外交・安保カレンダー(8月24-30日)

今週の焦点は何といっても南北朝鮮高官会談の行方だろう。発端は今月4日に軍事境界線の南側で韓国兵2人が地雷で負傷した事件。10日には韓国側が地雷は北朝鮮が最近埋めたと断じ、報復として拡声機による宣伝放送を11年ぶりに再開した。

拡声機は巨大なもので、遠くまで音が通るだけでなく、内容も金正恩を厳しく非難するものらしい。たかが放送とは思うのだが、北朝鮮としても我慢ならないのだろう。14日に北朝鮮は地雷への関与を否定、翌日には韓国に放送中止を要求している。

17日から米韓合同演習が始まったが、21日に北朝鮮は「準戦時状態」を布告する一方、南北高官会談を提案している。再び危機を煽ることで北朝鮮国内の引き締めを狙い、更には宣伝放送を止めさせて対韓国勝利を誇示するつもりなのだろうか。


〇東アジア・大洋州
24日の時点でも会談は続いている。内容は平行線でも話が続くということは、南北とも戦争する気などないということか。今北朝鮮の暴発を最も恐れているのは中国だろう。北京の言うことも聞かずに自滅でもされたら、中国のメンツは丸潰れだ。

いずれにせよ、米中とも第二次朝鮮戦争を望んでいない。中国は南北妥協に向け働きかけるかもしれず、米国もそれを内々歓迎するのではないか。なお、24日から日本の国交省とタイ運輸省との間で新幹線建設に関する協議が行われる。

〇欧州・ロシア
欧州は相変わらず。24日にベルリンで独首相・仏大統領・ウクライナ大統領の三者会談が、27日にはウィーンでウクライナ・EC・米国間で天然ガス協議が開かれる。また、28日からはアゼルバイジャンでロシアとトルコのエネルギー大臣会合がある。

〇中東・アフリカ
今週からイランとGCC諸国との協議が始まる。議題は勿論イラン核開発問題だろう。25日にはエジプト大統領が訪露の予定であり、別途同時期にサウジとヨルダンの国王が訪露するとの噂もある。流石に中東でのロシアの存在感は決して小さくない。

〇アメリカ両大陸
トランプ候補の勢いが止まらない。17人もの候補が乱立する共和党内でトランプ氏の支持率がダントツということは、米国民、特に中年以上のブルーカラー白人男性のワシントンに対する憤怒が渦巻いているということだ。

トランプ候補が大統領に選ばれることはないが、このまま彼の人気が続けば共和党は分裂する。そうなれば仮にジェブ・ブッシュが共和党候補に選ばれても厳しい戦いになるというのが現時点での相場観だろう。

その上、ヒラリーまでもが脱落したら・・・。米大統領選挙は本選挙400日前から民主・共和両党とも星雲状態、大乱戦・大混戦となる。この壮大な消耗戦、止めろとは言わないが、せめて少しでも短くはできないものか。

〇インド亜大陸
24日にインドとネパールが石油パイプライン建設で合意する。同日からインドの対外関係相がエジプトを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。


8月24日 第3回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合(クアラルンプール)
24日 ウクライナ大統領と独仏首脳が会談(ベルリン)
24-25日 包括的核実験禁止条約(CTBT)賢人会議(広島市)
24-25日 インド外相、エジプト訪問
24-26日 ガーナ大統領、モーリシャス訪問
25-27日 セーシェル共和国大統領、インド訪問
25-27日 エジプト大統領、ロシア訪問
26日 ガザ停戦1年26-28日 国連軍縮会議(広島市)
26-29日 2015ソウル国際建築博覧会 (ソウル)
27日 米国第2四半期GDP発表(改定値)
27-29日 米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール)
28日 ブラジル第2四半期GDP発表
28日 米7月個人所得・消費、米7月貿易収支速報値発表
28日 ポーランド大統領、ドイツ訪問29日 中国商務部長、バングラデシュ訪問
29-30日 南ア自動車展示会「Sandton Motor Show」(ヨハネスブルク)


【来週の予定】
30日 米国食品安全強化法(FSMA)、危害の予防管理についての規則最終化
30日 トルコ戦勝記念日
31日 インド第1四半期GDP発表
31日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
31日 世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関(DSB)会合
31日-9月1日 岸田文雄外相、ロシア訪問?
31日-9月4日 国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)第3回作業部会(ドイツ・ボン)
9月1日 韓国通常国会開会
1日 デンマーク・フェロー諸島議会選
1日 7月ユーロ圏失業率発表
1日 米8月新車販売台数発表
1-2日 ブラジル中銀、Copom
1-2日 インフラ展示会「Infrastructure Africa2015」(ヨハネスブルク)
1-5日 VIETBUILD 2015(ホーチミン)
2日 ブラジル7月鉱工業生産指数発表
2-3日 カザフスタン・ナザルバエフ大統領が中国訪問
2-4日 第4回薬物に関するASEAN担当相会合(マレーシア・ランカウイ)
2-4日 環境関連建設資材展示会「BEX ASIA」(シンガポール)
3日 ロシア・プーチン大統領が中国訪問
3日 米国7月貿易統計発表
3日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
3日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
3日 中国で抗日戦争勝利記念日(戦後70年)
3-4日 G20労働相会合(トルコ・アンカラ)
3-5日 東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)
4日 米国8月雇用統計発表
4日 ユーロスタット第2四半期実質GDP成長率発表
4日か7日 ロシア8月CPI発表
4-5日 G20財務相・中央銀行総裁会議(アンカラ)
6日 グアテマラ総選挙(大統領、国会議員、中米議会議員、市長)
6日 ポーランド国民投票(予定)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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