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2013.11.01

ワーキング・ペーパー(13-005E)「On the optimality of the Friedman Rule in a New Monetarist Model」

本稿はワーキング・ペーパーです

 1990年代からの日本経済の長期停滞とデフレ、2008年の世界金融危機などを分析するうえで、現在の標準的マクロ経済学は、金融や貨幣の理論化が必ずしも十分とは言えない。現在、マクロ経済学を改善するための様々な研究がなされているが、その中で貨幣を明示的に理論化する枠組みとして注目されているのがNew Monetarist Economicsと呼ばれる理論である。この理論体系は、金融政策のコストと政策効果を分析するうえで非常に有用な面がある一方で、Friedman Ruleを最適政策として推奨するという欠点がある。

 Friedman Ruleは貨幣を中央銀行が一定の率で減らして、デフレーションを引き起こす政策である。現実の中央銀行が行う金融政策の実務では、デフレーションが最適政策になるということは経験的にあり得ないので、New Monetarist Economics(およびその前提となっている新古典派的な貨幣理論)においてFriedman Ruleが最適金融政策になることは、この理論を政策分析に応用するうえで大きなハードルとなっている。

 そこで、この論文では、New Monetarist Economicsにおいてどのような条件が加わるとFriedman Ruleが最適な金融政策ではなくなるか、考察する。このモデルでは、売り手と買い手がお互いを探索する際に、買い手が探索の努力を高めると取引相手に出会える確率が高まると言う条件を考える。この条件の下では、買い手の探索努力が社会的に最適な水準よりも過小になるため、プラスのインフレを起こして探索努力を高めることが最適金融政策となる。すなわち、Friedman Ruleは最適政策ではなくなる。

 探索努力を明示的に導入することは、New Monetarist Economicsのモデルをより現実的な政策分析に使えるようにするための第一歩である。

On the optimality of the Friedman Rule in a New Monetarist ModelPDF:365.2 KB

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