4月13日夜、トランプ氏は遂に対シリア攻撃を命令した。9日には「今後24~48時間以内に決断」と述べていたので、意地悪くいえば2日遅れだ。そもそも、米国には攻撃以外の選択肢はなかった。最も簡単な方法は昨年4月と同じ限定攻撃だろうが、どうやらトランプ氏自身はより大規模な攻撃を考えていたらしい。

だが、ロシア軍攻撃などは問題外。米露両国ともシリアのために全面戦争を戦う気などないだろう。最大の問題はアサド政権を支援するもう一つの大国、イランである。イランを攻撃しなければ、内戦終結に向けた進展はない。しかし、シリア国内でイラン軍とロシア軍は事実上同居中だから、イラン軍事拠点だけを攻撃することは難しい。

しかも、大規模攻撃は法的に説明困難だ。トランプ政権内でも様々な議論があったようだが、限定攻撃だけで内戦が解決するはずはない。「イスラム国」が掃討されても、ロシアとイランが支援するシリア、米国と一部アラブ諸国が支援する反政府勢力、最も戦闘能力の高いシリア系クルド勢力を攻撃するトルコなどが蠢いているからだ。

もう1点。対シリア化学兵器施設限定軍事攻撃でシリアの報復攻撃はなかったが、北朝鮮では核施設に対する「限定攻撃」の実施自体が難しい。北朝鮮にはソウルを狙う数千基の長距離自走砲・多連装ロケット砲による報復能力があるからだ。今回の米国の対シリア攻撃で北朝鮮は核兵器開発の重要性を再確認しただろう。

これでは、6月までに開かれる米朝首脳会談が朝鮮半島問題の解決に繋がる可能性は一層低下するのではないか。日本にとっては、下手な合意で会談が成功しては困るし、逆に会談が決裂して戦争になっても困る。今回のシリアを巡る動きを見ていると、トランプ政権が北朝鮮についてあまり考えていないのではないかと懸念する。

詳しくは水曜日の産経新聞「正論」欄をお読み頂きたい。

2-20日 国連軍縮委員会 年次総会(ニューヨーク)
15-17日 中国・王毅国務委員兼外務部長の訪日
16日 日米国連協議の開催(外務省)
16日 第4回日中ハイレベル経済対話(東京)
16日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
16日 米国3月小売売上高統計発表
16日 外務省が「車座ふるさとトーク」の開催(倉敷市新渓園)
16日 ボストンマラソン(米マサチューセッツ州ボストン)
16日か17日 ロシア第1四半期鉱工業生産指数発表
16-17日 日EU・航空の安全に関する協定第3回政府間交渉の開催(東京)
16-17日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
16-18日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
16-19日 APECビジネス諮問委員会(ABAC)(東京)
16-19日 欧州議会本会議(ストラスブール)
16-20日 万国郵便連合(UPU)郵便業務理事会(ベルン)
16-20日 国連国際商取引法委員会 作業部会Ⅳ(電子商)第56回会合(ニューヨーク)
16-20日 英連邦首脳会議(CHOGM)(ロンドン)
16-20日 インド・モディ首相がスウェーデンとイギリスを訪問
16-22日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
17日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
17日 中国第1四半期経済指標(GDP、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
17日 ファルコン9(太陽系外惑星探査TESS)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
17-18日 国際農業開発基金(IFAD)第123回執行理事会(ローマ)
17-18日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会 非公式会合(ソフィア)
17-18日 日米首脳会談(フロリダ州パームビーチ)
17-20日 安倍首相が訪米
17-21日 台湾総統が初アフリカ訪問となるスワジランドを訪問
18日 中国軍が台湾海峡で軍事演習
18日 インド2月鉱工業生産指数発表
18日 EU3月CPI発表(EU統計局)
18日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
18-20日 空気浄化・冷凍システム展「HVACR Vietnam 2018」(ホーチミン)
18-27日 国際電気通信連合(ITU)理事会 2018会合(ジュネーブ)
19日 日露外務次官戦略対話(モスクワ)
19日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
19日 キューバ・カストロ国家評議会議長が退任
19-21日 第11回ベトナム国際美容・化粧品展「Cosmobeaute Vietnam 2018」(ホーチミン)
19-26日 第40回モスクワ国際映画祭
20日 G20財務相・中央銀行総裁会合(ワシントン)
20日 ブータン国家評議会選挙
20日 エレクトロン3号機(Lemur-2と超小型衛星)打ち上げ(ニュージーランドマヒア半島)
20日か23日 ロシア1-2月貿易統計発表
21日 第37回国際通貨金融委員会(IMFC)(ワシントン)
21日 第97回IMF・世界銀行合同開発委員会(ワシントン)
21日 エリザベス二世・英国女王の92歳誕生日
21日 長征3B(亜太6C)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
22日 パラグアイ大統領及び上・下院選挙
22日 フランス領ポリネシア議会選挙
22-23日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会 非公式会合(ソフィア)
22-24日 G7外務・安全保障担当相会合(トロント)
22-25日 カール16世グスタフ・スウェーデン王国国王陛下及び同王妃陛下の訪日

