平昌五輪が始まり、先週末は北朝鮮の「微笑外交」をどう見るかに世間の関心が集中した。今のところ状況は北朝鮮ペースとしか言いようがない。この種のチャーム・オフェンシヴはこれが初めてではなく、むしろ北朝鮮の常套手段。筆者は金正恩が果敢に動いた背景に4点あると見ている。

①経済制裁がある程度効いており、北は一時的戦術変更に迫られた、しかし、②北は核開発を放棄する意図など全くなく、うまくいけば米韓分断、制裁弱体化が視野に入って来る、③文大統領は確信犯であり、戦争回避とオリンピック成功にしか関心がない、④されば、今後も対話促進、首脳会談で韓国を揺さぶるのが最も賢い選択だ。

北の目的はあくまで「時間稼ぎ」。①核兵器開発の継続、②当座の経済的利益の獲得、③米韓、日米韓の連携に楔を打ち込むことで、④戦略的生き残りの道を探っている。これに対し、韓国は確信犯の「前のめり」だ。民族感情からすれば理解できなくはないが、外交安全保障政策よりも、国内政治上の利益の方が重要なのだろう。

今後、南北融和はどこまで進むのか。一定の融和に成功することまで反対はしないが、五輪と核開発は次元の異なる問題だから、いくら対話を行っても核問題で結果は出ないだろう。核開発は北朝鮮にとって戦略問題であり、北はあらゆる機会を通じて「時間稼ぎ」を追求するに違いない。

最大のエサは「南北首脳会談」で、6月とも8月ともいわれるが、万一これが実現すれば絶妙のタイミングとなる。米韓軍事同盟に楔を打ち、経済制裁を事実上骨抜きにするには絶好の口実だ。逆にいえば、南北首脳会談を許してしまえば、日米韓は後れを取り、北朝鮮は優位に立つということだ。

対話か、圧力かという質問もナンセンス。対話のための圧力というのは正しいが、対話だけでは何も生まれない。議論をして交渉した上で妥協しなければ結果は出ないからだ。核凍結ではなく、核断念のため交渉をするためには、これまでの圧力では到底不十分。経済制裁だけでは最終的解決には至らないだろう。

問題解決のカギは米朝ではなく、米中関係だ。国際社会(国連)の役割は限定的だろう。米中の戦略的妥協がない限り、北朝鮮核問題の解決はない。米中が北朝鮮を含む朝鮮半島の将来についてコンセンサスに至らない限り、進展は見込めない。その間も微笑外交が続けば、「北核保有」の黙認問題が現実味を帯びてくるだろう。


 
〇欧州・ロシア
EUでは19日から予算関連の会合が続く。予算はどの国でも大問題だが、EUともなれば決定に時間がかかる。20日にはドイツの社民党が大連立について党員投票を行う。結果が出るのは3月4日だが、これで本当に終止符を打つことができるのか。結果は他の欧州諸国にも影響が及ぶので要注意だ。

〇東アジア・大洋州
中国圏の春節は23日まで続き、ベトナムのテト休暇は20日に終わる。23日には米国とタイが主催する共同軍事演習コブラゴールドも終わる。平昌五輪は25日に終了するが、北朝鮮の核問題が解決しないまま、南北対話の議論だけが続くのだろう。このまま南北対話を進めて良いものか。日本が何かできることはないのか。
日本は「最大限の圧力が先」という今の立場を続けるしかない。米国の情報機関が「決断の時間は限られている」と述べたように、あまり時間は残されていない。今更、対話や交渉をやっても北朝鮮に時間を稼がれるだけ。ICBMが初歩的ながら完成すれば、それは米のホームランドセキュリティとなり、個別的自衛権行使の問題となる。

〇中東・アフリカ
今週の中東は静かだ。先週ミュンヘンで行われた安全保障会議で、イスラエルとイランが非難の応酬を行った。イスラエル首相は撃墜したイランのドローンの破片を手にイランを厳しく非難したが、イランはこれを事実上無視。だが、両者の対立がこの程度で終われば、イランとイスラエルのシリアでの交戦拡大は当面回避できそうだ。

〇南北アメリカ
司法省の特別検察官がロシア人13人を起訴した。これで直接ロシアゲート問題に悪影響が及ぶ訳ではないが、トランプ陣営が無罪放免になる訳でもない。トランプ政権に司法省とFBIの動きは止められないし、特別検察官を罷免でもしようものなら、事態は更に悪化するだろう。トランプ氏にとっては不愉快な日々が続くはずだ。
対北朝鮮戦略について米政権内は意見が割れている。全てのオプションがテーブルにあるということは、最終的に決めていないということ。良く言えば柔軟だが、悪く言えば決めかねているのだ。ホワイトハウスが軍事作戦の検討を求め、国防省は選択肢を考えながらも実は最もやりたくなく、国務省は十分機能していない。これが実態だ。

〇インド亜大陸
23日、トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタン、インド(TAPI)パイプラインのアフガン部分の竣工式がようやくトルクメン・アフガン国境で開催される。今週はこのくらいにしておこう。

