遂に芸能界の大御所もCOVID-19の犠牲者となった。ほぼ同年代の筆者にとってこれは他人事ではない。医療関係者一部からも「緊急事態宣言」を望む声が出てきたという。オーバーシュート(感染例急増)は「時間の問題」という危機感なのだろうか。

 先週末、CIGS外交安保ユニットで国際テレビ会議を行った。東京とバンコクとワシントンを結び、一時間半近く外交安保ユニットの今後の活動について話し合った。それにしても便利になったものだ。新ウイルスにより、少なくとも今後数か月、下手をすれば一年、従来のような活動ができなくなるかもしれないからだ。危機感は募る。

 先週までなら、「まさかね!」とは思っていたが、今週になって考えが変わった。今後日本でオーバーシュートが起きなかったら、日本人は奇跡的に幸運なのだろうと思い始めたのだ。大規模な会場に多数の聴衆に来てもらい大講演を打つなんて、当分無理かもしれない。オオカミ少年はやりたくないが、これが今の筆者の本音だ。

 きっかけは一通のメールだった。ある国立大学に籍を置く高名な感染症専門家名で、「ウイルスと共存する長期戦略は存在しない・・・爆発的な感染拡大を止めるには我々の生存をかけた短期決戦」が必要だとするある学者の小論文を送ってきたのだ。正直なところ、最初は新手のスパムメールだと疑ったほどである。

 添付ファイルを下手に開くと「感染」する恐れもあったが、そこに書いてあったURL(https://www.fttsus.jp/covinfo/)を恐る恐るを開いたら、何と本物だった。横浜市立大学生命ナノシステム科学研究科の佐藤彰洋特任教授の小論は極めて衝撃的かつ黙示録的だった。概要を紹介させて頂く。

●COVID-19は・・・理論的には、「ウイルスを消滅させ終息させる」か、「全員がウイルスにかかり病気になる」かのどちらかしか、解はない。
●「オーバーシュート」・・・が発生すると、日本国の全人口に向かって1週間で約10倍の増加速度で感染者が増加していく。
●これが起こり始めるのは、4月9日頃・・・我々の意思決定でそれを制御できるのはその14日前の3月26日頃だった。
●今何もしないと、4月9日以降、感染者数1万人を超えた頃から、10万人までその1週間後、100万人までその2週間後、1000万人までその3週間後、と増えていく。

 佐藤教授の推測が間違いであることを祈りつつ、最悪の事態には備えるべきだと痛感する。政治を考える必要のない「感染症専門家」が、現時点で考え得る最も現実的な予測と提案なのだろう。多少なりとも危機管理をかじった者として、この種の「悪い話」は常に念頭に置く必要があると感じた。

 されば、CIGSは今何をすべきなのか。この新型感染病はソ連崩壊後の1990年代から人々が信じた「グローバル化」に対する反論ではないか。COVID-19は政治、社会、文化面でのグローバル化を後退させる一方、経済的グローバル化を促進する可能性がある。されば、我らがユニットがこれを研究する価値は十分あるだろう。

 今週のJapanTimesでは「Can a dictatorship better control COVID-19?」と題するコラムを書いた。感染症封じ込めについては、民主主義よりも独裁主義の方が優れているとの声もある。だが、それは民主か独裁かの選択ではなく、教訓を学んだか否かの違いでしかない、というのが結論だ。お時間があればご一読願いたい。


 今週は世界各地の外交的動きが鈍い。当然だろう、各国ともCOVID-19対応で忙殺されているからだ。ウイルス関連以外のトピックスを含め幾つか拾ってみた。

〇アジア
 4月4日から中国では清明節の休暇に入る、はずだった。清明節とは、春分の日から15日後にあたる祝日。人々はお墓参りや宴会で先祖を思いながら食事を楽しむというが、今年はどうだろう。中国のCOVID-19封じ込めは本当に成功しているのか。今後COVID-19の第二波が来たとき、中国政府は一体何と説明するのだろう。
 一方、日韓では通貨スワップ協定再締結をめぐり両国が再びギクシャクしているらしい。韓国側が再締結に前向きなのに対し、日本の財務大臣は「金を貸す方が頭を下げるという話は聞いたことない」と言い放ったそうだ。なるほど、日韓関係は理屈ではない。されば、この問題も容易には解決しないだろう。

〇欧州・ロシア
 欧州でのオーバーシュートの原因は中国の「一帯一路」だという人がいる。イランもイタリアも一帯一路の重要国で中国人が多くいるからだというが、本当にそうか。中国系が多いというなら、台湾、香港、シンガポールはどうだ。日本にだって多くの華僑がいるではないか。事実に基づく議論が今ほど必要な時はない。
 その欧州では、中国に感激したセルビアの大統領が五星紅旗にキスしただけでなく、習近平氏を「兄弟であり友人」とまで呼んだそうだ。欧州で孤立気味のセルビアとはいえ、実に節操がない話だ。それはともかく、他の多くの欧州諸国が最近の中国の動きを懸念していることは事実。これがアジア系差別にならないことを祈るしかない。