【来週の予定】
23日 CIS常任理事会会議(ミンスク)
23-25日 フランス・マクロン大統領がアメリカを訪問
23-26日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
23-26日 国連経済社会理事会(ECOSOC)開発資金会議フォローアップ年次会合(ニューヨーク)
23-27日 国際人権理事会 第19回発展の権利に関する公開作業部会(ジュネーブ)
23-27日 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)第35回作業部会Ⅲ(投資家対国家の紛争解決の改革)(ニューヨーク)
23-27日 万国郵便連合(UPU)管理理事会(ベルン)
23-5月2日 国際人権理事会 第115回強制的・非自発的失踪に関する作業部会(ジュネーブ)
24日 米仏首脳会談(ワシントン)
24日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
24日 グリーンランド議会選挙
24日 ファルコン9(バングラデシュの通信衛星)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)
24日か25日 ロシア3月雇用統計発表
24-27日 フード・アンド・ホテル・アジア2018「FHA2018」(シンガポール)
24-28日 モロッコ国際農業展(SIAM)(メクネス)
25日 国連安全保障理事会 第84回国連補償委員会の運営理事会 安保理決議692(ジュネーブ)
25日 メキシコ2月小売・卸売販売指数発表
25-5月4日 北京モーターショー(一般公開は27日から)
25日 フェロー諸島 憲法改正を問う住民投票
25-28日 第32回ASEAN首脳会議、ASEAN経済共同体(AEC)協議会
26日 メキシコ3月雇用統計発表
26日 アジア欧州会合(ASEM)財務大臣会合(ブルガリア・ソフィア)
26日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)(フランクフルト)
26日 ロコット(欧州地球観測衛星)打ち上げ(ロシア・プレセツク宇宙基地)
27日 南北首脳会談(板門店・平和の家)
27日 米国第1四半期GDP(速報値)発表
27日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ソフィア)
27日 ロシア中央銀行理事会
27日 ブラジル3月全国家計サンプル調査発表
27日 メキシコ3月貿易統計発表
27-28日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会 非公式会合(ソフィア)
28日 ガボン国民議会選挙
28-5月8日 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)貿易交渉委員会関連会合(シンガポール)
29日 ナイジェリア・ブハリ大統領が訪米
29日 モンテネグロ大統領選挙
29-5月1日 中国メーデー

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年4月17日(火) | [ ]

先週は一週間丸々、欧州のリトアニア、ロシア、オランダ出張に充てた。通常なら水曜日の朝番組「グッドモーニング」出演を終えて空港に直行し火曜夜までに帰国するところだ。今回はMCIS(モスクワ国際安全保障会議)の初日が水曜日だったため、水曜朝のテレビと金曜朝のラジオを両方欠席することにしたのだ。

リトアニアについては先週書いた通り。同国の名誉のために付け加えれば、14世紀、この国はバルト海から黒海までの広大な領土に跨る大公国だった。その後スウェーデン、ポーランドに翻弄され、18世紀にはロシア領に。ロシア革命後1918年に独立したが、独ソ不可侵条約でソ連に編入され、独立を回復したのは1991年のことだ。

モスクワではロシア国防省主催の国際安全保障会議に参加した。スピーカー席には中国、インド、ベトナム等の国防相や軍高官が並び、参加者は総勢500人とも喧伝された。だが、実際にはアジア・アフリカからの参加者が多く、欧米の閣僚級参加者は見当たらない。英国での毒殺未遂事件も理由の一つなのだろう。

その後、オランダに抜けて痛感したのは、西欧から見るロシアと、東欧から見るロシアが微妙に違うことだった。ソ連崩壊後、東欧がNATO・EUの拡大を望んだのに対し、西欧大陸国はいずれもこれに慎重だった。こうした「西側の東進」を強く推進したのは実は英米である。・・・・詳しくは今週木曜日の産経新聞コラムをお読み頂きたい。

〇欧州・ロシア
3月4日の総選挙から一カ月も経つのにイタリアではまだ組閣が完了していない。今週再び大統領が首相候補を指名するため各政党代表と協議を始めるという。第一党になったのは「五つ星運動」だが、どれも「帯に短し、襷に長し」状態のようだ。イタリアだから仕方がないとはいえ、ドイツもそうだったから、最近の欧州はやはり変だ。

〇東アジア・大洋州
9-10日にフィリピン大統領がボーアオ・フォーラム参加のため訪中する。同大統領は11日から香港へも行くという。また、10日に北朝鮮の外相が訪露する。金正恩の電撃訪露ということがあるのか。列車で行くには時間が掛かり過ぎるだろう。同じく10日に日本の外相が韓国を訪問する。ここは日本外交も正念場である。
15日は金日成の誕生日だが、それよりも、11日に開かれる北朝鮮の最高人民会議で外交問題について如何なる議論があるのか、の方に関心がある。同じ11日からは米韓協議があり、更に、15日からは中国外相が訪日する。各国でどの程度準備が進んでいるのか、詳細は良く分からない。

〇中東・アフリカ
サウジの皇太子が3月19日からの長い訪米を終えたが、米国では常にイランに対する懸念を口にしていた。中東でイランとの戦争が起こるのを避けるためにはイランに対する経済制裁や政治的圧力を強めるべきだというのだが、これを如何に解釈すべきか。同皇太子はサウジ改革の星か、それともサウジの終わりの始まりか?