9-25日 第23回平昌冬季オリンピック(韓国・平昌)
12-3月9日 平和維持活動に関する特別委員会及びグループワーキング実質会期(ニューヨーク)
13-19日 堀井外務大臣政務官がスウェーデン、アルメニア及びコソボ訪問
13-19日 佐藤外務副大臣のクウェート及びキューバ訪問
15-21日 中国春節休暇
15-25日 第68回ベルリン国際映画祭
17-23日 カナダ・トルドー首相がインドを訪問
17-25日 対日理解促進交流プログラム・カナダ大学生らが訪日
18-24日 外務省の戦略的実務者招へい事業・平成29年度中央アジア実務者招へい(観光分野)
19日 ユーログループ(ブリュッセル)
19日 大統領の日(ワシントン誕生日)で米市場休場
19日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
19日 外務大臣及び高知県知事共催レセプション・飯倉公館活用対外発信事業(飯倉公館)
19-21日 平成29年度エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議の開催(外務本省)
19-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19-22日 クマール・インド・ビハール州首相の訪日
19-23日 国連人権理事会諮問委員会第20回会合(ジュネーブ)
19-3月9日 女子に対する差別撤廃委員会第69回会合(ジュネーブ)
20日 EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
20日 国連環境計画(UNEP)常駐代表委員会 第141回会合(ナイロビ)
21日 FOMC議事要旨(1月30-31日分)(FRB)
21日 外務省と台東区の共催・駐日各国外交団の浅草視察ツアー
21-22日 ロシア外相がセルビアを訪問
21-23日 国連独立監査諮問委員会第41回会合(ナイロビ)
22日 「竹島の日」記念式典(島根県)
22日 ファルコン9(通信衛星Hispasat 30W-6)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
22-23日 OECD中小企業担当相会合(メキシコ・メキシコ市)
22-23日 第16回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合の開催(東京)
23日 米豪首脳会談(ワシントン)
23日 メキシコ第4四半期GDP発表
23日 EU統計局(ユーロスタット)が1月CPI発表
23日 ジブチ国会議会選挙
23日 国連非政府組織委員会 定例会合(ニューヨーク)
23日 皇太子さま誕生日(58歳)
24日 第68回ベルリン国際映画祭授賞式(ベルリン)
24-25日 社民党大会(東京・星陵会館)
25日 カンボジア上院選
25日 H-IIAロケット38号機(情報収集衛星光学6号機)打ち上げ(種子島宇宙センター)
25日 ファルコン9(通信衛星Hispasat 30W-6)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)

【来週の予定】
26日 メキシコ12月小売・卸売販売指数発表
26日 EU外相理事会(ブリュッセル)
26日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
26日-3月1日 携帯端末国際見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」(バルセロナ)
26日か27日 ロシア1月雇用統計発表
26-27日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
26-3月2日 国連世界食糧計画(WFP)執行理事会 第一定例会合(ローマ)
26-3月16日 国際民間航空機関(ICAO)Council phase 第213回会合(モントリオール)
26-3月23日 国連人権理事会 第37回会合(ジュネーブ)
27日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
27日 EU基本条約第50条(加盟国の離脱)に関する一般問題理事会(ブリュッセル)
27日 メキシコ1月貿易統計、雇用統計発表
27日か28日 ロシア2017年貿易統計発表
27日-3月1日 国連経済社会理事会(ECOSOC)実質会期(operational activities for development segment)(ニューヨーク)
28日 米国2017年第4四半期および年間GDP(改定値)発表
28日 ブラジル1月全国家計サンプル調査発表
28-3月1日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
3月1日 ブラジル第4四半期GDP発表
1日 ユーロスタット、1月失業率発表
1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1日 アトラスV(気象観測衛星GOES-S)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
2日 CIS経済理事会(ロシア・モスクワ)
3日 中国第13期全国人民政治協商会議第1回全体会議(北京)
4日 イタリア議会選挙
4日 第90回米アカデミー賞授賞式(米ロサンゼルス)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年2月20日(火) | [ ]

先週平昌五輪が始まった。分断された民族が統一を願う気持ちは良く分かる。しかし、あそこまで北朝鮮に足元を見られる中で、南北対話のみならず、何を勘違いしたか、米朝間対話まで仲介しようとする韓国大統領の姿勢には、公平に見ても、違和感を感じざるを得ない。問題の本質は米朝関係ではなく、米中関係だからだ。

前のめりの韓国は北朝鮮側の思う壺。それにしても、金正恩の妹とはいえ、韓国の大人たちが右往左往し、内外のマスコミが「美女応援団」に必要以上に関心を払うのは、如何なものか。情けない話だ。ジャーナリズムの本質はエンタメ報道ではない。真実を伝える「調査報道」という原点は、韓国の報道関係者には無縁なのか。

かくいう筆者はこの原稿を沖縄県那覇市で書いている。昨日から今日にかけて、名護市辺野古(へのこ)から、同市内中心部、更には高速道路を使わずに、恩納(おんな)村、読谷(よみたん)村を抜け、嘉手納飛行場のフェンスの横を通り、北谷(ちゃたん)町から宜野湾(ぎのわん)市、浦添(うらぞえ)市を抜けて那覇に帰ってきた。

外務省現役時代は、これだけの地名を覚えるのに数カ月かかったが、今は懐かしい場所ばかり。今回は一個人としてレンタカーで走り回ったのだが、フェンスの向こうにある海軍のキャンプ桑江、海兵隊のキャンプフォスター、空軍の嘉手納飛行場などの広大さに久しぶりに圧倒された。沖縄の負担の重さを改めて痛感する。

