外交・安保カレンダー(12月3-9日)

今週は筆者がアラビア研修で貴重な青春期を過ごしたあの「エジプト」がどうしても気になる。
詳しい事実関係を書く余裕はないが、12月15日に予定される新憲法草案の国民投票はモルシー大統領にとって大きな賭けとなるだろう。2日に予定されていた憲法裁判所の審理も物理的に妨害され、反対派国民の不満が高まっているからだ。
今カイロでは一体何が起きているのか。筆者はエジプト内政の「4権分立」状態だと考える。4権とは言うまでもなく、「軍権」と立法、行政、司法の「3権」だ。これを理解するには、少なくとも過去60年ほどのアラブ現代史を振り返る必要があるだろう。
近代以降のアラブ非産油諸国の内政を見ていると、いくつか共通点がある。政治権力は、王族にせよ、軍部にせよ、限られた少数グループが掌握する。しかし、資源のない国の最高権力者は日常の行政責任を負いたがらない傾向がある。
経済が悪いからか、市民社会が育っていないからか、原因は不明だが、とにかく経済が良くないからだ。貧困と無学の悪循環のため、ほぼ周期的に経済危機が発生し、運が悪ければ、大規模な社会的混乱や暴動にも発展しかねない。
失脚を恐れる最高権力者はそのような事態につき直接統治責任を負いたくない。だから、軍部であれ、国王であれ、面倒くさいことはテクノクラートの「首相」や「閣僚」に任せる。勿論、経済が悪化した時に、「トカゲの尻尾」として切り捨てるためだ。
ムバラク時代のエジプトは「2権分立」、すなわち「軍権」と「ムバラク独裁」の時代だった。ムバラク退陣後は「ムバラク権」が分解され、一見「民主化」したように見えた。だが、実態は軍部が「軍権」を維持する中、残りの「3権」が争い始めたに過ぎない。
軍は「ババ」を引きたくないので、表面上は静かにしている。だから軍ではなく、今は司法がムスリム同胞団の行政権を牽制する。司法はエジプトのエリートの端くれだが、軍とは立場が異なる。恐らく軍部は当面様子見だろう。
大統領は焦っているのか。「おいおい、モルシー君、あんたもかい?」とでも言いたくなる。ここで大統領が頓挫すればエジプトは再び新たな「堂々巡り」に入る。大統領が勝利し立法権まで掌握すれば、軍部はいずれ究極の決断を求められるだろう。