〇南北アメリカ
9日からボルトン国家安全保障担当補佐官が始動する。また、今週にもポンペイオ新国務長官の議会承認の手続きが始まる。一方、貿易面では米中のガチンコが始まった。トランプ氏は「中国は貿易障壁を下げるだろう」「税は相互的になり、知的財産権に関して取引が成立するだろう」とツイートしたが、中国を甘く見過ぎていないか。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

2-20日 国連軍縮委員会 年次総会(ニューヨーク)
4-15日 第204回ユネスコ執行委員会(パリ)
8-11日 ボアオ・アジアフォーラム2018年年次総会(中国・海南省)
9日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
9日 メキシコ3月CPI発表
9日 アルメン・サルキシャン氏が新大統領に就任(アルメニア)
9日 日・スウェーデン社会保障協定(仮)第4回交渉の開催(東京)
9-13日 中根外務副大臣がベトナム、インド及びシンガポールを訪問
10日 露朝外相会談(モスクワ)
10日 ブラジル3月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
10日 米フェイスブックのザッカーバーグCEOが個人情報流出で議会証言(上院司法委員会等)
10-11日 EU環境相理事会 非公式会合(ソフィア)
10-13日 ブータン王国・トブゲー首相が訪日
11日 米国3月消費者物価指数(CPI)発表
11日 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(FRB)
11日 米フェイスブックのザッカーバーグCEOが議会証言(下院エネルギー・商業委員会)
11日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
11日 中国3月CPI発表
11日 北朝鮮最高人民会議第13期第6回会議
11日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
11日 アゼルバイジャン大統領選挙
11-13日 グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長が訪日
11-13日 日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第9回会合(東京)
11-14日 第28回ベトナム国際貿易展「VIETNAM EXPO 2018」(ハノイ)
11-14日 ベトナム繊維・衣装産業展「Vietnam Textile & Garment Industry Expo」(ホーチミン)
12日 外務省とOECD開発センター共催「質の高いインフラの推進に関するセミナー」開催(東京)
12日 ブラジル2月月間小売り調査発表
12日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
12日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
12日 PSLV-XL(IRNSS11)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
12-15日 スイス連邦・ベルセ大統領兼内務大臣が訪日
13日 中国第1四半期貿易統計発表
13-14日 第8回米州首脳会議「Octava Cumbre de las Américas」(ペルー・リマ)
15日 モンテネグロ大統領選挙
15日 ベリーズとの領土問題に関するグアテマラ国民投票
15日 北朝鮮の故金日成主席生誕「太陽節」106周年

<4月16-22日>
16日 米国3月小売売上高統計発表
16日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
16日か17日 ロシア第1四半期鉱工業生産指数発表
16-17日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
16-18日 国連経済社会理事会(ECOSOC)本会期(ニューヨーク)
16-19日 APECビジネス諮問委員会(ABAC)(東京)
16-19日 欧州議会本会議(ストラスブール)
16-20日 英連邦首脳会議(CHOGM)(ロンドン)
16-20日 インド・モディ首相がスウェーデンとイギリスを訪問
16-20日 万国郵便連合(UPU)郵便業務理事会(ベルン)
16-20日 国連国際商取引法委員会 ワーキンググループⅣ(電子商)第56回会合(ニューヨーク)
16-22日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
17日 中国第1四半期経済指標(GDP、固定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
17日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
17日 ファルコン9(太陽系外惑星探査TESS)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
17-18日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会 非公式会合(ソフィア)
17-18日 国際農業開発基金(IFAD)第123回執行理事会(ローマ)
17-20日 安倍首相が訪米
18日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
18日 インド2月鉱工業生産指数発表
18日 ユーロスタット、3月CPI発表
18-20日 空気浄化・冷凍システム展「HVACR Vietnam 2018」(ホーチミン)
18-27日 国際電気通信連合(ITU)理事会 2018会合(ジュネーブ)
19日 日露戦略対話(モスクワ)
19日 EU司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
19日 キューバ・カストロ国家評議会議長が退任
19日 プロトンM(通信衛星Blagovest 12L)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
19-21日 第11回ベトナム国際美容・化粧品展「Cosmobeaute Vietnam 2018」(ホーチミン)
19-26日 第40回モスクワ国際映画祭
20日 G20財務相・中央銀行総裁会合(ワシントン)
20日か23日 ロシア1-2月貿易統計発表
21日 エリザベス二世・英国女王の92歳誕生日
21日 長征3B(亜太6C)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
22日 パラグアイ大統領選
22-23日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会 非公式会合(ソフィア)
22-24日 G7外務・安全保障担当相会合(カナダ・トロント)
22-25日 カール16世グスタフ・スウェーデン王国国王陛下及び同王妃陛下の訪日


(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年4月10日(火) | [ ]