名護市内では「宮里そば」というお店にふらっと立ち寄った。何とも言えず美味しい麺を堪能した。愚妻と一緒だったが、午後2時過ぎの店内はほぼ満員、他のお客さんは地元の人ばかりだったと思う。つい先日ここで市長選があったとは思えない静けさだったが、これまで8年間、この町には補助金が十分来なかったのだなと直感した。

〇欧州・ロシア
2月中旬は恒例のミュンヘン安全保障会議がある。今年は16-18日に開催されるが、その直前の15-16日にはブルガリアでEU外交理事会の非公式会合が開かれる。また、15日にはポーランドとドイツの首相がベルリンで会談を行うが、最大の議題はロシアからのNord Stream 2パイプラインのようだ。

〇東アジア・大洋州
11日の米副大統領の発言は米国の譲歩の始まりなのだろうか。帰国途上の機上で副大統領は、「最大限の圧力を維持する一方、南北対話の進展次第で、前提条件なしに、北朝鮮と直接対話を行う用意がある」と述べたそうだ。勿論、対話が真に実質的に進展すれば喜ばしいが、非核化問題が動かなければ、北朝鮮の思惑通りだ。
米国の譲歩は日本は勿論、結果的に韓国にとっても悪夢となる。こうなると筆者は1994年を思い出さざるを得ない。当時の宥和政策が繰り返されれば、北朝鮮は間違いなく「核保有国」となる。当時の米国政府は「時は日米韓にあり、北朝鮮の軍事力は今がピーク」と言ったが、実は当時も「時は北朝鮮にあり」だったのではないのか。
16日から中国などでは春節休暇が始まるが、韓国大統領は本気で米国の強硬姿勢を封じ込めようとしているようだ。そうであれば今、日本外交は重大な岐路に差し掛かっている。妥結の見通しのない対話を続けても、北朝鮮は決して妥結させるつもりなどないと思うからだ。

〇中東・アフリカ
先週末、自国戦闘機がシリアで撃墜されたイスラエルは、イランのドローンを撃墜したという。こうした「本格的交戦」に近い状況がシリアで起きるとは長い間予想されなかったはずだ。1967年の第三次中東戦争でイスラエルがゴラン高原を占領して以来、賢いアサド政権は戦線を拡大せず、事実上の停戦が維持されてきたからだ。
これ以上状況が悪化しないことを希望するばかりだが、イランもイスラエルとの直接交戦は望んでいないだろう。今はもう、そう祈るしかない。

〇南北アメリカ
相変らずトランプ氏はロシアゲート問題に関する司法省とFBIの動きを記す極秘報告書公表問題で厳しい戦いを続けている。先々週は共和党側作成文書の公開を認めたが、先週は民主党側文書の公表を拒否したそうだ。一方、スタッフの家庭内暴力問題で大統領首席補佐官の進退が問われている。
元海兵隊大将のケリー首席補佐官はこれまでよく我慢したものだと思う。この件でトランプ氏はケリー氏に激怒しているそうだが、それは違うだろう。万一、ケリー補佐官が辞任するか更迭されれば、トランプ政権は更に弱体化する。トランプ氏の大統領としての真の度量が問われることになる。

〇インド亜大陸
12日、インド首相がパレスチナ、アラブ首長国連邦、オマーン訪問を終え帰国する。今週はこのくらいにしておこう。

6-13日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人高校生一行が訪日
9-12日 インド・モディ首相がパレスチナとUAE、オマーンを訪問
9-25日 第23回平昌冬季オリンピック(韓国・平昌)
10-12日 河野外務大臣がブルネイ及びシンガポールを訪問
11-12日 金杉アジア大洋州局長が中国・広州に出張
11-12日 リオのカーニバル(ブラジル・リオデジャネイロ)
11-16日 米・ティラーソン国務長官がヨルダンなど中東5カ国を歴訪
11-17日 米・マティス国防長官がイタリア、ベルギー、ドイツを歴訪
12日 日シンガポール外相会談(午前、シンガポール)
12日 第4回日フィリピン経済協力インフラ合同委員会会合の開催(フィリピン・セブ)
12日 日タイ両政府主催・第5回グリーン・メコン・フォーラム開催(タイ・バンコク)
12日 インド12月鉱工業生産指数発表
12日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
12-3月9日 平和維持活動に関する特別委員会及びグループワーキング 実質会期(ニューヨーク)
13日 金正男氏殺害から1年
13日 UNウィメン執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
13-19日 堀井外務大臣政務官がスウェーデン、アルメニア及びコソボ訪問
13-19日 佐藤外務副大臣のクウェート及びキューバ訪問
14日 米国1月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会 第41回会合(ローマ)
15日 国連軍縮会議 組織会期(ニューヨーク)
15日 EU教育・若年・文化・スポーツ相理事会(ブリュッセル)
15日か16日 ロシア1月鉱工業生産指数発表
15-16日 ロシア国際投資フォーラム「ソチ2018」
15-16日 ハイレベル核兵器用核分裂性物質生産禁止条約専門家準備グループ 非公式協議
第2回会合(ニューヨーク)
15-16日 韓国旧正月休暇
15-21日 中国春節休暇
15-25日 第68回ベルリン国際映画祭
16日 北朝鮮の故金正日総書記生誕76年
16-18日 ミュンヘン安全保障会議(ドイツ・ミュンヘン)
17日 ファルコン9(地球観測衛星PAZなど)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
17-23日 カナダ・トルドー首相がインドを訪問

