外交・安保カレンダー(7月2-8日)

 先週6月29日、米国政府は日本政府に対し海兵隊の垂直離着陸輸送機(MV22)の配備計画を正式に通告した。MV22については日本の一部に強い批判があり、岩国基地への搬入と試験飛行、普天間飛行場への配備に暗雲が垂れ込めている。
 今週はこの問題について、可能な限り公平に、論点を整理してみたい。
MV22配備に賛成の人も反対の人も、また良く分からない人も、以下についてちょっと考えてみてほしい。但し、これは日米安保条約・地位協定の運用に多少なりとも関わった筆者の備忘録、敢えて結論は出さない。あくまで論点の整理である。
● 在日米軍はMV22を普天間に配備する日米安保条約上の権利がある
● 条約上MV22の配備は事前協議の対象とならない
● 日本政府や国内の地元自治体にMV22配備を「拒否」する権利はない
● MV22の普天間配備計画は昔から知られており、突然の配備ではない
● 他方、新型兵器に対する不安、政府の対応に対する地元の不満は理解できる
● 更に言えば、事故を心配する気持ちは日本人も米軍人も同じだ
● 本当に構造上の危険があれば、米軍人を守るため運用は直ちに中止される
● 海兵隊用MV22も空軍用CV22も現在毎日世界中で運用されている
● 民生用航空機、船舶、自動車ですら「安全」に「確信」を持つことなどできない
● MV22の事故率は他の同種または異種の航空機に比べむしろ低いらしい
● 詳細な報告書作成には最低数ヶ月かかり、通常は作成前に運用を再開する
● 如何なる事故においても「完璧」な事故調査報告など存在しない
● 「地元説得の自信のない」人に地元を説得することなど出来ない
 最近の日本国内の議論は「対米配慮」や「安全懸念」ばかり。筆者が最も気になるのは、「日本と極東の平和と安全のためにMV22が本当に必要か否か」という視点が抜け落ちてはいませんか、ということだ。
 「不要」であれば米側に計画自体を再考させるべきだろう。もし「必要」となれば、現在の議論は一体何なのか。少なくとも日本の安全保障問題ではない。むしろ、中央と地方政府の関係が流動化しつつある結果と考えるべきなのかもしれない。
 8日にはアフガニスタン復興国際会議が東京で開かれる。久しぶりに日本がイニシャティブを発揮するチャンスだ。


2日 ロシア首相、北方領土・択捉島訪問に向けウラジオストク入り
2日 6月の日銀短観
2日 ユーロ圏内製造業PMI確報値(6月)、失業率(5月)
2日 財務省、税収実績(5月)発表
2日 英製造業PMI(6月)
2日 米ISM製造業景気指数(6月)
2日 トロント市場休場(加建国記念日)
2日 香港市場休場(香港特別行政區成立紀念日)
2日 平成24年安全功労者内閣総理大臣表彰式(官邸)
2日東京、東北を除く7電力管内で節電要請スタート
2-4日 国連開発計画(UNDP)総裁、来日
2-4日 インドネシア大統領、オーストラリア・ダーウィンを訪問
 非常に面白いニュースである。ダーウィンといえば、昨年11月のハワイでのAPEC首脳会合後、オバマ大統領が訪問し、米海兵隊部隊2500人の駐留計画が発表されたところだ。ここにインドネシア大統領が来ることの政治的意味は小さくない。


2-5日 欧州議会本会議、委員会会議
2-5日 UNCTAD、第55回貿易と開発委員会(ジュネーブ)
2-6日 第64回国際捕鯨委(IWC)年次総会(パナマ)
2-6日 スペインのソフィア王妃、フィリピン訪問
2-9日 国連経済社会理事会、ハイレベル委員会
2-10日 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)第13回交渉(サンディエゴ)
2-27日 国連武器貿易条約策定会議(ニューヨーク)
3日 欧州委員会、EU経済利益の保護を改善する案を提案(ブリュッセル)
3日 欧州委員会、金融サービス部門について立法府による発案(ストラスブール)
3日 イラン核問題に関する実務者レベル会合(トルコ・イスタンブール)
 イランの核疑惑問題も長期戦となっている。5月には一時楽観論も流れが、どうやら糠喜びだったようだ。あの誇り高いイランが、全く信用していない欧米諸国に簡単に屈すると考える方が間違いだったのではないか。


3日 ユーロ圏生産者物価指数(5月)
3日 国際通貨基金(IMF)の米経済審査報告
3日 伊6月財政収支
3-4日 世界防災閣僚会議in東北(仙台)
4日 独伊首脳会談(ローマ)
 先日のEU首脳会議でかろうじて生き延びたイタリアと、苦渋の選択を強いられたドイツの間の首脳会議、今回は一体何を話すのだろう。個人的には大いに興味がある。


4日 ユーロ圏内非製造業PMI確報値(6月)、第1四半期のユーロ圏GDP確定値
4日 ドイツ5年債入札
5日 欧州中央銀行(ECB)理事会(独フランクフルト)
5日 英中銀が金融政策発表
5日 ECB理事会・ドラギ総裁会見
5日 スペイン債とフランス債入札
5日 中国新疆ウイグル自治区ウルムチ暴動から3年
5-6日 欧州委員会、キプロスを訪問(キプロス)
6日 米雇用統計(6月)発表
6日 第3回シリア国民の友人グループ閣僚会合(パリ)
6月 ラガルドIMF専務理事が講演・会見(東京)
7日 東ティモール議会選
7日 リビア制憲議会選挙
8日 鹿児島県知事選(投票日)
8日 アフガニスタン復興国際会議(東京)
8日 大相撲名古屋場所
8日 ギニア議会選


【来週の予定】
9日 改正入管難民法、改正住民基本台帳法施行/外国人登録制度を廃止、新しい在留管理制度導入
9日 ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
9日 内閣府、景気ウオッチャー調査(6月)
9日 HIVと法に関する国際対話(ニューヨーク)
9日 南スーダンが独立して1年
9-13日 第5回先住民族の権利に関するメカニズム(ジュネーブ)
9-27日 OHCHR、第5回人権委員会(ジュネーブ)
9-27日 第52回女性差別撤廃委員会(ニューヨーク)
10日 EU財務相理事会(ブリュッセル)
11日 米貿易収支(5月)
11-12日 日銀金融政策決定会合
11-12日 欧州経済社会委員会総会(ブリュッセル)
11-12日 IMFのトップがバンコク訪問
11-15日 南ア共産党大会代表選挙(ダーバン)
11-15日 ユネスコ、欧州科学オープンフォーラム(ダブリン)
13日 欧州委員会、2020年に向けた交通農業政策に関する会議
13日 欧州委員会、15日 星出彰彦さんが宇宙船ソユーズで国際宇宙ステーションへ
15日 コンゴ議会選
15-17日 南部アフリカ国際貿易展示会(南ア・ヨハネスブルク)

(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 宮家邦彦)

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