今週はリトアニアの首都ヴィリニュスで原稿を書いている。先週の大事件は金正恩の「電撃」北京非公式訪問だったが、この点については後で詳しく触れたい。その前に、まずはこのバルト海三国の南端にある人口300万の美しい小国について書こう。あの「命のビザ」で有名な杉原千畝が赴任していた国といえばピンと来るだろうか。

Wikipediaには「ポーランド、ラトビア、ベラルーシと国境を接し」とあるが、実のところリトアニアは、ポーランドの北でバルト海に面したロシアの飛地領「カリーニングラード」とも国境を接している。この飛び地、元はプロイセンの首都があった所だが、戦後ソ連がちゃっかり占領し、現在に至っている。流石はソ連・ロシアだと感心する。

ちなみに1992年、当時のエリツィン大統領は「ヤルタ会議で議論した通り、この地はポーランドに譲渡されるべし」と述べたそうだが、96年にポーランドがNATO加盟を求めた途端、同発言は撤回された。ヴィリニュスは旧市街の美しい町だが、ベラルーシとの国境までは車で半時間程度、ロシアが入ってきたら彼らは本気で戦うのだろうか。

ウクライナの次はバルト三国だという向きもあるが、いずれにせよ、ロシアの凄いところは、一度軍事介入を決めたら、徹底的に実行すること。これに対し、トランプ政権はティラーソン国務長官、マクマスター補佐官を解任し、対外強硬派のポンペイオCIA長官とボルトン元国連大使を指名したが、新体制の戦略的方向性は見えてこない。

中朝、南北、米朝首脳会談につき、日本では「東京は蚊帳の外」で「外されている」などの自虐的評論が多い。だが、米国では既にボルトン式「予防攻撃」の功罪が議論されていることの方が気になる。北朝鮮の核施設などに対する予防攻撃が吉と出るか、凶と出るか、凶ならばどの程度の損害まで耐えられるかといった恐ろしい議論だ。

推進派は、攻撃を受けた北朝鮮は反撃できず、事実上核開発を中断する、その後の交渉では、核開発の断念を含む、米国に有利な形での解決も可能、と主張する。これに対し反対派は、予防攻撃は必ず北朝鮮側の報復を招き、第二次朝鮮戦争が始まって、朝鮮半島は壊滅的打撃を受けると反論する。

もう一つ、日本であまり議論されないのがイランとの関係だ。ボルトン氏は中途半端だとしてイラン核合意にも反対しているが、このまま米朝首脳会談が開かれ「中途半端な」合意が結ばれたら、ボルトン氏はどう説明するのか。詰めていけば、イランも、北朝鮮と同様、武力行使による「体制変更」しかないとの結論に至る恐れすらある。

〇欧州・ロシア
4日からロシア国防省主催の第7回国際安全保障会議に参加する。中東、欧州、アジアの安全保障状況を議論するらしいが、どうなることやら。かなり大規模な会議らしく、筆者自身どの程度発言できるか分からない。しかし、ロシアの考え方を理解する上では良い機会だと割り切ることにした。議論の内容は来週ご報告する。
7-12日、オーストリアの大統領と首相が揃って訪中する。中国にとっては利用し甲斐のある国だから、大歓迎するのだろう。国内政治日程も、国会も気にする必要のない中国だからこそできる外交だ。これに対し、日本では首相が国会に張り付き、集中質疑を受けなければならない。日本に大国の外交ができない理由の一つがこれだ。

〇東アジア・大洋州
金正恩の電撃訪中については「いずれ行われると思ったが、少し早まった」と考える。中国側発表で、習近平が今回の訪中を「戦略的な選択」「唯一の正確な選択」と表現し、金正恩も朝鮮の「戦略的選択」と応じていたのが印象的だった。要するに北朝鮮は中国に依存するしかない、これ以外の戦略的選択はないと中国は言っているのだ。
更に、習近平は両国関係が「一時的な理由で変わることがあってはならない」、新情勢下で両国は「日常的な連絡を保ちたい」と述べた。筆者が深読みすれば、これは「一時的な理由で中国を外すな」「もっと日常的に連絡をしてこい」という厳しい対北朝鮮メッセージであるように思える。両国間の不信感は相当深いと再確認した。

〇中東・アフリカ
ガザで遂に死者が出た。3月30日、対イスラエル境界沿いで「帰還の行進」と呼ばれる抗議デモが行われ、イスラエル軍との衝突で少なくとも17人が死亡、1400人超が負傷したという。トランプ政権によるエルサレム首都認定に対する動きだが、デモは5月15日まで、6週間にわたり続くという。それでもイスラエルは対応を変えない。

〇南北アメリカ
最近、ジャヴァンカ(イバンカ夫妻のこと)がメディアに出てこない。権限を失い、昔のような影響力を失ったのか、それとも多くの批判を受けて「死んだふり」をしているのかは分からない。常識的に考えれば、彼らの動きが見えなくなっただけで、実質的な影響力は今も維持していると見るべきではなかろうか。
仮にそうであれば、彼らが北朝鮮問題で何をトランプ氏に囁いているかが大いに気になる。ボルトン・ポンペイオ的強硬論とマティス型慎重論の間で、ジャヴァンカは一体何を考えているのだろう。振り返れば、シリア化学兵器使用の際にトマホーク攻撃を進言したのはイヴァンカだった。このことを忘れてはならない。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