〇中東
 原油相場下落が止まらない。3月30日、ニューヨーク原油は一時19.92ドルとなった。パンデミックによる需要減退と露サウジ間の価格競争激化で安値は続くという。それにしても、サウジ皇太子は強気だ。生産量1050万BD(バレル / 日)を1200万BDにしてでもシェアを取りに行くらしい。どの程度勝算があるか知らないが、不安は募るばかりだ。

〇南北アメリカ
 流石の米国も今は大統領選挙どころではないのか。予備選挙が予定通り行えなくなってくると、バイデンの優位は動かないだろう。ちなみに、ワシントン・ポストの世論調査でトランプ(47%)とバイデン(49%)の支持率が拮抗しているという。前回はバイデンが7%リード、トランプが挽回しているというが、これを日本語では「目糞鼻糞」という。

〇インド亜大陸
 インド在住の友人が「ニューデリーでもCOVID-19 のロックダウンは時間の問題」だと言ってきた。インドでオーバーシュートが起きたら文字通り「地獄」になるが、それは他の途上国でのパンデミックの序曲に過ぎないのかもしれない。今週はこのくらいにしておこう。


3月30日-4月2日 欧州議会本会議
30日-4月3日 国連人口開発委員会 第53回会合(ニューヨーク)
31日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
31日 ヘンリー英王子夫妻が王室離脱
31日-4月2日 国連人間居住計画 執行理事会 2020第1回目定期会合
1日 ブラジル2月鉱工業生産指数発表
1日 EU2月失業率発表
1日 宿泊税導入(トルコ)
1日-2日 国連経済社会理事会 Youth forum(ニューヨーク)
2日 米国2月貿易統計発表
3日 国連経済社会理事会 Partnership forum(ニューヨーク)
3日 米国3月雇用統計発表
4日 G20教育相会合(リヤド)
4日 民主党大統領予備選挙(アラスカ、ハワイ、ワイオミング州)
4日 英労働党が党首選出
4日-6日 中国清明節休暇
5日 徳島市長選


【来週の予定】
6日 ロシア3月CPI発表
6日-24日 軍縮委員会 annual session(ニューヨーク)
7日 大統領予備選挙(ウィスコンシン州)
7日 メキシコ3月CPI発表
7日 ブラジル2月月間小売り調査発表
8日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
9日 FOMC議事要旨(3月17-18日開催分)(FRB)
9日 ブラジル3月IPCA発表
9日 ソユーズ2.1a(国際宇宙ステーション第62次及び63次長期滞在ミッション用ソユーズMS-16)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
9日 インド2月鉱工業生産指数発表
10日 中国3月CPI発表、PPI発表(国家統計局)
10日 米国3月CPI発表
10日 グッドフライデー(聖金曜日)(為替は通常取り引き、債権、株式、商品市場は休場)
10日 北朝鮮の最高人民会議(平壌)
15日 米国3月小売売上高統計発表

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2020年3月31日(火) | [ ]

 日本では一斉休校終了、宝塚劇団の公演再開など、少しずつではありますが、生活が日常に戻りつつあるのとは対照的に、アメリカは、3月13日(金)午後にトランプ大統領が「国家緊急事態宣言」を出して以来、緊張感が日ごとに増しています。私のワシントンDCでの職場、スティムソン・センターをはじめ、DCのシンクタンクは軒なみ公開イベントを中止・延期、職員も全員、在宅勤務が基本となりました。DCでは毎年3月下旬から4月上旬にかけて行われる桜まつりも中止となり、毎年、地元住民と観光客でにぎわうワシントンDCの桜の名所であるタイダル・ベイスンは、今年は、コロナウイルス拡大のリスクを抑えるため、23日(月)から封鎖となっています。

 各州でも、ジムも、プールも軒並み閉館、レストランもテイクアウトかデリバリーのみとなりました。Social Distancing (家族以外の人との間の距離を6フィート以上に保つこと)、Self-quarantine(自己隔離)といった言葉がすっかり毎日の会話の一部となりました。23日(月)にはメリーランド州もバージニア州も、州内のすべての学校(デイケアを除く)を年度が終わる5月下旬~6月上旬まで休校することを決定、共働き家庭に大きな打撃となるのは確実です。連銀の複数回にわたる介入と、経済を回すための金融緩和措置にも関わらず、株価は先物市場を含め、乱高下が続いています。