<2月19-25日>
19日 ユーログループ(ブリュッセル)
19日 大統領の日(ワシントン誕生日)で米市場休場
19日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
19-22日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19-23日 国連人権理事会諮問委員会 第20回会合(ジュネーブ)
19-3月9日 女子に対する差別撤廃委員会 第69回会合(ジュネーブ)
20日 EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
20日 国連環境計画(UNEP)常駐代表委員会 第141回会合(ナイロビ)
21日 FOMC議事要旨(1月30-31日分)(FRB)
21-22日 ロシア外相がセルビアを訪問
21-23日 国連独立監査諮問委員会 第41回会合(ナイロビ)
22日 ファルコン9(通信衛星Hispasat 30W-6)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
22-23日 OECD中小企業担当相会合(メキシコ・メキシコ市)
23日 メキシコ第4四半期GDP発表
23日 EU統計局(ユーロスタット)が1月CPI発表
23日 国連非政府組織委員会 定例会合(ニューヨーク)
25日 H-IIAロケット38号機 (情報収集衛星光学6号機)打ち上げ(種子島宇宙センター)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年2月13日(火) | [ ]

今週9日にいよいよ平昌五輪が始まる。選手や役員よりはるかに多い「宣伝応援団」を送りこむ一方、開会前日に軍事パレードを予定しているのだから、北朝鮮はやりたい放題だ。是が非でもオリンピックを成功させたい韓国政府の足元を完全に見ているのだろう。当面の目的は燃料か、物資か、現金か。筆者にはよく分からない。

いずれにせよ、韓国政府は完全に浮足立っている。北朝鮮が細かいことに難癖をつける毎に、韓国はより多くの譲歩を強いられているはずだ。今更五輪参加をキャンセルされては困るからだろう。報道されていない分野で、一体どのような南北取引が行われているのか。現時点では詳細を知る由もない。

かかる韓国の姿勢を最も苦々しく思っているのは米国だ。北朝鮮の核武装化を目前にして、米韓の連携に水を差すような動きを躊躇わない同盟国・韓国を米国はどう評価するのだろう。今の韓国は反共同盟という「基軸主義」よりも、対北宥和策と対中「事大主義」という「均衡策」にしか関心がないのか。

今週末の開会式から一連の首脳会談までの動きは要注意だ。北朝鮮は事実上の「制裁破り」を韓国に強いようとしている。このままでは日米韓の連携は弱体化していくだろう。五輪後、核をめぐる危機は必ず再発する。この段階で北朝鮮に「米国は何もできない」と思わせることの危険は計り知れない。

一方、国内では日曜日の名護市長選挙の結果にも注目が集まった。20年前、日米安保の担当課長だった筆者にとって、今回の結果は実に感慨深い。過去何度か辺野古地区を訪れたが、この8年間街並みはほとんど変わっていない。当然だろう、補助金なしに住民の生活向上を図れる自治体は限られるからだ。

過去20年間、紆余曲折を経て、最終的に首相が決定し、知事が受け入れ、最高裁が適法とした計画がある。これを公正かつ透明度の高い民主的な投票で勝利した新市長が実行するのは極めて民主的だ。それ以上でも以下でもない。安全保障は中央政府の責任、その枠内で住民を守るのが自治体の首長である。

〇欧州・ロシア
5日にトルコ大統領が訪伊、イタリア政府首脳やローマ法王と会談する。同日ロンドンでは英国のEU離脱につき閣僚級の会合が開かれる。まだこの問題を議論しているのかという気もするが、それだけ複雑な問題であることが良く判るだろう。この種の会合は「粘り腰」の欧州諸国が最も得意とするところだ。

〇東アジア・大洋州
6日に日露外務次官協議が行われる。同日には米副大統領が訪日し、その後訪韓して平昌五輪開会式に出席する。7-8日にはオランダ国王夫妻が訪中する。五輪関係では、北朝鮮の楽団が9日から韓国で公演を行い12日に帰国するそうだが、韓国大統領はこれで本当に意味のある南北対話が始まるとでも思っているのだろうか。

〇中東・アフリカ
今週の中東は静かだ。インド首相が10日からアラブ首長国連邦、オマーンとパレスチナを訪問する。インドといえば、最近イスラエルとの関係強化が目立つが、なかなかどうして、インド洋からアラビア海に続くシーレーンの一部であるアラビア半島南部の二カ国を訪問するなんて、色々考えているのだなあと思う。

〇南北アメリカ
先週、トランプ氏は下院情報委員長(共和党)が作成したロシアゲートに関する司法省とFBIの動きを記す極秘報告書を公表した。これで自分の潔白が証明されたというが、良く判らない。同文書は、2016年の大統領選中に民主党が資金を提供して作成したトランプ氏の言動に関する報告書を元にFBIが捜査を始めた可能性を指摘する。
これでも判りにくいのだが、要するにトランプ政権は、共和党の委員長が司法省とFBIの政治的中立性を疑わせる極秘資料を、司法関係者の批判にもかかわらず公開したのだ。恐らく目的は、現在のモラー特別検察官の捜査が中立性を欠いた政治的動機に基づくものというイメージを世間に与えたいのだろう。
随分手の込んだやり方だが、所詮は共和党の委員長が作った政治的色彩の強い文書、これで新たな事実が明らかになった訳でもない。この種の「子供騙し」とは言わないが、「頭隠して尻隠さず」的なパーフォーマンスを続けていても、根本的な問題は解決しない。この種の出来事が毎週起こるなんて、今のワシントンはちょっと異常だ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