31-4月4日 薗浦内閣総理大臣補佐官の米国、ミクロネシア及びパラオ訪問
2日 日露さけ・ます漁業交渉の開催(東京)
2-4日 スイス・カシス外相が中国を訪問
2-6日 アミン国際再生可能エネルギー機関(IRENA)事務局長が訪日
2-7日 ジンバブエ・ムナンガグワ大統領が中国を訪問
2-20日 国連軍縮委員会 年次総会(ニューヨーク)
3日 ブラジル2月鉱工業生産指数発表
3日 米・バルト3国首脳会談(ワシントン)
3日 オーストラリア準備銀行理事会
3日 ファルコン9(スペースX社商用補給機ドラゴン14号機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
3日か4日 ロシア2017年経済活動・需要項目別GDP発表
3-6日 ASEAN財務相・中央銀行総裁会合
4日 国連経済社会理事会 パートナーシップ・フォーラム(ニューヨーク)
4日 欧州統計局(ユーロスタット)、2月失業率発表
4日 南北首脳会談に関する実務会談(板門店)
4日 ロシア・トルコ・イラン首脳会談(イスタンブール)
4-5日 中国・王外相がロシアを訪問
4-7日 マレーシア国際ハラールショーケース「MIHAS2018」(クアラルンプール)
4-15日 第204回ユネスコ執行委員会(パリ)
5日 米国2月貿易統計発表(商務省)
5日 ファルコン9(バングラデシュの通信衛星)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)
5-7日 中国清明節休暇
6日 米国3月雇用統計発表
6日 パウエルFRB議長が講演「経済見通し」(シカゴ)
6日 CIS外相会議(ベラルーシ・ミンスク)
6日 韓国朴前大統領の賄賂事件で判決
6日 アリアン5ECA(通信衛星Superbird8等)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
6-8日 ネパール・オリ首相がインドを訪問
6日か9日 ロシア3月CPI発表
8日 ハンガリー議会選挙
8日 京都府知事選挙
8-11日 ボアオ・アジアファーラム2018年年次総会(中国・海南省)

【来週の予定】
9日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
9日 メキシコ3月CPI発表
9日 アルメン・サルキシャン氏が新大統領に就任(アルメニア)
10日 ブラジル3月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
10-11日 EU環境相理事会 非公式会合(ソフィア)
11日 米国3月消費者物価指数(CPI)発表
11日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
11日 中国3月CPI発表
11日 北朝鮮最高人民会議第13期第6回会議
11日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
11日 アゼルバイジャン大統領選挙
11-14日 第28回ベトナム国際貿易展「VIETNAM EXPO 2018」(ハノイ)
11-14日 ベトナム繊維・衣装産業展「Vietnam Textile & Garment Industry Expo」(ホーチミン)
12日 ブラジル2月月間小売り調査発表
12日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
12日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
12日 PSLV-XL(IRNSS11)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
13日 中国第1四半期貿易統計発表
13-14日 第8回米州首脳会議「Octava Cumbre de las Américas」(ペルー・リマ)
15日 モンテネグロ大統領選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年4月 3日(火) | [ ]

先週からトランプ政権の人事が大揺れに揺れた。詳しくは今週木曜日の産経新聞コラムをお読み頂きたいが、トランプ氏は最近急速に選挙モードに戻りつつあるようだ。米朝首脳会談を受け入れた日の翌9日、トランプ氏は2020年大統領選スローガンを「偉大な米国の維持」と決め、4日後のペンシルベニア州下院補選に向け動き出した。

人事面ではティラーソン国務長官、マクマスターNSC補佐官を解任し、後任に対外強硬派のポンペイオCIA長官とボルトン元国連大使を指名した。貿易問題ではコーンNEC委員長に代わり、対中強硬派のナバロ通商製造業政策局長が影響力を拡大した。ロシアゲート捜査が進む現在、トランプ氏は特別検察官の解任を検討中ともいわれる。

要するに、トランプ氏は中間選挙と2020年の大統領選再選に向け、選挙モードを再び全開させ、本気で戦う気のようだ。気の早い内外メディアは米朝会談の場所を予測し始めたが、首脳会談実現の可否よりも筆者が懸念するのは、トランプ氏がより強硬で妥協を嫌う顧問たちと外交安保政策を立案・実行する可能性だろう。

ちなみに、英国での元ロシア工作員の毒殺事件で、26日、米国はロシア外交官60人の追放に踏み切った。イタリアを除くEU主要国の制裁措置に倣ったものだが、日本はどうなのか。NATOメンバーとしての対応と日本は違うということなのだろうが、日本がこのままで良いのかは国会等での議論に値するだろう。

もう一つ、筆者が気になるのは26日から始まるエジプト大統領選挙だ。開票結果は4月2日にならないと発表されないが、シーシ大統領の再選は見えている。筆者がエジプトでアラビア語研修していた際の大統領選挙は得票率とサダト大統領への得票がそれぞれ95%を超えていた。あれよりはましと言うことか。そうではないだろう。