 トランプ大統領は、先週の国家緊急事態宣言以降この1週間、頻繁にコロナウイルスに関する記者会見を開き続けています。記者会見にはトランプ大統領だけではなく、本件対策の責任者であるマイク・ペンス副大統領、エボラ熱や豚インフルなど、これまでもパンデミックが国外で発生するたびに、メディアに引っ張りだこになっているアンソニー・ファウチ全米伝染病統制センター所長、1980年にエイズが流行し始めた際に陸軍の医官として対応に奔走、一気に知名度を上げた伝染病の専門家であるデボラ・ビルクス博士を含むコロナウイルス対応のためのタスクフォースの主要メンバーが勢ぞろいし、記者団の質問に答えています。

 23日(月)もトランプ大統領を筆頭にしたこのタスクフォースの記者会見があったわけですが、今回の記者会見でトランプ大統領のメンタリティーのシフトを感じました。先週までの記者会見では、トランプ大統領をはじめ、ペンス副大統領、ビルクス博士、ファウチ全米伝染病統制センター所長のいずれの発言を聞いても、「コロナウイルスによる被害は数か月続く」というどんよりしたムードが漂っていました。

 ところが、23日(月)の記者会見でトランプ氏は「我が国は2つのことを同時にできる」と発言。3月13日から15日間という期間で設けられた「自宅待機期間」が終わる3月末をめどに、少しずつ現在の外出規制などを緩和する方向に向けて方針転換したい雰囲気をムンムンと漂わせていました。また、タスクフォースの責任者であるブリックス博士も、世界各国から集まってきているデータを調査した結果、(1)15歳以下の子供の羅患率、致死率は極めて低い、(2)感染した人の80%は自然治癒するなどの傾向がある、と強調しています。また、感染者数が急ピッチで増加しているニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントン州のデータを具体的に上げて、この3州で起きている現象がいかにユニークなものであるかを強調しています。

 特に興味深かったのが、記者会見でブリックス博士が繰り返していた「personal responsibility 」という言葉です。ちょうど23日(月)はランド・ポール上院議員がコロナウイルスに感染したニュースで朝から持ち切りでした。特に、コロナウイルス感染テストを受けた後に、結果を待たずにポール議員が上院のジムを使い、プールで泳いだりしていたことが、一般の国民にはSocial Distancing を励行しておきながら矛盾している、と批判の対象になったのです。この件について「議員の行動は軽率だったとは思わないか」と質問されたブリックス博士は、3月13日の記者会見でホワイトハウスから出たガイドラインの資料を掲げながら「先週、このガイドラインを発表した時に、どうしても仕事に行かなければいけない人たちがいる状況の中で、どのように自分たちの健康を守るかというのは自分でも責任を持って行動しなければならない問題だと言いました。たとえ自分の周りに軽率な行動をとる人がいたとしても、このガイドライン(手洗いの徹底、菌の生存率が高い場所の除菌の徹底、体調の不調を感じた場合の検温)に従えば自分の身を守ることは可能です」と答えたのです。

 トランプ大統領は、2週間前のガイドライン実施以降、米国内の経済活動が停滞していることにいら立っていると報じられています。すでにトランプ大統領の支持層である保守派の間では、自己隔離政策などが経済を直撃していることに対する不満が広がりつつあると言われており、24日にはダン・パトリック・テキサス州副知事が、「米国経済は、現在のような閉鎖に長期間耐えられるようにはできていない」「仕事に戻ろう。普段の生活に戻ろう」と発言したことが報じられています。

 各州が学校の一斉休校、レストラン内での飲食禁止(デリバリーか持ち帰りのみ)などの対策を次々と打ち出す中、この感じだと、トランプ大統領が「感染率が特に高い州を除いて」という例外条項付きで、自己隔離策などの緩和を各州に求める方針を打ち出してもおかしくないなと感じました。

 このような状況の中、ニュースの重要度という観点からは「1にコロナ、2にコロナ、3,4がなくて5に民主党大統領予備選」と化した感のある民主党大統領予備選では、着実にバイデン前副大統領がサンダース上院議員に対するリードを広げています。バイデン前副大統領は、3月17日にイリノイ、フロリダ、アリゾナの3州で行われた予備選のすべてで勝利し、3月23日の時点では、民主党予備選で大統領候補指名を獲得するために必要とされる代議員1,991人中の半数以上を占める1,139人をすでに獲得、サンダース上院議員に獲得代議員数で300人以上の差をつけています。今後、「早く撤退してバイデン支持を表明しろ」という圧力がサンダース陣営にかかるのは必至です。

