外交・安保カレンダー(4月9-15日)

 今週は何と言っても、北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」がハイライトだ。12-13日ごろには「ミサイル」が発射されるだろう。それにしても、私のような者にまでメディアの取材が来るのは一体何故だろう。逆に私は朝鮮問題の専門家でないので、状況を以下の通りシンプルに考えることも許されるだろうと思っている。
 北朝鮮は「生き残り」のために核兵器開発を開始した。このロジックは基本的にイランと同じだ。中国は「朝鮮民主主義人民共和国」を維持しつつ、経済的に朝鮮半島の「北側」を自国経済圏に取り込む形での、中長期的な「現状維持」を画策している。
 経済的に成功した日本と韓国には「失うもの」が多すぎる。どちらも朝鮮半島の現状を変えるような戦争は望んでいない。日韓の協力を得られない米国もその点では同様だろう。残念ながら、この点は1994年以来基本的に変わっていないのだ。
 北朝鮮はこの「誰も戦争したくない」状況を最大限利用し、過去20年近く、戦術的利益の最大化に成功してきた。金正恩の時代もこうした北朝鮮の外交戦略の基本は変わりそうにない。要するに、北朝鮮は日米韓の足元を見ているということだ。
 そうであれば、日米韓にとって具体的な対抗措置は限られている。特に、日本一国で取れる更なる経済制裁には限界がある。安全保障面では、ミサイル防衛など自衛隊の対応準備を急ぐ等の防衛的対応が主になるだろう。
 一方、外交面では、実際に発射された後の日米韓の更なる連携強化、特に国連安保理での非難・制裁決議採択の可能性などにつき、既にかなり突っ込んだ水面下の意見交換が進んでいるはずだ。
 焦点は中国の動きだが、中国が現時点で北朝鮮に本気で圧力を掛けるとは思えない。更なる国連決議採択は容易ではなく、仮に採択されても北朝鮮にとっては「想定内」だろう。近く核実験が行なわれようし、六者協議も当面開催されない、はずだ。
 いずれにせよ、この種の北朝鮮の動きは従来ほぼパターン化しているもの。金正恩の下でも同じパターンが繰り返される可能性が高くなったということだ。逆に言えば、日本も下手に動揺せず、冷静な対応が必要ということに尽きるだろう。
 4月10日はシリアが国内の停戦を約束した期限であり、国連のアナン・シリア問題特使が精力的に動いている。それにしても、バシャールにはガッカリした。彼ならシリアを救うことが出来るのではと、淡い期待を持ったのはやはり間違いだったのか。
 

9日 オバマ大統領、ブラジルのルセフ大統領と会談(ワシントンDC)
9日 中国、3月のCPI発表
9日 台湾財政部、3月の貿易統計発表
9-10日 日銀金融政策決定会合
9-13日 第12回鉱業見本市「Expomin」(サンティアゴ)
10日 中国、2012年第1四半期貿易統計発表
10日 ギリシャ政府、銀行資本注入計画を発表
10-11日 ギリシャ船員総同盟、48時間ストライキ
 やはり、ギリシャはギリシャなのか。今更ギリシャを追い出すわけにも行かないだろうが、この国をEUに入れたのなら、トルコの正式加盟だって認められてしかるべきだとつくづく思う。


10-11日 キャメロン英首相、来日
 野田首相との会談では日英武器共同開発に関する議論も行われる予定とか。1980年代末、SDI(現在のミサイル防衛)関連の日米共同開発で武器輸出三原則がネックとなり、計画が思うように進まなかったことを思うと、まさに隔世の感がある。


10-11日 カザフスタン鉱工業生産指数(3月)発表
10-13日 第6回ロシア・中国・カザフスタン石油・天然ガスフォーラム(北京)
11日 韓国第19代国会議員総選挙
11-13日 バーレーン王国国王、来日
12日 インドネシア中央銀行金融政策委員会
12日 カザフスタン雇用統計(3月)発表
12日 米貿易統計(2月)発表
12日 オーストラリア3月雇用統計発表
13日 イラン核協議(イランと安保理常任理事国+ドイツの6カ国の間で)
13日 シンガポール2月小売統計発表
13日 ブラジル2月月間小売調査発表
13日 アルゼンチン3月消費者物価指数(IPC)発表
13日 米消費者物価指数(3月)発表
13日 中国、12年第1四半期主要経済指標(GDP、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
14-15日 第6回米州首脳会議「CUMBRE DE LAS AMERICAS」(コロンビア・カルタヘナ)
15日 金日成生誕100周年、金正恩氏が名実ともにトップ就任?
15日 タイタニック号が沈没してから100周年
15日-5月5日 第111回中国輸出入商品交易会(広州交易会)


【来週の予定】
16日 東ティモール大統領選(第2ラウンド)
16日 米小売売上高統計(3月)発表
16日 ナイジェリア3月消費者物価指数(CPI)発表
16-19日 「風力発電会議」(デンマーク・コペンハーゲン)
17日 カナダ中央銀行、政策金利調整日
17日 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)
17-18日 ブラジル中央銀行金融政策委員会
17-20日 南米森林投資サミット(サンパウロ)
17-20日 欧州議会本会議(仏ストラスブール)
18日 トルコ中央銀行(TMB)金融政策委員会
18日 カナダ中銀、金融財政報告書発表
18日 南アフリカ共和国3月CPI発表
18日 ウクライナ雇用統計(3月)発表
18-20日 EUエネルギー相・環境相会合(デンマーク)
19日 欧州中央銀行(ECB)理事会(独フランクフルト)
19日 ドイツ主要経済研究所が春季予測発表
20日 G20財務相・中央銀行総裁会議(米ワシントンDC)
20日 台湾経済部、3月の投資統計発表
20日 アルゼンチン2月経済活動月間指数(EMAE)発表
20-22日 IMF・世界銀行春季総会(米ワシントン)
20-23日 UNCTAD世界投資フォーラム(カタール・ドーハ)
21日 東ティモール大統領選(第2ラウンド) 
21-26日 第13回国連貿易開発会議(UNCTAD)総会(カタール・ドーハ)

(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 宮家邦彦)

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