12月3日 第14回日・マレーシア次官級協議(クアラルンプール)
3日 非公式ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
3日 プーチン大統領、トルコ訪問
3日 米ブルガリア首脳会談(ホワイトハウス)
3日 クリントン国務長官、チェコ訪問
3日 中国共産党の賈慶林氏、コスタリカ訪問
3日 欧州経済社会委員会、アクティブ•エイジング欧州年閉会(ブリュッセル)
3日 欧州理事会、輸送、通信•エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
3日 全国で数値目標のない節電要請期間がスタート
3日 米11月ISM製造業景況指数
3日 中国11月非製造業PMI
3-4日 欧州委員会、年次会議「明日の都市:今日のアクション」(コペンハーゲン)
3-5日 欧州委員会、欧州宇宙ソリューション会議(ロンドン)
3-5日 パキスタン大統領、韓国訪問
3-7日 EU・アルメニアFTA交渉会合
3-7日 FAO、第145回FAO理事会(ローマ)
3-7日 IAEA、医学における放射線防護に関する国際会議(ボン)
3-12日 第15回環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉会合(オークランド)
3-14日 ITU、国際電気通信に関する世界会議(WCIT-12)(ドバイ)
4日 EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
4日 NATO・ロシア理事会(ブリュッセル)
4日 衆議院選、公示
4日 ユーロ圏10月生産者物価指数
4-5日 榛葉外務副大臣、南スーダンのジュバを訪問
4-5日 NATO外相会議
4-5日 クリントン国務長官、ベルギー訪問、NATO会議出席
5日 ハマス政治部門の最高指導者ハレド・メシャル氏が初めてガザを訪問
5日 トルコ首相、ハマスの最高指導者と会談(ガザ)
5日 イスラエル首相、ドイツ訪問(ベルリン)
5日 第3回日・ベトナム戦略的パートナーシップ対話(ハノイ)
5日 CIS首脳会議(トルクメニスタン)
5日 ユーロ圏10月小売売上高
5日 米11月ADP雇用者数、11月ISM非製造業景況指数
5-6日 東アフリカサミット2012(ルワンダ・キガリ)
5日か6日 ロシア11月消費者物価指数発表
5-8日 ハイチ共和国大統領、来日
6日 欧州中央銀行(ECB)理事会(フランクフルト)
6日 WTOサービス理事会(ジュネーブ)
6日 EU統計局、第3四半期のユーロ圏GDP発表
6日 格安航空ジェットスター、一部運休
6-7日 欧州中央銀行、負債、成長とマクロ経済政策に関する会議(フランクフルト)
6-7日 欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会(ダブリン)榛葉外務副大臣が出席
6-9日 フィギュアスケート・グランプリファイナル(ソチ)
6-9日 卓球ワールドツアー・グランドファイナル
6-16日 サッカー・クラブW杯
7日 ガーナ大統領・議会選
7日 ベネズエラ大統領、ブラジル訪問(メルコスールに出席)
7日 国連総長、シリア人難民キャンプ訪問(トルコ)
7日 パキスタンと米国、戦略的対話を再開(パキスタン)
7日 クリントン国務長官、北アイルランド訪問(ベルファスト)
7日 ギリシャ首相、ドイツ訪問
7日 ユーラシア開発銀行理事会(ベラルーシ・ミンスク)
7日 内閣府、10月の景気動向指数速報
7日 米国11月雇用統計発表
7日 欧州統計局、第2四半期国際収支統計発表
7日 米11月雇用統計、10月消費者信用残高発表
7日 中国国有の保険大手、中国人民保険集団(PICC)香港取引所にて株式上場
8日 栃木県知事選
8日 体操・W杯英国大会(グラスゴー)
8日 カザフスタン、CIS自由貿易圏に加盟
8-9日 モルディブ大統領、ネパール訪問
8-9日 スピードスケート・W杯長野大会
9日 皇太子妃雅子さま49歳の誕生日
9日 ルーマニア議会選挙
9日 ギリシャ首相、ドイツ保守政党バイエルンの党首と会談
9日 中国11月消費者物価指数、固定資産投資、社会消費品小売総額など発表
9日 モルドバ、CIS自由貿易圏に加盟


【来週の予定】
10日 中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与から2年
10日 欧州外相理事会(ブリュッセル)
10日 ノーベル平和賞授賞式(ノルウェイ)
10日 中国11月貿易統計発表
10-11日EU 競争担当相理事会(ブリュッセル)
10-13日 欧州議会本会議(ストラスブール)
10-14日 UNEP、第7回ナイロビ条約締約国会議(モザンビーク)
10-14日 UNESCO、第6回文化的表現の多様性の保護と促進のための政府間委員会(パリ)
11日 欧州理事会、一般問題理事会(ブリュッセル)
11日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
11日 米国10月貿易統計発表
11日 OPEC、月間石油市場報告発表
11-12日 米連邦公開市場委員会(FOMC)
11-12日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
11-4日 Automechanika Shanghai 2012(上海)
12日 欧州委員会、欧州会社法と企業統治に関する行動計画発表(ブリュッセル)
12日 「第4回シリアの友人」会合(モロッコ)
12日 インド9月工業生産指数、消費者物価指数、卸売物価指数発表
12-13日 欧州経済社会委員会本会議
12-13日 石油・ガス産業の将来的な技能・訓練ニーズ世界対話フォーラム(ジュネーヴ)
12-13日 第107回IFAD理事会(ローマ)
12-16日 競泳世界短水路選手権(イスタンブール)
13日 欧州地域委員会、「移動する若者:地域および地方当局の視点」会議(ブリュッセル)
13日 ミャンマー大統領、NZ訪問
13日 米国11月小売売上高統計発表
13-14日 EU首脳会議(ブリュッセル)
13-14日 欧州中央銀行、EUの財政ガバナンス改革に関する会議(フランクフルト)
13、17日 インド・グジャラート州総選挙(開票日12月20日)
14日 外務省・福島県、被災地産品の安全性に関する福島ワークショップ(福島県郡山市)
14日 12月の日銀短観
14日 米国11月消費者物価指数発表
14日 欧州統計局、11月消費者物価指数発表
15-17日 原子力安全に関する福島閣僚会議(福島県郡山市)
16日 日本衆議院選、投開票
16日 東京都知事選
16日 福島第1原発の冷温停止状態宣言から1年
16日 ベネズエラ州知事選挙など
16-20日 南アの与党アフリカ民族会議(ANC)党大会

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

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