2日か5日 ロシア2017年経済活動・需要項目別GDP(速報値)発表
2-9日 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の第21回交渉会合(インドネシア・ジョグジャカルタ)
3-5日 竹下総理特使がスリランカを訪問
3-7日 スエフ・コモロ連合外務・国際協力・仏語圏・在外コモロ人担当大臣が訪日
4-11日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人若手リーダーの訪日(東京・大阪・京都)
5日 トルコ・エルドアン大統領がバチカンを訪問、フランシスコ・ローマ教皇と会談
5-8日 欧州議会本会議(ストラスブルグ)
5-9日 国際麻薬統制委員会(INCB)121回会合(ウィーン)
6日 米国12月貿易統計発表
6日 金杉アジア大洋州局長とユン米国国務省北朝鮮政策担当特別代表との意見交換(東京)
6日 日ロ外務次官級協議(東京都内)
6日 モンテネグロ・マルコビッチ首相がコソヴォを訪問
6-7日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
6-7日 ドイツ・シュタインマイヤー大統領が訪日
6-8日 ユニセフ(UNICEF)執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
7日 欧州委員会冬季経済予測
7日 安倍首相と米国・ペンス副大統領が会談(東京)
7-10日 カナダ・トルドー首相がアメリカ合衆国(ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ)を訪問
7日か8日 ロシア1月CPI発表
8日 フランス・マクロン大統領がセネガルを訪問
8日 英国中央銀行が金融政策発表
8日 メキシコ中央銀行が金融政策発表
8日 外務省・日本商工会議所及び東京商工会議所の共催でセミナー「FTA・EPA時代のビジネス戦略~FTA・EPAのメリット・活用法~」を開催(東京都内)
8日 メキシコ1月CPI発表
8日 中国1月貿易統計発表
8日 ブラジル1月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
8日 朝鮮人民軍創建日(2・8節)
9日 ブラジル12月月間小売り調査発表
9日 メキシコ12月鉱工業生産指数発表
9日 中国1月CPI発表
9日 「V4+日本」BREXITセミナー(城西大学・紀尾井町キャンパス)
9日 EU・アゼルバイジャン協力評議会開催、ロシア中央銀行理事会
9日 米・ペンス副大統領と安倍首相が平昌冬季オリンピックの開会式に出席
9日 日韓首脳会談
9日 CIS・中央アジア知的財産担当官会議の開催(在ロシア日本大使館)
9-12日 インド・モディ首相がパレスチナとUAE、オマーンを訪問
9-25日 第23回平昌冬季オリンピック(韓国・平昌)
10日 ファルコン9(地球観測衛星PAZなど)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
11日 ソユーズ2.1a(ISS無人補給機プログレスMS8)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
11日 モナコ議会選挙
11-12日 リオのカーニバル(ブラジル・リオデジャネイロ)

<2月12-18日>
12日 インド12月鉱工業生産指数発表
12日 長征3B(航法測位衛星第三世代北斗2機)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
13日 UNウィメン執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
14日 米国1月消費者物価指数(CPI)、小売売上高統計発表
14-15日 国際農業開発基金(IFAD)総務会 第41回会合(ローマ)
15日 国連軍縮会議 組織会期(ニューヨーク)
15日か16日 ロシア1月鉱工業生産指数発表
15-16日 ロシア国際投資フォーラム「ソチ2018」
15-16日 韓国旧正月休暇
15-21日 中国春節休暇
15-25日 ベルリン国際映画祭
15日 EU教育・若年・文化・スポーツ相理事会(ブリュッセル)
16日 北朝鮮の故金正日総書記生誕76年
16-18日 ミュンヘン安全保障会議(ドイツ・ミュンヘン)
17日 ファルコン9(地球観測衛星PAZなど)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
19-23日 カナダ・トルドー首相がインドを訪問
21-22日 ロシア外相がセルビアを訪問

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年2月 6日(火) | [ ]

今週は海外ニュースに見るべきものがないので、日本国内の話をしよう。今年も幸い全国各地で講演する機会を頂いているが、日本海側の地方自治体では東アジア情勢、特に北朝鮮の動きに対する関心が極めて高い。中でも地上型ミサイル迎撃システムであるイージスアショアについては山口と秋田で関心が高まっている。

配備が噂されているのだから当然だろうが、具体的には、どんな施設か不安だ、強力な電磁波が怖い、北朝鮮ミサイルの標的になる、米国人が運用するのではないか、同システムは迎撃だけでなく攻撃もできるのではないか、秋田市の候補地は人口密集地にあまりに近い、といった不安や懸念があるようだ。