あれから40年、アラブの春なる幻想が一時一世を風靡したこともあったが、結局、民意で選ばれたムスリム同胞団の政権は統治能力の欠如を曝け出して崩壊した。エジプトの民意は熱し易く冷め易い。何十年経っても、安定した中産階級や市民社会は生まれない。やはり、エジプトは永遠であり、そう簡単には変わらないのか。

〇欧州・ロシア
26日に英国のEU離脱問題の中でも敏感な問題であるアイルランドとの国境問題が議論される。26-27日にはアフガニスタン和平問題がウズベキスタンの首都で開かれる。27日からは中国外相が訪露し中露外相会談が行われる。米国務長官が不在の中、中露外交当局間の話し合いの内容が気になるところだ。

〇東アジア・大洋州
26日には上海エネルギー市場で人民元建ての原油先物市場の取引が始まる。どの程度定着するのか、無関心ではいられない。27日に日本財務省の佐川前理財局長が国会で証言する。この話は安倍政権の将来を占う意味で諸外国でも注目されている。29日にはミャンマーで大統領が選出される。
同じく29日に板門店で南北朝鮮会合が開かれる。4月1日には紆余曲折があったものの、結局は米韓合同軍事演習が月末まで実施されるという。空母が参加しないなど規模が縮小されたとはいえ、演習は演習だ。北朝鮮が今黙っているということは、北朝鮮が政治モードに入っているということ。北のプロパガンダに騙されてはならない。

〇中東・アフリカ
26日に韓国大統領がアラブ首長国連邦訪問を終える。エジプトの大統領選挙については冒頭触れた通り。30日にはパレスチナ地域で大規模なデモが予定されているが、米国によるエルサレム首都認定の悪影響はあまり感じられない。アラブ側も余りに長期化したイスラエルの西岸ガザ占領が当たり前になってしまったのだろうか。

〇南北アメリカ
米東部時間25日夜、ストーミー・ダニエルスというポルノ女優がCBSテレビの看板報道番組に出演し、トランプ氏との性的関係を認めた。大統領自身の醜聞は1990年代のクリントン政権以来。当時米国にいたので思い出すが、クリントン氏がこのスキャンダルを生き延びたのはヒラリー夫人の沈黙のおかげだった。トランプ夫人はどうか。

〇インド亜大陸
29日にインド、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、ブータン、スリランカ、タイの国家安全保障担当高官がダッカで会合を開く。ベンガル湾イニシャティブの一環ということだが、中国が入っていないのが面白い。今週はこのくらいにしておこう。


12-4月6日 自由権規約人権委員会(ジュネーブ)
19-28日 対日理解促進交流プログラム・ASEAN10か国、東ティモール及びインドの大学生及び大学院生が来日(東京、長崎)
20-27日 対日理解促進交流プログラム・米国高校生及びユダヤ系米国人の訪日
20-27日 対日理解促進交流プログラム・インドの大学生、大学院生、社会人が訪日
20-27日 対日理解促進交流プログラム・インドの高校生20名が訪日
20-29日 対日理解促進交流プログラム・日本大学生訪韓団(第2団)が韓国を訪問
21-27日 ハネグビ・イスラエル地域協力大臣の訪日
25-26日 堀井外務大臣政務官がモスクワ訪問
25-4月1日 JENESYS2.0 2017年度中国青年メディア関係者代表団第3陣が訪日
26日 トルコ・EU首脳会談(ブルガリア・バルナ)
26日 韓国大統領、国会に改憲案発議
26日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26-27日 「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第2回会合の開催(外務本省)
26-27日 ジュヌ・アフリック主催「アフリカCEOフォーラム」開催(コートジボワール)
26-28日 エジプト大統領選挙
26-28日 G7労働・イノベーション担当相会合(カナダ・モントリオール)
26-28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
27-29日 天皇、皇后両陛下が在位中最後の沖縄訪問
27日 メキシコ2月貿易統計、雇用統計発表
27-29日 フリーランド・カナダ外務大臣の訪日
27-29日 日中犯罪人引渡条約締結交渉第5回会合の開催(東京)
27-30日 平成29年度中東アフリカ大使議会の開催(外務省)
28日 米国2017年第4四半期および年間GDP(確定値)発表
28日 核軍縮に関する国連ハイレベル国際会議 組織会期(ニューヨーク)
28-29日 中国・楊国務委員が訪韓
28-4月8日 ニューヨーク国際自動車ショー(一般公開は30日から)
29日 米・2月PCE物価指数(商務省)
29日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
29日 フランス社会党党首選挙
29日 英国のEU離脱通告から1年
29日 「宮島駐トルコ大使及び香川駐エジプト大使による任国治安情勢講演会」開催(東京)
29日 GSLV-Ⅱ F08(通信衛星GSAT 6A)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
29日 ファルコン9(イリジウム・ネクスト 10機)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
30日 米・グッドフライデー(聖金曜日)で債権・株式・商品市場が休場
30日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
31-4月3日 韓国芸術団が平壌を訪問
4月1日 新車への「eコール」(自動車事故発生時の自動緊急通報システム)搭載義務開始