 そこで気になるのが、リベラル派候補としてサンダース上院議員と支持層を奪い合った結果、大統領選撤退を表明したエリザベス・ウォーレン上院議員の動向です。彼女がバイデン前副大統領への支持を表明すれば、サンダース陣営にとっては、とどめの一撃となるでしょう。逆にウォーレン上院議員にしてみれば、バイデン前副大統領に対する支持表明を出すことで、バイデン陣営に大きな貸しを作ることができ、政策プラットフォームに彼女の意向を反映させるチャンスが大きくなります。それだけでなく、「バイデン政権」の中での彼女自身、そして彼女のスタッフの人事にも影響力を行使することができるわけです。「引き際が肝心」とはいろいろな世界でよく言われますが、早めに大統領選撤退を表明したことで、かえって自分の影響力を増すことに成功したウォーレン議員はまさのその典型でしょう。

 コロナウイルスをめぐるトランプ大統領の動きに民主党予備選と、アメリカ政治は相変わらず盛沢山です。


(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員 辰巳由紀)

2020年3月25日(水) | [ ]

 先週末JapanTimesと産経新聞用のコラム原稿を書いていた頃、米国の感染者数は「3万人を突破した」などと報じられていた。ところが現在(24日早朝)は4万5千人に近付きつつある。これって本当のオーバーシュート(感染例急増)ではないか。「アメリカの検疫体制は最先端」という我々の勝手な「神話」が消えた瞬間である。

 今米国では「social distancing」とか「ventilator」といった普段使わない英語が飛び交っている。前者は「密閉、密集、密接」を避けること、「公の場等で他人と一定の距離(間隔)をとること」を意味する。一方、後者のベンチレーターは「通風機」ではなく、病院で使う「人工呼吸器」のことだ。なるほど、ventilateする機械だから当然か。

 今米国の病院ではマスクだけでなく、この人工呼吸器が不足している。CNNではニューヨーク州クオモ知事がこの点を力説していたが、そのインタビュー相手は何と実弟のクリス・クオモだから笑ってしまう。いずれにせよ、米国の感染者数急増やCNN等トランプに批判的なメディアの狼狽振りは信じ難いというのが率直な印象だ。

 正直なところ、日米のメディア報道は大半がコロナウイルス関連で、やや食傷気味ではあるが、命に関わることなので仕方なかろう。上記コラムでは、「今回のパンデミックは旧約聖書創世記第11章の『バベルの塔』を破壊した『神の怒り』ではないか。バベルの人々が建設した『神をも恐れぬ』巨大な塔は今の『グローバル化』」だと書いた。

 COVID-19は米大統領選に如何なる影響を及ぼすのか。トランプ政権の対応次第だろうが、この点、ニューヨークタイムズは「側近たちは縄張り争い、補佐官たちは自己防衛、優柔不断の大統領は自分を批判するメディアに責任転嫁、専門家を信用せず、彼らの提案を無視、娘婿を含むごく少数しか信じない」と辛口に書いていた。

 残念ながら、これがトランプ政権の実態だ。昔なら今頃米国大統領は全世界に向け、「米国大統領の下でこのパンデミックとの戦いに勝利しよう」と演説したに違いないが、そうした時代は終わった。今週、JapanTimesでは今回のパンデミックの影響について、産経新聞では危機管理と政治家の評価について書いた。是非御一読願いたい。

 日本の大きな国際ニュースも殆どがウイルス関連。時々テレビ局に呼ばれることは光栄なことだが、最近の話題はパンデミックに関するものばかり。メディアの人々も内心はこれで良いのかと思っているに違いないが、やはり視聴者の関心の大半は「今そこにある健康に関する危機」なのだろう。

 今週コロナ関連以外で最も気になったのは、中国系オーストラリア人が中国のスパイだったという報道だ。豪州メディアは、現在中国が拘束している作家ヤン・ヘンジュン(楊恒均)氏が14年間、実は中国の情報機関である国家安全省のスパイだったと報じている。反体制作家という触れ込みが実はスパイだった?さすがは中国だ。

 報道によれば、ヤン氏は復旦大学卒業後に中国外交部に入ったとされていたが、これは虚偽で実際は国家安全省勤務だったという。やっぱりね!というのが率直な感想だ。考えてみれば、「反体制派」型スパイなら簡単には見抜けないので、実に巧妙なやり方である。オーストラリアに一人いるなら、日本には一体何人いるのだろうか。

 もう一つ気になったのは北朝鮮だ。 21日、北朝鮮が再び2発の飛翔体を発射したが、飛距離は410キロで高度は50キロの低高度、弾頭は一度下降し再び上昇する不規則な軌道を描いたという。それが事実であれば、例の「イスカンダル型」ミサイルを含む新型ミサイルであり、依然北朝鮮の新型兵器開発が続いていることを示している。

 トランプ政権が北朝鮮に親書を送ったのに対し、22日、委員長の妹キム・ヨジョン(金与正)が談話を発表。親書受領を確認し、「米大統領が感染防止につき協力する意向を示し、米朝関係を発展させるための構想も説明した」と述べたそうだ。北朝鮮での感染拡大の噂は絶えないが、金正恩も北朝鮮のことを「構ってほしい」のだろう。

