・中央銀行総裁会合(ワシントン)
15日 中国第1四半期経済指標(GDP、CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
15日 WTO物品貿易理事会(ジュネーブ)
15日か18日 ロシア1~3月鉱工業生産指数発表
15-17日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
16日 インド1月鉱工業生産指数発表
17日 沖合における石油掘削の許可の制限に関する国民投票(イタリア)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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