オーストラリア、F-35調達を延期-日本はどうする?

 4月6日付外交安保ブログでは、カナダでF35調達プログラムが暗礁に乗り上げていると書いた(/blog/security/2012/04/06_1323.html)。F35導入決定までの過程が杜撰だったとしてカナダ議会が紛糾、その結果、F35調達プログラムの監督権が国防省から公共事業省に移管された顛末について書いたものだ。
 それから1ヶ月あまりたった5月4日付のディフェンス・ニュース紙に、またもやF35プログラムについて不穏な記事が出た。タイトルはズバリ「オーストラリア、F35発注を2年延期(Australia Delays F-35 Order by 2 Years)」。同記事によれば、財政収支を黒字転換させるため、積極的に予算の見直しを行っているオーストラリア政府は5月3日、2015-2017年に納入が予定されていたF3512機の購入を2年延期する旨発表したという。
 F35開発の遅れを受けオーストラリアは2007年、F111退役からF35 納入までに生じる航空戦力上のギャップを埋めるため、F18を24機追加購入することを早々と決定していた。ところが、F35の開発が当初よりもさらに遅れることが確実なため、F18を更に追加調達する検討を既に始めているようだ。オーストラリアのスミス国防大臣は、「現時点では必要ないと判断している」としつつも、「正式な判断は今年末に下す」と述べ、再追加調達の可能性がまだあることを匂わせている。
 カナダ、オーストラリアだけではない。先週、イタリアのデ・パオラ国防大臣がワシントンを訪れたが、その目的は「F35の将来について国防省側と議論すること」だったという。既にイタリアは今年2月、F35の調達機数を当初予定していた131機から90機に減らすと発表している。
 このように各国がF35調達延期や調達機数削減を検討する中、F35 の単価が更に上がることは必至だ。また、F35 開発が現在の予定より更に遅れる可能性も十分あるだろう。そもそも、最大の顧客である米空軍がF35のIOC(Initial Operational/Operating Capability(初期運用能力、配備に求められる最低限の能力、一般には量産の目処がついたことを示す指標となっている)を未だリリースしていない。
 日本よりも早くF35取得に名乗りを上げたこれらの国々が開発遅延を見据えて代替策に奔走する中、日本の防衛省が代替策を真剣に検討している様子は窺えない。
 しかし、F35 が防衛省の求める期日に納入されない場合、日本の防空に穴が開いてしまう可能性は非常に高くなる。今こそ最悪の事態を踏まえた対応策を早急に検討すべきではないだろうか。

(辰巳由紀 キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)

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