これらはいずれも情報不足や誤解に基づくものと思われるが、万一放置すれば問題は一層拡大するだろう。詳しくは今週の産経新聞のコラムをご一読願いたい。地元への事前の説明はその内容とタイミングをよく考えないと逆効果だが、中国ではこんなことあり得ない。民主主義のコストは実に高いのだ。

欧州では29日から英国のEU離脱交渉が本格化しつつある。離脱時期は2019年の3月29日で、移行期間は2020年末に終了するそうだ。おいおい、英国は本当に離脱するらしいぞ。これがEUの終わりの始まりなのか、それともEUは英国なしでも生きていけるのか。歴史的な実験が始まったというべきか。


 
〇欧州・ロシア
英国でも30日から上院でEU離脱法案の審議が本格化する。つい数年前まで、EUは拡大し、多少ユーロ圏諸国の混乱があっても、EU自体は結束を維持できると漠然と思っていた。これが、今やブラッセルで大の大人が本気で離脱の時期や対応を議論している様は、正直なところ、今でも信じられない光景だ。

〇東アジア・大洋州
中国の中銀総裁の去就が噂になっている。しかし、周小川氏が引退しても、中国中銀の役割は変わらないだろう。その中国を31日から英国首相が公式訪問する。中国の対欧州外交は着々と進んでいるようだ。一方、朝鮮半島の南北対話は一進一退なのだ、考えてみれば当然だろう。これこそ北朝鮮の常套手段に他ならない。

〇中東・アフリカ
29日にイスラエル首相が訪露し、モスクワで首脳会談を行う。その後、29-30日にロシア主催でシリア和平会合がソチで開かれる。IS(イスラム国)は放逐されたが、このところシリア情勢はロシアが主導権を握っている。トランプ政権は何をしているのか、さっぱり分からない。大統領に関心がないか、ロシアの動きがあまりに巧みなのか。

〇南北アメリカ
30日にトランプ氏が大統領就任後初のState of the Union演説を行う。なぜこれを一般教書と呼ぶのかはよく分からない。憲法上、大統領は議会に出席する権利を持たないが、文書の形でmessageを議会に送付することが認められており、これが日本では一般教書、年頭教書と呼ばれるようになったようだ。
このところ、トランプ氏への評価が少し上向きになりつつあるような気がする。別に起死回生の一打はないのだが、これだけ目茶苦茶をやり続けると、たまに真面なことをやるだけで、「結構やるじゃないか」という評価が出てくるのかもしれない。慣れとは実に恐ろしいものだと痛感する。

〇インド亜大陸
29日から2月3日までインドとベトナムの両陸軍がインド中部で共同訓練を行うという。一方、パキスタンは29-30日に中国とグワダル港フリーゾーンの第一期竣工式を共同で祝うらしい。印パキ関係は今年も相変らずのようである。今週はこのくらいにしておこう。


15-2月2日 子どもの権利委員会 第77回会合(ジュネーブ)
22-30日 対日理解促進交流プログラム・アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン及びモルディブの社会人が訪日
22-3月30日 ジュネーブ軍縮会議(CD) 第1会期(ジュネーブ)
23-30日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人高校生一行が訪日
23-30日 対日理解促進交流プログラム・米国の社会人一行が訪日
23-2月1日 対日理解促進交流プログラム・韓国青年沖縄経済産業視察団が訪日
24-2月1日 対日理解促進交流プログラム・大洋州のキリバス、クック諸島、ツバル、トンガなどから大学生らが訪日
24-2月11日 在中日本国大使館などが日本産飲食品を使用した「地域の魅力海外発信支援事業」を開催(北京・上海)
26-30日 中根外務副大臣がベトナム及びカンボジアを訪問
28-2月3日 グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長が訪日
28-2月4日 堀井外務大臣政務官がフィジー、ナウル及びオーストラリアを訪問
28-2月4日 「Juntos!!中南米対日理解促進交流プログラム」による「日本祭り」関係者の訪日
29日 欧州農水相理事会(ブリュッセル)
29日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29日 日・トルコ安全保障協議(アンカラ)
29日 17年12月米個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
29日か30日 ロシア2017年1-11月貿易統計、12月雇用統計発表
29日-2月1日 平成29年度アジア大洋州・国際機関大使会議の開催(東京)
29-2月2日 国連人権理事会 ワーキンググループ第21回会合(ジュネーブ)
29-2月2日 国連先住民族のための自主基金第31期理事会
29-2月2日 日中平和友好条約締結40周年記念事業として第22回中国教育関係者代表団が来日
29-2月2日 日中平和友好条約締結40周年記念事業として2017年度中国青年代表団が訪日(東京都・群馬県)
30日 米国大統領一般教書演説(ワシントン)
30日 EU17年10-12月期ユーロ圏GDP(域内総生産)速報値(EU統計局)
30-31日 国連経済社会理事会ユースフォーラム(ニューヨーク)
30-31日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
30-2月1日 日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第8会合が開催(アンカラ)
31日 EU12月失業率発表(EU統計局)
31日 ファルコン9(SES16など)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31日 第14回アジア不拡散協議を開催(ASTOP)(東京・三田共用会議所)
31-2月1日 EU地域委員会第127回本会議(ブリュッセル)
31-2月2日 英・メイ首相が訪中
1月下旬 ブラジル12月全国家計サンプル調査発表
1月下旬 メキシコ11月小売・卸売販売指数、12月貿易統計発表
2月1日 インド2018年度政府予算案発表
1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1日 ソユーズ2.1a(カノープスなど)打ち上げ(ボストチヌイ基地)
2日 米国1月雇用統計発表
2日 長征2D(地震電磁観測試験衛星など)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)
3日 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長任期満了
3日 SS-520 5号機(超小型衛星TRICOM-1R)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)
3-5日 IOC理事会(韓国・平昌)
4日 山口県・長崎県知事選、沖縄県名護市長選
4日 コスタリカ大統領選

