外交・安保カレンダー(10月6-12日)

今週も世界の注目は香港とISISのようだ。先週9月30日にNew York TimesとWashington Postが社説で香港の民主化運動を取り上げて以来、デモ参加者の強制排除を行わず、対話による平和的解決を模索するよう北京に求める声が高まっている。デモは予想以上に長期化しつつある、というのが筆者の正直な感想だ。

この問題については英語と日本語でそれぞれ論点を既に指摘しているので、ここでは繰り返さない。要するに、日本のメディアの香港民主化運動に関する報道はちょっと及び腰過ぎるのではないか、ということに尽きる。

他にも指摘したいことがある。例えば、世論調査の結果だ。香港で今騒いでいるのは主として若者であり、香港市民の過半数はこうした民主化運動を冷ややかに見ている。少なくともCNN報道にあるような興奮は現場の雰囲気とは違うようだ。

もうひとつは香港内部の世代間の温度差だ。民主化運動を冷ややかに見るのは中高年層、中でも中国の改革開放政策から経済的恩恵を受けたグループだという。これに対し、そのような幸運に恵まれなかった現在の若者が騒ぐのも当然なのだろう。

しかし、そもそも香港の人々は本当の民主主義を知っているのか。確かに香港には一定の言論の自由はあったが、それでは民主主義の伝統など本当にあったのか。大いに疑問である。

英国だって決して誇れたものではない。今の中国に香港民主化を求めるのは良いが、それでは英国が香港を植民地化した際、民主主義で統治でもしたというのか。何のことはない、返還直前に英国が民主選挙を実施しただけのことではないのか。 

ISIS関連で最も笑ったのはバイデン副大統領のハーバード大学での発言内容だ。これにはトルコとUAEが強く反発しているらしい。バイデンは「友人であるトルコ首相がISIS戦闘員志願者たちのトルコ通過を認めた」とか、UAEの「財政的支援が結果的にISISに流れた」と述べたそうだ。

一体何が問題なのだろう。シリア問題へのトルコ、カタル、UAEの介入は公然の秘密ではないか。バイデンはそれを不用意にも学生に喋ってしまっただけだ。中東では本当のことを喋る側が常に批判される。本当のことが知られると具合が悪いからだ。

その意味では、トルコもUAEも天に唾する話なのだろうが、そのくらいで引き下がるほど彼らはナイーブではない。問題の根本的解決は相当先になりそうだ。今週はこのくらいにしておこう。


10月6日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
6日 エジプト戦勝記念日
6日 第1回日EUサイバー対話(東京)
6日 NATO事務総長、ポーランド訪問
6-7日 日銀政策委・金融政策決定会合
6-7日 フィンランド外相、ロシア訪問
6-9日 平成26年度アジア大洋州大使会議(東京)
6-10日 国際組織犯罪防止条約締約国会議第7回会期(ウィーン)
6-17日 生物多様性条約(CBD)第12回締約国会議(COP12)(韓国、平昌)
7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
7日 第1回日EU宇宙政策対話(東京)
7日 IMF世界経済見通し発表
7日 第6回日ASEAN防衛次官級会合(横浜市)
7-8日 世界エネルギー・環境イノベーションフォーラム(エネルギー・環境技術版ダボス会議)(都内)
7-10日 化学兵器禁止条約機関執行理事会第77回会期(オランダ・ハーグ)
7-31日 市民的及び政治的権利に関する国際規約人権委員会第112回会期(ジュネーヴ)
8日 ブラジル9月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
8日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ルクセンブルク)
8日 IMF国際金融安定性報告書発表
8日 日米外務・防衛局長級協議(防衛協力小委)(都内)
8-9日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
8-10日 リトアニア国防大臣、アゼルバイジャン訪問
8-11日 台北国際電子産業テクノロジー見本市、台湾国際ブロードバンド通信見本市、台湾国際クラウド技術およびモノのインターネット見本市、台湾エコ産業・シティー見本市
8-17日 イスラエル仮庵祭(スコット)
8-22日 国連教育科学文化機関(UNESCO)執行委員会第195回会期(パリ)
9日 CIS外相会議(ベラルーシ・ミンスク)
9日 欧州議会エネルギー安全保障ハイレベル会合(ブリュッセル)
9-10日 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
9-10日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
9-10日 第2回ASEAN地域フォーラム(ARF)宇宙セキュリティワークショップ(東京)
9-11日 第2回ビジネス・アライアンス(部品調達展示商談会)(ホーチミン)
9-17日 中国首相、独ロ伊歴訪
10日 CIS首脳会議(ミンスク)
10日 アゼルバイジャン、アルメニア、フランス3ヵ国首脳会談(パリ)
10日 ノーベル平和賞発表
10日 9月3・4日の金融政策決定会合議事要旨(日銀)
10-12日 IMF・世界銀行年次総会(ワシントン)
12日 中国9月貿易統計発表
12日 ボスニア・ヘルツェゴビナ総選挙・大統領評議会選挙
12日 ボリビア大統領・国会議員選挙


【来週の予定】
13日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ルクセンブルク)
13日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
13-14日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
13-16日 エレクトロニック・アジア 2014(香港)
13-16日 香港エレクトロニクス・フェア(秋)2014
14日 インド8月鉱工業生産指数発表
14日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
14日 リベリア上院選挙
15日 北朝鮮拉致被害者5人の帰国から12年
15日 米国9月小売売上高統計発表
15日 中国9月CPI発表
15日 ブラジル8月月間小売り調査発表
15日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
15日 モザンビーク大統領選挙、国民議会議員選挙
15日か16日 ロシア1〜9月鉱工業生産指数発表
15-17日 台北国際テキスタイルフェア
16日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
16日 ユーロスタット、9月CPI発表
16日 ロシア大統領、セルビア共和国訪問
16-17日 第10回アジア欧州会合(ASEM)首脳会議(イタリア・ミラノ)
16-19日 第5回環境・エネルギー総合見本市(IGEM)(クアラルンプール)


(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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