【来週の予定】
2-6日 アミン国際再生可能エネルギー機関(IRENA)事務局長が訪日
2-20日 国連軍縮委員会 年次総会(ニューヨーク)
3日 オーストラリア準備銀行理事会
3日 ファルコン9(スペースX社商用補給機ドラゴン14号機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
3日か4日 ロシア2017年経済活動・需要項目別GDP発表
3-6日 ASEAN財務相・中央銀行総裁会合
4日 国連経済社会理事会 パートナーシップ・フォーラム(ニューヨーク)
4日 ユーロスタット、2月失業率発表
4-15日 第204回ユネスコ執行委員会(パリ)
5日 米国2月貿易統計発表
5日 ファルコン9(バングラデシュの通信衛星)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)
5-7日 中国清明節休暇
6日 米国3月雇用統計発表
6日 CIS外相会議(ベラルーシ・ミンスク)
6日か9日 ロシア3月CPI発表
8日 ハンガリー議会選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年3月27日(火) | [ ]

今週はお詫びから始めたい。18日にロシアで重要な大統領選挙があったにも関わらず、先週は全くコメントしなかった。プーチン再選があまりに明白でロシア内政に殆ど変化が期待できなかったからだが、理由はともかく、やはり先週は何かコメントすべきだった。米朝首脳会談の話に忙殺されたためだが、それは全く理由にならない。

それにしても、ロシアは実に強い国だ。政治制度や理念に普遍性や魅力があるからではない。数少ない優れた産品である武器も特に最先端技術の集大成ではない。それでもロシアが強いのは、外国が如何に批判しようと、自国が如何に孤立しようと、彼らが必要と思えば、如何なる蛮行も平然と、かつ確実に実行する力があるからだ。

その典型例が最近の英国での元ロシア人スパイ親子暗殺未遂事件である。冷戦時代のスパイ映画を彷彿させるこの事件に英国政府はカンカンだが、ロシア政府は完全に無視している。政治体制が社会主義であろうが、民主主義もどきであろうが、これほど政治の実態が変わらない国は少ない。恐らく中国が民主化しても同様だろう。

ジョージ・バーナード・ショー作の喜劇『人と超人』に次のようなセリフがある。「全ての歴史は(天国と地獄という)両極端間にある世界の振動の記録に過ぎない。歴史の一期間とは振子のひと振りでしかないが、これが常に動いているので、各世代は世界が進歩していると思っている」ロシアの歴史も基本的にはこれと変わらないのだろう。

ほぼ同時期に、中国では習近平氏の終身国家主席が決まり、ロシアゲート特別検察官の解任を密かに企む米国のトランプ氏は、民主制度の真髄である三権分立下のチェック&バランスという概念自体に嫌悪を隠そうとしない。これに対し、日本ではモリトモやカケ問題で長期政権が追い詰められている。真の民主国家は日本である。

〇欧州・ロシア
英国のEU離脱問題で進展があった。19日、EU側交渉官は焦点となっていた離脱後の激変緩和に向けた「移行期間」を1年9カ月とすることで双方が合意したと発表。合意内容は22-23日にEU首脳会議に報告されるという。ようやく決まったようだが、英国離脱後の姿はまだ明らかではない。一歩前進だが道はまだ遠し、ということか。
ロシア外相が訪日し、21日に日露外相会談が東京で開かれる。5月には安倍首相の訪ロが予定されており、今回の外相会談の目的は首脳会談の「環境整備」といわれるが、そう簡単ではないだろう。ロシアのラブロフ外相に限らず、ソ連の時代からロシアの外相は任期が長い割に柔軟性に欠ける。これも彼らの伝統の一部なのか。

〇東アジア・大洋州
20日に中国の全人代が閉幕する。副首相に習近平氏の経済ブレーンといわれる劉鶴・党中央財経指導グループ弁公室主任が就任。王毅外交部長が兼務で国務委員に昇格するなどの人事が決まった。副首相、国務委員の数や構成に大きな変化はない。習近平氏の権力集中ばかりが目立った形だ。
北朝鮮関連で目立った動きはない。水面下で南北の話し合いが続いているのか、それとも大きな進展はないのか。4月1日には平昌五輪等で延期されていた米韓合同軍事演習が実施される。19日にフィンランドで開かれる非公開国際会議に北朝鮮外務省北米副局長が参加するというが、このレベルの職員に実質的交渉権限はない。

〇中東・アフリカ
19日からサウジアラビア皇太子が訪米する。このムハンマッド・ビン・サルマーン(MbS)は実質的なサウジ最高権力者であり、トランプ氏の娘婿とも親しい。MbSは20日にトランプ氏と会談するほか、ボストン、ニューヨーク、ヒューストン、シアトル、サンフランシスコを訪問するという。MbSにとっては米国を良く知る良い機会となるだろう。

〇南北アメリカ
先週からトランプ氏は再び選挙モードに戻ったようだ。Keep America Greatなるスローガンを作り、中間選挙に向け精力的に各地を回っているが、13日に行われたペンシルベニア州連邦下院議員補選では民主党候補が予想外の善戦で、議席を奪う勢い。大統領選で圧勝したこの地でトランプ神話に陰りが見え始めたようだ。