〇アジア
 武漢では18日以降新たな感染者はゼロらしいが、そんな発表を信じるのは、中国人でも多くないだろう。2月中旬の段階で中国政府の大御所専門家が「2月中にピーク、4月までに収束を期待する」と公言し、3月には国家主席が武漢に入って「収束宣言」をしたのだから、後は数字を合わせるしかない。それだけの話である。
 国内で新感染者が出ても数えず、増加分は海外からの帰国者、入国者が「持ち込んだ」と説明する。死者が出ても死因を変えれば良いだけだ。中国が外国から中立の独立した医師や専門家を受け入れ、公開の合同調査を行わない限り、如何なる数字も信用できない。むしろ、中国では第二波発生の方が心配である。

〇欧州・ロシア
 イタリアから始まった欧州でのパンデミックは遂に英国にも波及し医療崩壊が懸念されている。それにしても、どうして欧米でオーバーシュートが発生するのか、不思議だ。イタリア人はウイルスを過小評価し、米国人の若者は外出禁止令でも自由に振舞う。もしかしたら、欧米の個人主義の弱点が意外なところで露呈したのだろうか。

〇中東
 ついにシリアで新型ウイルス感染者が見つかった。しかし、これが最初の例ではなかろう。今のシリアでしっかりとした検疫制度が確立しているとは到底思えないからだ。しかも、シリアには中東のオーバーシュート国家イランから多数の兵士や市民が潜伏しているはず。内戦とコロナウイルスのダブルパンチでシリアの悲劇はまだ続く。

〇南北アメリカ
 日本の一部メディアで「トランプ大統領が有能なマネージャーの側面を初めて見せた、コロナ対応で支持率急上昇! 大統領選の追い風に」という記事があった。大統領のウイルス対応に「支持」が55%、「不支持」が43%で、一週間前より「支持」が12ポイント増加、「不支持」が11ポイント減ったという。でも、それがどうしたのか、と思う。
 理由は簡単だ。危機の際、米国民は大統領の下で結束する傾向がある。普通の大統領が普通に対応しても、支持率が70-80%となることは決して珍しくない。これが米国の真の強さだ。ところが、トランプ氏の今回の支持率はわずか55%しかない。これを「急上昇」、「大統領選の追い風」などと即断するのはやや時期尚早ではなかろうか。

〇インド亜大陸
 特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。


<23-29日>
23日 EU外相理事会(防衛)テレビ会議
23日-24日 EU農水相理事会
23日-27日 Astra Rocket3.0(低軌道技術実証衛星or 電離層探査 NSLSAT1)打ち上げ(アラスカKodiac)
23日-4月3日 UNESCO執行理事会 第209回会合
24日 EU一般問題理事会(結束)
24日 ブラジル1月月間小売り調査発表
24日 ロシア2月雇用統計発表
24日 共和党党員集会(米領サモア)
24日 第4回宇宙開発利用大賞外務大臣賞の表彰(外務省)
24日 ヴェガ(小型宇宙機ミッションサービスの実証フライト等)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
25日 先進7カ国(G7)外相テレビ会議
25日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26日 欧州議会委員会会議
26日 メキシコ2月雇用統計発表
26日 米国2019年第4四半期および2019年年間GDP発表(確定値)
26日 フォークランド諸島国民投票
26日 安倍首相が東京五輪聖火リレー出発式に出席(福島県)
26日-27日 欧州理事会
27日 国連上訴裁判所 Spring session
27日 米・2月PCE物価指数(商務省)
27日 メキシコ2月貿易統計発表
27日 タジキスタン上院選挙
27日 エレクトロン("Don't Stop Me Now" ANDESITE, NRO)打ち上げ(ニュージーランド・マヒア半島)
29日 民主党大統領予備選挙(プエルトリコ)
29日 マリ国民議会選
29日 欧州各国夏時間入り


<30日-4月5日>
30日-4月2日 欧州議会本会議
31日 EU一般問題理事会 非公式会合(結束)
31日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
31日 ファルコン9(SAOCOM 1B他)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31日 ヘンリー英王子夫妻が王室離脱
31日-4月2日 国連人間居住計画 執行理事会 2020第1回目定期会合
1日 ブラジル2月鉱工業生産指数発表
1日 EU2月失業率発表
1日 宿泊税導入(トルコ)
2日 米国2月貿易統計発表
3日 米国3月雇用統計発表
4日 G20教育相会合(リヤド)
4日 民主党大統領予備選挙(アラスカ、ハワイ、ワイオミング州)
4日-6日 中国清明節休暇

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2020年3月24日(火) | [ ]