【来週の予定】
5日 トルコ・エルドアン大統領がバチカンを訪問、フランシスコ・ローマ教皇と会談
5-8日 欧州議会本会議(ストラスブルグ)
5-9日 国際麻薬統制委員会(INCB)121回会合(ウィーン)
6日 米国12月貿易統計発表
6日 モンテネグロ・マルコビッチ首相がコソヴォを訪問
6日か7日 ロシア1月CPI発表
6-7日 ドイツ・シュタインマイヤー大統領が訪日
6-7日 ブラジル中央銀行、金融政策委員会(Copom)
6-9日 ユニセフ(UNICEF)執行理事会 第一定例会合(ニューヨーク)
7-10日 カナダ・トルドー首相がアメリカ合衆国(ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ)を訪問
8日 英国中央銀行が金融政策発表
8日 メキシコ中央銀行が金融政策発表
8日 外務省・日本及び東京商工会議所の共催でセミナー「FTA・EPA時代のビジネス戦略~FTA・EPAのメリット・活用法〜」を開催(東京都内)
9日 米・ペンス副大統領が平昌冬季オリンピックの開会式に出席
9-12日 インド・モディ首相がパレスチナとUAE、オマーンを訪問
9-25日 第23回冬季オリンピック(韓国・平昌)
10日 ファルコン9(地球観測衛星PAZなど)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)
11日 ソユーズ2.1a(ISS無人補給機プログレスMS8)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年1月30日(火) | [ ]

20日にトランプ政権が一周年を迎えた。「まだ一年か」とする人もいれば、「よく一年持った」と見る人もいるだろう。ちなみに筆者は後者だ。週末のCNNは暫定予算法案が通らず久し振りで米政府が閉鎖されたことを大々的に報じていたが、これも別に米国史上初めてではない。これから11月の中間選挙まで米内政から目が離せない。

先週筆者が最も関心を持ったのは、南シナ海で米海軍が「航行の自由」作戦を再開したらしいことだ。20日、中国外交部報道局長は、南シナ海で中国が主権を主張するスカボロー礁から12カイリ以内の海域を米軍艦が17日に航行したと表明した上で「強烈な不満」を表明。おお、米国よ、遂にやったか、というのが率直な印象だ。

トランプ政権下では2017年10月以来5回目となるが、米軍は詳細を公表していないので詳しいことは判らない。今回の作戦が中国側発表の通りであれば、今回米海軍は、少なくとも最近では初めて、スカボロー礁の周辺海域内、しかも12カイリ以内を航行したようだ。これまでの作戦を時系列順にまとめたので参考にして欲しい。

【参考】米海軍「航行の自由」作戦
2015年10月、ミサイル駆逐艦ラッセン、スプラトリー(南沙)諸島
2016年1月、ミサイル駆逐艦カーティス・ウィルバー、パラセル(西沙)諸島
2016年5月、ミサイル駆逐艦ウィリアム・P・ローレンス、スプラトリー諸島
2016年10月、ミサイル駆逐艦ディケーター、パラセル諸島
2017年5月、ミサイル駆逐艦デューイ、ミスチーフ礁
2017年7月、ミサイル駆逐艦ステザム、パラセル諸島
2017年8月、ミサイル駆逐艦ジョン・マケイン、ミスチーフ礁
2017年10月、ミサイル駆逐艦チェイフィー、パラセル諸島近く
2018年1月17日、ミサイル駆逐艦ホッパー、スカボロー礁12カイリ以内


昨年11月のトランプ氏アジア歴訪では随分中国に配慮した米国だったが、もう堪忍袋の緒が切れたのか。トランプ氏は実に判り易い。この関連で、海上自衛隊P3C哨戒機が上海沖で北朝鮮のタンカーにドミニカ船籍タンカーが横付けするのを確認したと報じられた。密輸だった疑いがあり、米側に撮影画像を提供したらしい。


 
〇欧州・ロシア
22日からドイツの社会民主党(SPD)とキリスト教民主社会同盟(CDU・CSU)との大連立協議が始まる。独第2党のSPDは21日の党大会で、メルケル首相率いるCDU・CSUとの連立協議に入ることを決め、メルケル首相はこれに歓迎の意を表したそうだが、SPD党大会の投票は僅差だった。このまま大連立ができる保証はない。

〇東アジア・大洋州
筆者のもう一つの注目点は先週から続く朝鮮半島の南北対話の進展だ。北朝鮮の揺さぶりは実に見事で、韓国は完全に足元を見られている。北朝鮮から視察団が来ればマスコミは大騒ぎ、近く韓国のスキー選手が北朝鮮のスキー場で練習するという。最も哀れなのは韓国の女子アイスホッケーチームだ。