〇インド亜大陸
22日からドイツ大統領がインドを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。

12-23日 包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)作業部会B及び非公式・専門家委員会第50回会期(ウィーン)
12-4月6日 自由権規約人権委員会(ジュネーブ)
13-20日 対日理解促進交流プログラム・ラオス及びタイの高校生と大学生が訪日
14-20日 堀井外務大臣政務官がイタリア、チュニジア及びエジプトを訪問
17日 長征2D(陸地探査衛星四号)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
17-19日 小池東京都知事が訪韓、平昌パラリンピックを視察
18-22日 岡本外務大臣政務官がインド及びタイを訪問
18-23日 第8回世界水フォーラムの開催(ブラジル・ブラジリア)
18-25日 対日理解促進交流プログラム・米国大学生が来日(東京、広島)
19日 中国全人代で副首相・国務委員や閣僚選出
19日 EU外相理事会(ブリュッセル)
19日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
19日か20日 ロシア1-2月鉱工業生産指数発表
19-20日 薗浦内閣総理大臣補佐官がインドネシアを訪問
19-20日 日・タジキスタン投資協定交渉第1回会合の開催(タジキスタン・ドゥシャンベ)
19-20日 G20財務相・中央銀行総裁会合(アルゼンチン・ブエノスアイレス)
19-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19-22日 香港インターナショナル・フィルム&テレビ・マーケット(フィルマート)
19-23日 国連人権理事会 第22回アフリカ系子孫に関する専門家作業部会 (ジュネーブ)
19-28日 対日理解促進交流プログラム・ASEAN10か国、東ティモール及びインドの大学生及び大学院生が来日(東京、長崎)
20日 中国・全国人民代表大会(全人代)閉会
20日 米・トランプ大統領とサウジアラビア・サルマーン皇太子が会談(ワシントン)
20日 米国連邦議会予備選挙(イリノイ州)
20日 EU「オンライン・コンテンツ・サービスの越境ポータビリティー(携帯性)規則」適用開始
20日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
20日 EU基本条約第50条(加盟国の離脱)に関する一般問題理事会(ブリュッセル)
20日 南ア準備銀行四季報発表
20日か21日 ロシア1月貿易統計発表
20-21日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
20-21日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
20-22日 第7回ベトナム国際原材料およびゴム・プラスチック工業技術展「Plastics&Rubber Vietnam 2018」(ホーチミン)
21日 2017年10-12月期の米経常収支(商務省)
21日 日露外相会談(東京都内)
21日 オランダ情報監視に係る法改正案(情報・保安組織法)に関する国民投票
22日 ECB一般理事会(フランクフルト)
22日 ソユーズFG(国際宇宙ステーション長期滞在ミッション用)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
22日 アリアン5ECA(通信衛星)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
22-23日 日・キルギス投資協定交渉第2回会合の開催(ビシュケク)
22-23日 欧州理事会(ブリュッセル)
22-23日 EU地域委員会 第128回本会議(ブリュッセル)
22-25日 ドイツ・シュタインマイヤー大統領がインドを訪問
23日 米連邦政府つなぎ予算期限
23日 トランプ米政権が鉄鋼とアルミの輸入制限を発動
23日 ロシア中央銀行理事会
23日 イタリア議会初招集
23日 地方創生支援・外務大臣及び北海道知事共催レセプションを開催(飯倉公館)
23日か26日 ロシア2月雇用統計発表
24日 米高校乱射事件で生徒らが銃規制強化求めるデモ(ワシントン)
24日 GSLV-Ⅱ F11(GSAT 6A)打ち上げ(サティシュ・ダワン宇宙センター)
24-25日 外務省及び在ロシア連邦日本国大使館が「地域の魅力海外発信支援事業」を開催(モスクワ)
25日 鳥取市長選挙
25日 トルクメニスタン議会選挙
25日 欧州各国が夏時間(サマータイム)入り

<3月26日-4月1日>
26日 トルコ・EU首脳会談(ブルガリア)
26日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
26-27日 「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第2回会合の開催(外務本省)
26-27日 ジュヌ・アフリック主催「アフリカCEOフォーラム」開催(コートジボワール)
26-28日 エジプト大統領選挙
26-28日 G7労働・イノベーション担当相会合(カナダ・モントリオール)
26-28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
27日 メキシコ2月貿易統計、雇用統計発表
28日 米国2017年第4四半期および年間GDP(確定値)発表
28日 核軍縮に関する国連ハイレベル国際会議 組織会期(ニューヨーク)
28-29日 中国・楊国務委員が訪韓
28-4月8日 ニューヨーク国際自動車ショー(一般公開は30日から)
29日 米・2月PCE物価指数(商務省)
29日 ブラジル2月全国家計サンプル調査発表
29日 フランス社会党党首選挙
29日 英国のEU離脱通告から1年
30日 米・グッドフライデー(聖金曜日)で債権・株式・商品市場が休場
4月1日 新車への「eコール」(自動車事故発生時の自動緊急通報システム)搭載義務開始

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年3月20日(火) | [ ]