 「状況は悪く(bad)、制御されていない・・・事態は8月、7月またはそれ以降も続くかもしれない・・」ええっ、一瞬筆者は耳を疑った。3月16日、ドナルド・トランプ氏が、米国での感染発生後初めて、常識的かつ悲観的ではあるが、「有事の大統領」らしく、事実に基づいた厳しい現状分析を、神妙な面持ちで、ようやく口にしたからだ。

 13日に国家非常事態宣言を出したものの、15日までのトランプ氏は「(ウイルスは)素晴らしく制御されている」などと嘯いていたのに。これまでの楽観的というか、衝動的で、何の根拠もない、大統領選挙のためだけの、政治プロパガンダを繰り返すトランプ氏は消えた。「勢いと偶然と判断ミス」のトランプ政治は当面封印されるだろう。

 NY株式が再び暴落した3月16日は歴史的潮目として記憶されるかもしれない。直近の市民生活や世界経済の行方だけでなく、本年後半に予定される東京オリンピック・パラリンピックから11月の大統領選挙まで、多くの政治、経済、社会的イベントの行方を暗示していると思うからだ。政治家トランプ氏にとっては文字通り正念場だ。

 トランプ氏に言われなくても、新たなパンデミックは既に深刻だ。仏独伊西など西欧先進国が感染の新たな震源地となり、全世界で入国制限が始まった。しかも、本来の震源地である中国は各国に医療支援を申し出ているという・・・。一ヵ月前なら想像もしなかったことが今や現実となりつつある。遂に中国の反撃が始まったのだ。

 3月12日、中国外交部の報道官は英文でこうツイートした。"When did patient zero begin in US? How many people are infected? What are the names of the hospitals? It might be US army who brought the epidemic to Wuhan. Be transparent! Make public your data! US owe us an explanation!"

 要するに、「武漢にウイルスをもたらしたのは米陸軍かもしれない。アメリカよ、透明性はどうなったのだ?持っている情報を公表せよ。アメリカは中国に説明する義務がある」などと喧嘩を売ったのだ。それにしてもこの報道官、良い度胸ではないか。天下の米国に「ウイルスは米国製で中国は犠牲者かもしれない」と吠えているのだから。

 早速米国務省は東アジア太平洋担当次官補が中国大使を呼びつけ厳重に抗議するとともに、この種の中国による「米国陰謀論」は極めて無責任であり、受け入れられないと反論した。だが、こうした中国のやり方は別に目新しくない。2002年の筆者個人の経験を今週のJapanTimesに書いたので、お時間があればご一読願いたい。

 先週日本では、ウイルス感染拡大に伴い、新型コロナウイルス対策に関する特別措置法が改正された。同法により内閣総理大臣が「緊急事態宣言」をすれば、知事による外出自粛や学校休校などの要請・指示も可能となる。「あれあれ、日本ではまだ非常事態宣言すらできなかったのか」とは思うが、無いよりは遥かにマシだろう。

 新型ウイルスをめぐる日米両国政府の対応振りを比べてみると、私権制限などの強制措置を含め、様々な緊急事態に対応できる包括的制度が日本にはないことに改めて驚愕する。1945年以来、日本は何をしてきたのか。平和国家の名の下に、過去七十余年、本来なら当然片付けておくべき多くの宿題を放置してきたのではないか。

〇アジア
 新型ウイルスは、中国で感染例が減少し始めた。韓国大統領も感染拡大防止に自信を深めている。同国の検査体制が米国で高く評価されたからだろうか。これに対し、日本ではまだ感染者が増え続けている。感染検査例が増えれば、当然感染者数も増えるだろう。日本以外の状況を考えれば、東京オリパラはそもそも難しそうだが・・・。

〇欧州・ロシア
 先週のイタリアに続き、スペインやドイツでも感染対策が大幅に強化された。16日にはフランス大統領が17日正午から買い物・通勤を除き15日間、仏全土で外出を制限すると発表、違反者は処罰されるという。マクロン大統領の認識は、フランスがウイルスと戦争状態にあるということだ。極めて正しい判断である。
 このままでは欧州が中国以外では世界最大の感染地帯となるが、その理由は不明だ。イタリアの一部市民がCNNに対し、「イタリアの失敗を繰り返すな、我々はウイルスを過小評価していた」と述べたという。なるほど、「ミラノの中国人」だけが原因ではなかった。最大の原因は「極度の楽観主義と危機意識の欠如」だったのだろう。

〇中東
 このところ中東は異様なほど静かだが、イラン以外にも、あの地域で新型ウイルスに脆弱な国は少なくないはずだ。検査が行われないため実態が不明である可能性が高いが、大丈夫だろうか。これから気候が温暖になれば必ず中東難民の欧州流入が再開されるが、欧州の現状に鑑みれば、新たな悲劇が起きることを強く恐れる。
 シリアでは先週末から北西部イドリブ県でロシア軍とトルコ軍による共同パトロールが始まった。10日前の露土首脳会談で合意した停戦の監視が目的だが、停戦合意は破られるためにあるようなもので、解決は全く見通せない。これに失敗すれば、欧州への難民移動が再び始まる。EUのシェンゲン協定が崩壊しないと良いのだが。

