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2013.05.01

ワーキング・ペーパー(13-002J) 「財のオンライン市場のエージェントモデル」

本稿はワーキング・ペーパーです

  • 主任研究員 水野 貴之 /
    研究主幹 渡辺 努 /
    一橋大学イノベーション研究センター 楡井 誠

 Mizuno and Watanabe [1] は、家電のオンライン市場における価格変動の巨視的な統計則を報告した。家電の価格の時系列はフラクタル性を有し、そのハースト指数はブラウン運動の特徴である0.5を示す。価格変動の自己相関関数は無相関を示すが、高次の相関は存在し、その高次の相関によって価格変動の確率密度関数は正規分布に比べ広い裾野を持つ。本稿では、はじめに価格を生み出す微視的な市場の挙動の特徴として、個々の店舗が各製品に対して価格改定の決断をおこなう「プライスレビュー」のタイミングについて統計分析をおこなう。我々は、個々の店舗は他店舗の価格に反応してプライスレビューの間隔を自己相関を持って伸縮させており、また、店舗間でそのタイミングの相互相関が存在することを示す。次に、価格競争により店舗が「プライスレビュー」の間隔を伸縮させるエージェントモデルを導入することによって、店舗の価格改定行動というミクロな市場の挙動を基にマクロな価格変動の統計則を導き出す。モデルでは、各時刻に確率的に(1)需要と(2)供給、(3)プライスレビューが発生する。(1)と(2)により市場在庫の増減がポアソン的に発生し、価格がブラウン運動する。(3)により価格変動が激しくなるとプライスレビューの間隔が加速的に短くなり、カスケード的な値崩れが発生する。このプライスレビューのメカニズムにより高次の相関と裾野の広い価格変動の分布が生み出される。



「財のオンライン市場のエージェントモデル」 (日本語) (PDF:811KB)


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