外交・安保カレンダー(1月25-31日) 

今週は先週末の沖縄宜野湾市長選に注目したい。たかが一地方の市長選と侮る勿れ。選挙結果が東アジアの安全保障に大きな影響を与える可能性は十分あったからだ。同選挙では現職市長が2万7668票で再選され、県知事が強力に支援した対立候補は6000票近い大差で敗れた。この事実を我々は如何に解釈すべきか。

違和感を覚えるのは本邦各紙の「民意」に関する報道ぶりだ。ある県議は「直近の『民意』を失ったのは事実。これまで通りに辺野古反対を訴えるのは難しくなった」と。これに対し、名護市長は、「今回の結果で宜野湾市民が辺野古移設を認めていることにはならない」と述べた。どうやら移設反対派の中でも意見は割れているらしい。

今回の選挙結果により、「民意」は変わったのか。答えはYesであり、Noでもある。今回明らかになったのは宜野湾市長が同市有権者の多数の支持を得たこと。同時に、辺野古移設反対を唱えた対立候補が敗北したこと。この二つだけだ。だとすれば、少なくとも、県民の意見が反対(ないし賛成)に収斂しているとはとても言えないだろう。

これまでの移設反対派の勝利は別の選挙区での別の有権者によるものだ。これらを単純比較の上「民意」を云々しても、あまり意味がない。その点は賛成派も反対派も同じだ。もう一点指摘したいのは、どこの国でも、中央政府と地方自治体で役割が異なることだ。これだけは全ての関係当事者が受け入れるべき基本原則だろう。


〇欧州・ロシア
今週はイランが欧州に対する外交攻勢を強めている。大統領が25-26日にイタリアを、27日にはフランスを訪問するからだ。核関連合意が成立し、イランは積極的に欧州諸国との関係を深めようとしている。どうやらこれに対しては、サウジもイスラエルも、全くなす術がないようだ。

〇東アジア・大洋州
今週は米国務長官がアジアを歴訪する。25-26日にラオス・カンボジアを訪問した後、27日から北京に入るようだ。あまり愉快なことではないが、恐らく米中は、北朝鮮からシリア、イスラム国、インド・パキスタン、ウクライナに至るまで広範な意見交換を行うはずだ。日本外交は米中に「外されない」よう、注意深くフォローすべきである。

〇中東・アフリカ
今週中東で気になるのはエジプト情勢だ。25日にムスリム同胞団が2011年革命5周年の抗議行動を予定している。これに対し、カイロの刑事裁判所は31日に同胞団のモルシー前大統領らによる(カタルに対する)国家機密情報漏洩問題について裁判を再開するらしい。やはり、エジプトは何一つ変わらない、悠久の王国なのだろうか。

〇インド亜大陸
〇アメリカ両大陸
今週は両大陸とも静かなようだ。米国で大統領選が動くのは2月1日のアイオワ州党員集会から、今週はCNNで民主党のTV討論会がある。

1月25日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
25-27日 日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第4回会合(アンカラ)
25-27日 イラン大統領、伊・仏歴訪
25-28日 アラブヘルス(UAE・ドバイ)
25-28日 アフガニスタン外相、訪中
25-30日 世界保健機関(WHO)執行理事会第138回会期(ジュネーヴ)
25日-2月3日 国連NGO委員会通常会期(ニューヨーク)
25日-4月1日 ジュネーヴ軍縮会議第一部(ジュネーヴ)
26-27日 米国FOMC
26-27日 サイバー技術国際会議「サイバーテック2016」(イスラエル・テルアビブ)
26-30日 天皇、皇后両陛下がフィリピンを公式訪問
27日 欧州連合理事会常駐副代表委員会(Coreper I)、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
27日 ナイジェリア、エジプト両大統領、ケニア訪問
27日 米国務長官、訪中
27-29日 軍縮諮問委員会第65回会期(ジュネーヴ)
28日 ブラジル2015年12月月間雇用調査発表
28日 第6回共和党大統領候補者討論会(アイオワ州)
28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28-29日 中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)首脳会議開幕(エクアドル)
28-31日 教育&キャリアエキスポ(香港)
29日 米国2015年第4四半期および2015年年間GDP発表(速報値)
29日 ロシア中銀理事会
29日 米国務長官、カナダ訪問
30日 キリバス大統領選
30-31日 アフリカ連合総会(アディスアベバ)
31日 中央アフリカ大統領選
31日 東京都府中市長選投開票

【来週の予定】
2月1日 共和党、民主党党員集会(アイオワ州)
1日 アルメニアが2016年のユーラシア経済委員会議長国に
1日 米国2015年12月個人所得・消費発表
1-4日 欧州議会本会議、委員会会議(ストラスブール)
1-5日 国際麻薬統制員会第115回会期(ウィーン)
1日-3月18日 大陸棚限界委員会第40回会期(ニューヨーク)
2日 ユーロスタット、2015年12月失業率発表
2日 ブラジル2015年12月鉱工業生産指数発表
2日 インド中銀が金融政策発表
2日か3日 ロシア2015年経済活動別・需要項目別GDP統計発表(速報値)
3日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
3日 欧州連合理事会常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
3-4日 欧州連合理事会常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
4日 コロンビア大統領、訪米
5日 米国2015年12月貿易統計発表
5日 米国1月雇用統計発表
5日か8日 ロシア1月CPI発表
6日 第7回共和党大統領候補者討論会(ニューハンプシャー州マンチェスター)
7日 京都市長選投開票
7-9日 サウジ水・電力フォーラム(SWEF)2016(サウジアラビア・リヤド)
7-10日 韓国旧正月休暇

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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