〇南北アメリカ
3月15日に米大統領選民主党候補指名を争うバイデン前副大統領とサンダース上院議員の二人による初のテレビ討論会が行われたが、テレビ中継を見る限りでは、どちらかというと、バイデン候補に分があったように思う。また、バイデン氏は副大統領候補に女性を起用すると約束した。さて、一体誰になるのだろうか。
 欧州からの米国入国禁止に伴い米国に帰国した米国人が自国の空港で長蛇の列を作っている映像がCNNで流れたのには驚いた。米国よ、お前もか、ということだが、日本にとって決して対岸の火事ではない。ウイルス感染のピークは何度も来る可能性があるからだ。

〇インド亜大陸
 特記事項なしだが、インドの感染状況が気になるところだ。今週はこのくらいにしておこう。


2月24日-3月20日 国連人権理事会 第43回会合(ジュネーブ)
16日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
16日 中国1-2月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
16日-17日 WTO物品貿易理事会(ジュネーブ)
16日-19日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
17日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
17日 米国2月小売売上高統計発表
17日 ロシア1-2月鉱工業生産指数発表
17日 民主党大統領予備選挙(フロリダ、イリノイ、オハイオ、アリゾナ州)
17日 共和党党員集会(北マリアナ諸島)
17日 賄賂罪などに問われたイスラエル首相の初公判
17日 ソユーズ2.1b(ロシア航法測位衛星GLONASS-M 760)打ち上げ(プレセツク宇宙基地)
17日-18日 米国FOMC(FRB)
17日-18日 ブラジル中銀、Copom
17日-19日 APEC財務相代理・中央銀行総裁代理級会合(クアラルンプール)
18日 EU 2月CPI発表
18日 米、EUからの航空機に対する関税を15%に引き上げ
18日 ファルコン9(スペースX社スターリンク衛星6 60機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
18日-19日 G20農業相会合(サウジアラビア・リヤド)
18日-27日 カイロ国際見本市「CIF 2020」開催(エジプト・カイロ)
18日-4月24日 アフリカ経済委員会(ECA) 第53回会合(アディスアベバ)
19日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
19日 米・2019年10-12月期の経常収支(商務省)
19日 バヌアツ議会選
19日-21日 クラスノヤルスク経済フォーラム(ロシア・クラスノヤルスク)
20日 EU競争担当相理事会 非公式会合(域内市場・産業)(ザグレブ)
20日 ロシア1月貿易統計発表
20日 ロシア中央銀行理事会
20日-22日 ケニア国際トレードショー2020(ナイロビ)
22日 熊本県知事選
22日 ソユーズ2.1b(ワンウェブ衛星#3 34機 バイコヌールフライト #2)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)


<23-29日>
23日 EU外相理事会(防衛)(ブリュッセル)
23日-24日 EU農水相理事会
23日-27日 Astra Rocket3.0(低軌道技術実証衛星or 電離層探査 NSLSAT1)打ち上げ(アラスカKodiac)
23日-4月3日 UNESCO執行理事会 第209回会合(パリ)
24日 EU一般問題理事会(結束)(ブリュッセル)
24日 ブラジル1月月間小売り調査発表
24日 ロシア2月雇用統計発表
24日 共和党党員集会(米領サモア)
24日 ヴェガ(小型宇宙機ミッションサービスの実証フライト等)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
24日-27日 第24回ASEAN財務大臣会議(AFMM)(クアンニン)
25日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
26日 メキシコ2月雇用統計発表
26日 米国2019年第4四半期および2019年年間GDP発表(確定値)
26日 フォークランド諸島国民投票
26日-27日 欧州理事会(ブリュッセル)
27日 米・2月PCE物価指数(商務省)
27日 メキシコ2月貿易統計発表
27日 タジキスタン上院選挙
27日 エレクトロン("Don't Stop Me Now" ANDESITE, NRO)打ち上げ(ニュージーランド・マヒア半島)
27日-28日 International Conference on Apparel Textiles and Fashion Design 2020(コロンボ)
27日-29日 Wyawasaya 2020(コロンボ)
29日 民主党大統領予備選挙(プエルトリコ)
29日 マリ国民議会選

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2020年3月17日(火) | [ ]