〇中東・アフリカ
米副大統領が22日、イスラエルを訪問。先週20日にエジプトで大統領と、21日にヨルダンで国王とそれぞれ会談したが、エルサレム首都認定問題もあり、あまり成果はなかっただろう。副大統領は「エルサレムへの大使館移転は2019年末までに」という(全く不必要な)発言までしたそうだ。トランプ政権に中東和平仲介など無理である。

〇南北アメリカ
23日から恒例のダボス会議(世界経済フォーラム)が始まり、米大統領、仏大統領、英首相、インド首相、ジンバブエ大統領が参加するという。ダボス会議でトランプ氏は「アメリカ第一主義」について一体何を話すのか、興味がある。それにしても、もう40年以上続くダボス会議だが、このビジネスモデルを考えた人には大変な商才がある。

〇インド亜大陸
25日からインドがASEAN諸国との首脳会議を主催し、フィリピン大統領が初めてインドを訪問するそうだ。26日にはインドネシア大統領がパキスタンを訪問する。今週はこのくらいにしておこう。

13-28日 北米国際オートショー(デトロイト)
15-2月2日 子どもの権利委員会 第77回会合(ジュネーブ)
16-23日 対日理解促進交流・日本文化交流及び若手産業関係者交流をテーマにカンボジアとベトナムの大学生及び社会人が訪日
16-23日 対日理解促進交流プログラム・空手を学ぶ米国人大学生らが訪日
16-25日 対日理解促進交流プログラム・韓国青年訪日団が訪日(東京都、秋田県、岩手県)
19-23日 米・ペンス副大統領がエジプト、ヨルダン、イスラエルを歴訪
21-27日 米・ティラーソン国務長官が英仏、スイス、ポーランド歴訪
22日 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)(ブリュッセル)
22日 欧州外相理事会(ブリュッセル)
22日 佐藤外務副大臣がリベリア大統領就任式へ総理特使として派遣
22日か23日 ロシア・17年鉱工業生産指数発表
22-23日 米・ペンス副大統領がイスラエルを訪問
22-25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
22-26日 UNDP /UNFPA /UNOPS執行理事会 第ー定例会合(ニューヨーク)
22-27日 世界保健機関(WHO)執行理事会 第142回会合(ジュネーブ)
22-30日 対日理解促進交流プログラム・アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン及びモルディブの社会人が訪日
22-3月30日 ジュネーブ軍縮会議(CD) 第1会期(ジュネーブ)
23日 欧州経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
23日 バングラデシュのロヒンギャ難民がミャンマーへの帰還開始
23日 第90回米アカデミー賞ノミネート作品発表
23-26日 第48回世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス)
23-28日 北米自由貿易協定(NAFTA)第6回再交渉会合(カナダ・モントリオール)
23-28日 岡本外務大臣政務官がフランス及びスイス訪問
23-30日 対日理解促進交流プログラム・カナダ人高校生一行が訪日
23-30日 対日理解促進交流プログラム・米国の社会人一行が訪日
24-26日 軍縮問題諮問委員会 第69回会合(ジュネーブ)
25日 インド・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(ニューデリー)
25日 外務省が「平成29年度地方連携フォーラム」を開催(三田共用会議所)
25日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(フランクフルト)
25-26日 国連主導のシリア和平協議(ウィーン)
25-27日 北朝鮮が平昌五輪の先発隊派遣
26日 インド共和国記念日
26日 第4回日仏外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)(東京)
26日 米・17年第4四半期および年間GDP(速報値)発表
26日 アリアン5ECA(通信衛星SESなど)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
26-27日 チェコ大統領選挙(決選投票)
26-29日 フランス・ル・ドリアン欧州・外務大臣が訪日
27日 日仏防衛相会談を開催(東京)
27日 ホンジュラス大統領就任式(テグシガルパ)
28日 岐阜市・宮崎市長選挙
28日 フィンランド大統領選挙
28日 キプロス共和国大統領選
28-2月3日 グスタフソン国連食糧農業機関(FAO)事務局次長が訪日

【来週の予定】
29日 欧州農水相理事会(ブリュッセル)
29日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29日 17年12月米個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)
29日か30日 ロシア2017年1-11月貿易統計、12月雇用統計発表
29日-2月2日 国連人権理事会 ワーキンググループ第21回会合(ジュネーブ)
29日-2月2日 国連先住民族のための自主基金第31期理事会
30日 米国大統領一般教書演説(ワシントン)
30日 EU17年10-12月期ユーロ圏GDP(域内総生産)速報値(EU統計局)
30-31日 国連経済社会理事会ユースフォーラム(ニューヨーク)
30-31日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
31日 EU12月失業率発表(EU統計局)
31日 ファルコン9(SES16など)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
31日-2月1日 EU地域委員会第127回本会議(ブリュッセル)
1月下旬 ブラジル12月全国家計サンプル調査発表
1月下旬 メキシコ11月小売・卸売販売指数、12月貿易統計発表
1日 インド2018年度政府予算案発表
1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1日 ソユーズ2.1a(カノープスなど)打ち上げ(ボストチヌイ基地)
2日 米国1月雇用統計発表
2日 長征2D(陸地探査衛星四号)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)
3日 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長任期満了
3日 SS-520 5号機(超小型衛星TRICOM-1R)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)
4日 山口県・長崎県知事選挙

(宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

2018年1月23日(火) | [ ]