 新型コロナウイルスの影響がいよいよ本格化してきました。連日、全米各地で新しい症例が報告されるなか、10日(火)に全米サッカーリーグ(MLS)が30日間すべての試合を中止すると決めました。さらに11日(水)には、全米バスケット協会(NBA)が、オクラホマシティでのオクラホマシティ・サンダーとユタ・ジャズの試合開始直前、ユタ・ジャズ所属選手のコロナウイルス感染確認を受けて同試合を中止、その後ほどなくして今季のすべての試合を無期限で中止する旨決定しました。また、NBA選手で感染が報告された選手が2名ともユタ・ジャズ所属であったことから、ユタ・ジャズと過去14日間に試合をしたトロント・ラプターズ、ワシントン・ウィザーズ、オクラホマシティ・サンダーの3チーム全選手とスタッフ全員に対し今後14日間、自己隔離措置をとるよう推奨しました。同じく11日には俳優のトム・ハンクス夫妻が、滞在中のオーストラリアでコロナウイルスに感染していることを公表しました。

 先々週までトランプ大統領は、コロナウイルスについて「大したことはない」の一点張りでした。しかし、先週には自分が会ったり選挙集会で同席した共和党下院議員がコロナウイルス保菌者であることが判明し、もはや他人事のような対応ができなくなってきました。3月11日(水)の夜にはトランプ大統領がようやくコロナウイルスについて大統領執務室から演説を行いましたが、この中で同大統領は

 • 既に米国入国禁止措置の対象となっていた中国及びイランからの渡航に加え、今後30日間、
   イギリスを除く欧州諸国からの米国入国を禁止(米国民・永住権保持者はこの規制の対象外)
 • コロナウイルスの検査にかかる費用の個人負担分を撤廃
 • コロナウイルスの拡散により経営に影響が出ている企業への補助金


などの措置を発表しましたが、特に、イギリスを除く欧州からの米国入国禁止措置については「これだけ国内で感染が拡大している今、全く無意味」などと酷評されています。また、この演説でトランプ大統領は「大部分の国民にとって、コロナウイルスは低リスク」と述べましたが、これは同日議会でアンソニー・ファウチ全米衛生研究所(NIH)全米アレルギー・感染症研究所長が「通常のインフルエンザと比べ、コロナウイルスの致死率は10倍」と証言した内容と矛盾するなど、トランプ大統領の演説は、「ナルシスト的で事実に基づかない」と酷評されているのです。

 コロナウイルスは大統領選挙にも影響を与えています。コロナウイルス拡散により株式市場の暴落などの影響が出ていますが、これは「米国経済を活性化させた」ことを前面に出して再選運動を進めるトランプ大統領にとっては頭痛の種でしょう。また、コロナウイルス保菌者との接触による感染拡散が懸念される中、選挙活動に欠かせない選挙集会や有権者とのふれあいなどのイベントも開催しにくくなっています。更に、前述の通り、トランプ大統領と集会で同席した共和党下院議員2名がコロナウイルスに感染したことが明らかになっているにも拘らず、トランプ大統領自身が検査を受けることを拒んでいることも問題になっています。シークレットサービスにとっては「保菌者が選挙集会でトランプ大統領と握手して、万一大統領がコロナウイルスに感染したら」といった悩ましい問題がありますし、大統領側近も「もし大統領が保菌者となり、選挙集会での握手で有権者に感染させたら」という懸念があると言われています。

 そんな中、先週2日のスーパーチューズデー以降、開票が続いていたカリフォルニア州ではようやく開票が終わり、事前予想どおり、バーニー・サンダース上院議員の同州予備選勝利が確実なものとなりました。とはいえ、3月10日(火)に行われた予備選(スーパーチューズデー2)では、すでにミシガン、ミズーリ、ミシシッピー、アイダホ各州でジョー・バイデン前副大統領の勝利が確定しています。これに対し、サンダース上院議員の勝利が確定しているのはノースダコタ州だけで、開票が続くワシントン州でも、両者は僅差となっています。つまり、サンダースのカリフォルニア州での勝利をもってしてもバイデンの優勢は動かず、いよいよバイデン前副大統領が「本命」となる可能性が強くなってきました。さらに、先週大統領選撤退を発表した左派のウォーレン上院議員が同じ左派のサンダース上院議員を推薦しない可能性があるとの観測も流れ始めました。サンダース議員本人は「大統領選撤退はない」とまだ頑張っていますが、民主党支持者の中には、すでに「トランプVSバイデン」を念頭においたテレビやラジオ広告の構想を練り始めた団体もあると報じられています。数週間前には、党大会直前まで決着しそうにないとすらいわれた民主党側の大統領予備選が、今後一気に終焉を迎えそうな雰囲気すら漂いはじめました。

 つくづく、選挙は水物だと思います。これまでテフロンのような打たれ強さを見せていたトランプ大統領の弱さが今回のコロナウイルス対応で明らかになり始めたことを考えると、今年の大統領選挙は予想以上に接戦となり、4年前以上に面白くなるかもしれません。


(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員 辰巳由紀)

2020年3月16日(月) | [ ]

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